【けものフレンズ 12.3話 BSTK】
フェネック
「これは・・・
BSTK(Back Skip The Kouzan)だね~」
アライ
「うえぇぇぇぇっっ!?」
フェネック
「DVDに例えるなら、12.1話を観てたはずなのに、
チャプター3の『こうざん』に飛んでしまった、ってところかな~
厳密には2話のBパートみたいだけどね~」
アライ
「おお、さすがフェネックは理解が早いのだ。
って、つまりどういうことなのだ?」
フェネック
「過去にタイムスリップしてしまった、ってことさ~」
アライ
「タイムスリップ…?」
フェネック
「ほら~ 一緒に観たじゃないか~
『#トキ追っかける少女』みたいなヤツだよ~」
アライ
「ああ、アレなのだ。
ミライさんから逃げ回る、トキの必死な顔は面白かったのだ」
フェネック
(そこは見所じゃないと思うな~)
アライ
「タイムキーパー役、ボスの抑えた演技も光ったのだ」
フェネック
(素だと思うけどね~)
アライ
「あと・・・」
フェネック
「話が進まないから、そのネタは もう引っ張らなくていいよ~」
アライ
「それもそうなのだ。
じゃあ、サーバルたちが戻ってこない内に、あのバスから『まんまる』を外して持って帰るのだ」
フェネック
「そんなことをしたら、かばんさんたちが詰んでしまって、
けものフレンズが『第三話(待たずに)完』になっちゃうよ~」
アライ
「え~? ダメなのか~?」
フェネック
「タイムトラベルもののお約束だよ~
って、『けものフレンズ』の放映はチェックしてないの~?」
アライ
「アライさんはその辺バッチリなのだぁ!
でも出番の無かった2話は飛ばしてしまったのだ…」
フェネック(兼役で声は当ててたはずだけどね~)
「とにかく かばんさんたちは、
この後バスに乗ってパークを旅するんだから、その流れは邪魔しちゃダメなのさ~」
アライ
「じゃあ、どうするのだ?
他に『まんまる』のアテはあるのだ?」
フェネック
「この後かばんさんたちは、バスの電池を増やすために『こうざん』に登るのさ~
考えるに、バスのトラブルに関するモノは上に固めて置いてあるんじゃないかな~?」
アライ
「おぉ、さすがフェネック。 冴えてるのだ。
じゃあ早速 登るのだ!」
フェネック
「その前に、誰かに見つからないよう『ばすてき』を隠しておかないと~」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アライ
「ぐにゅにゅ~
ガケノヴォリはやっぱり大変なのだ。 ・・・
お? アレを見るのだ。
掴みやすそうな根っこがあるのだ。
これで少しはラクが…」
ず… ずずっ
アライ
「おっと。
フェネック、ここは抜けやすいから気を付けr…」
フェネック
「アライさーん」
キコキコ…
アライ
「ふぇねっくぅ!?
付いてきてなかったのだー!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アライ orz
「さすがのアライさんも2回のガケノヴォリはツライのだ」
フェネック
「お疲れさまだね~」
アライ
「なぜ5話の足漕ぎリフトあったのだ?
サーバルたちの乗ったリフトは、3話時点ではどこにも存在しないはずなのだ」
フェネック
「お~ 2話以外は きちんと把握できてるんだね~
これは下の物置きから引っ張り出してきたものさ~
サーバルたちの乗ってきたリフトが上にあったのなら、下にも同じものがあるはずだと思ってね~」
アライ
「さすがフェネック。 聡明なのだ… ガク…」
フェネック
「疲れてるところ悪いんだけど、ここでQKしてるヒマは無いよ~
かばんさんたちより先にアルパカさんと会う訳にもいかないし、
このリフトも見つからないように片付けておかなきゃいけないし~
かばんさんたちも じき、登ってきちゃうから、それまでには・・・
って、ほら言ってるそばから~」
かばんを抱えたトキが飛び上がってきた。
フェネック
「ほら、早く~。 隠れて隠れて~」
アラフェネの2人は、かばんたちを映しているカメラの影に身を隠す。
トキ
「ん? アレじゃない?」
かばん
「あ、ちょっと待って下さい。 ロープを固く結び過ぎて…」
ボス
「かばん、ボクが切るヨ」
かばん
「ありがとうございます。 ・・・
はい、行きましょう」
かばんたちはロープをほどくと、
アラフェネたちには気付くことなく、カフェの中に入っていった。
アライ
「コレをどうやって未来に持って帰ればいいのだ?」
フェネック
「う~ん、困ったね~」
『まんまる』は物置きであっさり見つかったものの、大きさが一抱えほどある。
そして、未来に帰る方法に至っては見当も付かなかった。
ボス
「❗ ちょっと除草を中断してもいいかな」
かばん
「はい?」
フェネック
「せめて、どうやってタイムスリップしてしまったか、だけでも分かればね~」
ボス
「キミたちはここで何をしているのかナ?」
アライ
「ウワァァァ… シャベッグググー」
フェネック
「し~」
フェネックが口を塞ぐ。
フェネック
「でも驚くのは分かる~」
アライ
「ボスがフレンズに喋りかけるなんて初めて見たのだ」
ボス
「生態系と時空の維持のためには、
キミたちのような未来のフレンズがいるとマズいんだヨ」
アライ
「おお、タイムキーパー:ボスと同じセリフなのだ」
フェネック
「・・・
未来に戻りたいのは やまやまなんだけどさ~」
アライ
「帰り方が分からないのだ」
ボス
「検索中、検索中… !
『ワープポイント』が見つかったヨ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ロープウェーのカフェ駅から下の方を見ると、ふもと駅付近で空間が歪んでいた。
ボス
「アレダヨ、アレダヨ」
アライ
「アライさんは目が良くないので、よく分からないのだ」 (=_=)
フェネック
「そう言われれば確かに『もや~』ってしてるかな~」
アライ
「よし! それなら出発なのだ。
これでアライさんも『りふとてき』なものに乗…」
ボス
「いや… いつ消えるか分からないから、急いだ方がいいと思うヨ」
アライ
「えぇ…? じゃあ、どうするのだぁ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『まんまる』はフェネックが背負い、かばんとトキが命綱に使っていたロープで縛った。
フェネック
「このロープ使っちゃって、かばんさん後で困らないかな~」
ボス
「かばんは まだ沢山持ってるから大丈夫だヨ」
フェネック
「それなら歴史は変わらないね~」
アライ
「フェネックぅ、まだなのか~?」
アライさんが地団駄を踏んで急かす。
フェネック
「ちょっと待ってね~
ボス~ ベルトが緩んでるから締め直してあげるよ~」
ボス
「助かるヨ」
ボスが背中を向ける。
フェネック
「はい、これでいいよ~」
アライ
「・・・?」
ボス
「アリガトウ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フェネックがアライさんを肩車し、アライさんが足を曲げて固定する。
アライ
「なんだか『まっするどっきんぐ』みたいなのだ」
フェネック
「なにそれ~?」
アライ
「ステキなコンビだけに許された由緒正しき『型』なのだ」
ボス
「ゆうじょうぱわーだネ」
フェネック
「・・・」
アライ
「どうして物足りなさそうな顔なのだ?
ゆうじょうぱわーは1×1=1の力を発揮できるのだ!」
ボス
「それはただの算数理論だネ」
フェネック
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アライさんは先ほどのロープの余りをロープウェイの架線に引っ掛けると、
ワイヤーの両端を両手で掴み、ぶら下がる。
アライ
「準備完了なのだ」
フェネック
「じゃあ行くよ~ ボス~ 元気でね~」
宙に足を踏み出す。
アライ
「ボスぅ、ありがとうなのだぁぁぁぁ…
うわぁぁぁぁぁぁぁ 怖いのだぁぁぁ!」
ボス
「グッドラック」b
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2人はターザンロープスライダーのように滑り降りていた。
足を掛ける場所は無いが・・・
アライ
「慣れると『あくてぃびてぃー』みたいで『たーのしー』のだ。
コツメの気持ちがちょっとだけ分かったのだ」
フェネック
「私には ちょっとスリリング過ぎるかな~」
アライ
「ところでフェネック?
さっきは なんでボスにウソをついたのだ?」
フェネック
「ちょっとしたお礼さ~
・・・歴史修正されちゃうかもしれないけどね~」
アライ
「そうなのか…
ん? あれが『ポイント』なのか?
アライさんにも見えてきたのだ」
フェネック
「・・・
これはマズいね~」
アライ
「どうしたのだ?」
フェネック
「さっきから大きさが変わってないんだよ~」
アライ
「どういうことなのだ?」
フェネック
「遠近法だよ~
普通なら近付くにつれて大きく見えるはずだよね~」
アライ
「ーということは、つまり・・・」
フェネック
「さっきより小さくなってきてるね~
ボスが『消えるから急げ』って言ってたのは、このことか~」
アライ
「どうしてタイムトラベルものは『いつも時間ギリギリ』なのだー!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ワープポイントはみるみる小さくなっていく。
すでにフレンズ1人が通れるかどうかぐらいの大きさにまで縮んでいた。
フェネック
「これはちょっと間に合いそうにもないね~
・・・ 次、ポイントが出現するとしたらどこだろ~?」
アライ
「・・・」
フェネック
「アライさ~ん、疲れちゃった~?
足のフックが緩んできてるよ~ 大丈…
・・・!?」
アライ
「フェネック…
このチャンスを逃すと二度と未来には戻れないかもしれないのだ…」
そう言うと、アライさんはブランコを漕ぐように体を前後に揺らし始める。
フェネック
「アr…」
下半身が前に振れたタイミングで、アライさんは曲げていた足を伸ばす。
フェネックの反応が一瞬だけ遅れた。
フェネック
「アライさ~ん!?」
アライ
「フェネックぅ! まんまるは頼んだのだぁ!」
アライさんの足へと伸ばした手は空を掴む。
フェネックの体は宙に投げ出され、落ちていった。
それを待ち構えていたかのようにフェネックを吸い込んだワープポイントは、
役目は終わったとばかりに かき消えた。
アライ
「のだーーー!」
べしゃ!
残されたアライさんは、勢いのままに ふもと駅の壁に叩きつけられた。
アライ
「早くここから離れないと・・・ なのだ…」
サーバル
「足がパンパンだよ」
かばん
「おつかれさま」
アライさんがカメラの影に身を隠るのと、
こうざんから降りてきた かばんたちがアライさんの前を通ってバスの方に向かうのは
ほぼ同時だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アライ
「フェネックは無事に『まんまる』を博士たちに渡せたのか?」
アライさんはフラフラと『ばすてき』を隠していた場所に戻った。
アライ
「フェネックは無事に未来に戻れたのか?
・・・アライさんは未来に戻れるのか?」
自分の判断は、あの場面では最善だったと確信している。
後悔はしていなかった。 しかし・・・
アライ
「うぅ… フェネックぅ・・・
もう二度と会えないのかぁ?」 orz
この世界に独り取り残されてしまった・・・
それを実感した途端、途轍もない心細さが襲ってくる。
?????
「アライさんに付き合うよ~」
アライ
「!?」
そこにはフェネックが立っていた。
フェネック
「そう言ったはずなのにさ~
ヒドいよ~ アライさ~ん」
アライ
「でも… それは・・・」
フェネック
「だから独りになんてしてあげないよ~
時空を越えてでも、ね~」
アライ
「どうしてなのだ!?
たった今、アライさんが未来に送ったはずなのだ!」
フェネック
「その通りさ~
『BTTF&BSTK』(Back To The Future & Back Skip The Kouzan)
未来に戻って、そしてまた『こうざん』に戻ってきたってわけさ~」
アライ
「ふぇねっくぅぅぅぅーー!?」