フェネック
「アライさんは4話でのスナネコとサーバルたちの出会いを覚えてるか~い?」
アライ
「確か・・・
すっごく大きな砂嵐が起こって・・・
スナネコが、それを見に行ったら飛ばされて・・・
って、まさか?」
フェネック
「そう、そのまさかさ~」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フェネック
「う~ん、この辺かな~」
アライ
「フェネックは砂嵐の起こる場所まで分かるのか?」
フェネック
「暑い場所に急に寒くて強い風が入り込むと上昇気流が起こって竜巻になるんだよ~
あとは4話を映像解析して逆算すれば・・・
さばくちほーは私にとってホーム(庭みたいなもの)だからね~」
アライ
「さすがフェネック。 けもフレ特定班みたいなのだ」
フェネック
「さあ、手を出して~」
アライ
「ん? 何なのだ?」
フェネック
「もう離れ離れはゴメンだからね~」
そう言うとロープを取り出し、手首同士を手錠のように繋いだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ブルッ
アライ
「何かヒヤッとしたのだ」
フェネック
「さあ、行くよ~」
寒気が流れ込み、風が強く吹いたかと思うと、つむじ風が起き、みるむる大きくなっていく。
2人は『ばすてき』を漕ぎ、その中心に向かう。
やがて『ばすてき』はガタガタと音を立てると・・・
アライ
「うぅ… うわわ…ぁぁぁ」
浮き上がり、2人を乗せたまま あっという間に空高く舞い上がった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
スナネコ
「お?
何か声が聞こえたような…」
外に出ると、大きな砂嵐が巻き起こっていた。
スナネコ
「おぉ…」
思わず身を乗り出した・・・
ちょうど台風の目に当たる場所に位置していたので、
もみくちゃにされる、というような事こそ無かったが、
超電導で浮く磁石のように足場はふわふわと不安定で、
時折アンダーアームターン(男性の伸ばした手の下で女性がターンすること)のような回転をさせられている。
フェネック
「まるで#ダンスをしているようだね~」
アライ
「アライさんは酔いそうなのだ・・・
フェネックはなんで平気なのだぁ!?」
砂嵐の中は風が強く、アライさんは声を張り上げる。
フェネック
「#スポッティングを会得してるから、かな~?」
アライ
「ホントにフェネックは何でも出来るフレンズなのだ…」
フェネック「アライさんが隣に居てくれるから頑張れるのさ~」
アライ
「ん? 何か言ったのか?」
フェネック
「なんでもないよ~」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
スナネコ
「お~…」
アライ
「フェネック、見るのだ!
スナネコが砂嵐に巻き込まれているのだ。
早く助k…」
フェネック
「だからダメだってば~
スナネコには悪いけど、このまま飛ばされてサーバルたちと出会ってもらわないと~」
アライ
「そうか… そうだったのだ」
やがてスナネコは砂嵐から弾き飛ばされ落ちていった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アライ
「ところでアライさんたちは、いつまでこうやっていればいいのだ?
ワープポイントはまだなのか?」
フェネック
「そうだね~
砂嵐が収まるまでには出現してもらわないと~
って、アレじゃないかな~?」
アライ
「おぉ…
って、相変わらずアライさんにはよく見えないのだ」
フェネック
「・・・でも、ちょっとマズいかな~」
アライ
「!? もしかして、また小さくなってるのか?」
フェネック
「いやぁ、そうじゃないけど 砂嵐の進路からは微妙にズレてるんだよね~」
アライ
「それはマズ… ふぇ、フェネック! こっちも大変なのだ!」
フェネック
「そっちはな~に~?」
アライ
「セルリアンなのだ! セルリアンが風に巻き上げられてきたのだ!」
フェネック
「お~ 確かにマズいね~ 何匹で、どのくらいの大きさ~?」
アライ
「幸い一匹なのだ。
でも、そこそこの大きさなのだ
ツチノコ遺跡に居た赤いのと同じくらいなのだ」
フェネック
「なるほど~ それならいいことを思い付いたよ~
耳を貸して~?」 ごにょごにょ…
アライ
「!?
確かにソレしかないのだ。 ・・・けど、
どうしていつもギリギリなのだー!?」
いつ止まってもおかしくない。
このチャンスを逃せば未来に戻れないどころか、落下して地面に叩き付けられ、
2人・・・は ともかく『ばすてき』もストーリーもタダでは済まないだろう。
フェネック
「さあ、勝負は一瞬だよ~」
アライ
「フェネックぅ。
やっぱり このまま飛び降りるんじゃダメなのかぁ?」
フェネック
「私たちだけ未来に戻ったってダメなのさ~
『ばすてき』も一緒じゃないとさ~」
アライ
「そうだったのだ。
よし、覚悟を決めたのだ」
セルリアンは触手を伸ばして攻撃してくるが、アラフェネは反撃をせず、
ひたすら躱すことだけに集中しながらタイミングを計る。
フェネック
「今だよ~」
最もワープポイントに近付き、セルリアンが対角の位置に来た瞬間を狙って#ツープラトン攻撃を繰り出す。
アライ
「アラフェネドッキングなのだーーーー!」
ほぼ同時に砂嵐は
勢いそのままに『かかと落とし』が『へし』にヒットし・・・
ぱっかーん!
フェネック
「死んでも離さないよ~」
フェネックは片手でアライさんの腕を、片手で『ばすてき』の車体を掴む。
アライ
「イタいのだー!」
セルリアンはキューブ状に飛び散るとアラフェネ&『ばすてき』の車体に勢いよく当たる。
そのおかげで、2人と『ばすてき』はワープポイントの真上まで押されていた。
フェネック
「よっと~」
フェネックは野生開放を使ってアライさんと『ばすてき』を引き寄せ、乗り込むことに成功する。
2人を乗せた『ばすてき』は、そのまま真っ逆さまにワープポイントに向かって落ちていった。
ワープポイントは『ばすてき』を吸い込むと、仕事は終わったとばかりにかき消えた。
そこは『ゆうえんち』の入り口だった。
あんなに高い所から落ちたはずなのに、なんの衝撃も無かった。
夢だったのだろうか?
互いに顔を見合わせる。
博士
「何を呑気に座っているのです」
助手
「帰ってきたのならさっさと『ばすてき』を寄越すのです。
船出に間に合わなくなるのです」
博士と助手がいつものように辛辣な口調で声を掛けてくる。
2人は左右に別れて『ばすてき』を降りようとしたが、
離れ離れになるのを許さないとばかりに、ロープが2人を引き戻す。
フェネック
「おっと~」
アライ
「おっとっと、なのだ」
博士
「何を遊んでいるのです」
助手
「コマンダービースト、切ってやるのです」
手元には更に小さくなってしまったロープが残された。
博士
「ご苦労なのです」
助手
「すぐに作業に取り掛かるのです」
博士たちが指示を飛ばすと、待ち受けていたフレンズたちが『ばすてき』を運んでいった。
歴史は戻ったのだろうか?
2人は改めて顔を見合わせ、互いの存在を確認し合う。
すると・・・
TATSU鬼
「アライさん、フェネさん、この後の
2人は差し出された台本をひったくるようにすると、急いで確認する。
そこには何度も観た『12話 ~ゆうえんち~』そのままのストーリーが展開されていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アライ
「みっしょんこんぷりーと、なのだー!」 \(^o^)/
アライさんは宣言するが・・・
フェネック
「アライさ~ん、まだまだだよ~
このあとFNTK(ふねてき)なものを作って、
FNTK(Follow Near The Kabanかばんさんに見つからない距離で追い掛ける)
までが12話なんだからね~」
アライ
「ふははは! その辺バッチリなのだ!
#アライさんとフェネックにお任せなのだー!」
フェネック
「そだね~」
サーバル
「やっぱり無いよぉ?」
埃っぽい物置きに目ぼしいものはなかった。
ただ、リフトがあったと思われる場所にだけ、キレイな型が残されていた。
ボス
「ごめんネ」
サーバル
「ボスのせいじゃないよ」
かばん
「そうですよ。
他を当たりましょう」
ボス
「それなら・・・」
かばん
(最近、開けた跡がある。 一体 誰が…?)
ボス
「アライさんとフェネックが持ってきてくれたヨ」
かばん
「え…?」
かばんが振り向くと、そこには『ばすてき』に乗ったアラフェネが出現していた。
かばん
「え・・・ どうして…?」
サーバル
「もう、2人とも・・・
心配したんだよぉ! どこに行ってたの!?」
13.0話で海を渡り、ごこくちほーを旅していた一行は、セルリアンに襲われた。
囮役を買って出た2人だったが崖に追い詰められ、
水陸両用に改造されていた『ばすてき』もろとも落ちてしまったのだった。
当然かばんたちは崖の下を捜索したが、2人の姿は忽然と消えていた。
なぜかボスは『大丈夫だ』と請け合っていたが・・・
フェネック
「そんなつもりは無かったんだけど、
『BSTK(Back Skip The Kyuwa 9話に戻る)』をしちゃってね~」
かばん
「どうしてそんなとこに…」
サーバル
「よく私たちがココに居るって分かったね」
アライ
「そこにはTATSU鬼監督が待ち構えていて、台本を渡されたのだ」
かばん
「脚本の人そこまで考えていたんでしょうか?」
フェネック
「いや~ 途中から追加と変更が相次いで、かなり膨らんだみたいだよ~」
サーバル
「・・・メタいよぉ…」
フェネック
「長くなるから割愛するけど~」
かばん
「
フェネック
「9話のボスがキャタピラを出してきた物置きで、スペアまんまるをゲットして~」
ボス
「ああ、あの時ノ・・・」
フェネック
「雪山に登って~」
アライ
「雪崩とセルリアンに巻き込まれそうになりながら滑落したらワープポイントが出現して・・・
たった今『BSTK(Back Skip The Kouzan こうざんに戻る)』したところなのだ」
サーバル
「よく分かんないけど・・・
とにかく2人が無事で良かったよ」
アライ
「ふははは! アライさんは不滅なのだ!」
アラフェネの2人は、ゆきやまちほーでゲットした『まんまる』を手渡した。
かばん
「ありがとうございます。
でも本当に心配したんですよ」
ボス
「ボクもお礼を言いたかったんダ。 あの時…」
フェネック
「なんのことかな~?」
かばん
「ラッキーさんに聞きました。
こうざんでフェネックさんがベルトを緩めてくれたから・・・」
ボス
「ボディは失ったけど本体は無事デ・・・
こうやって3人での旅を続けられていられるんダ」
サーバル
「そうだったんだね。
ありがとう、フェネック」
フェネック
「一か八かの賭け、だったけどね~
でも歴史修正の対象にならなかったってことは、それが運命だったってことさ~」
ボス
「そうかもしれないネ」
フェネック
「いや~ それにしても、すっかりタイムトラベル癖が付いちゃったよね~」
アライ
「パークも何周したか分からないのだ」
フェネック
「あ、そうだ~ コレ、返すよ~
ずいぶん小さくなっちゃったけどね~」
そう言うと手の平サイズにまで短くなったロープの切れ端を差し出した。
かばん
「いえ、それはもうアラフェネさんたちのものです。
お二人の絆、じゃないですか」
ボス
「キミの縄だヨ」
フェネック
「それを言うなら『私たちの』だよ~」
ボス
「アワワワ…」
かばん
「1本取られましたね」
サーバル
「ロープだけにぃ?」
かばん
「あはは」
フェネック
「ふふ…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アライ
「じゃあフェネック、そろそろ出発するのだ」
フェネック
「はいよ~」
かばん
「アライさん、フェネックさん・・・
これからどうするんですか?」
サーバル
「2人でなら なんでもたのしそー」
アライ
「行くあてなら 風まかせなのだ」
フェネック
「そうだね~
でも、それはまた『BSTK(Betsu-no Story The Kemono-friends)』
別の物語なんじゃないかな~」
~T.E. (The End Travel is Endless)~