かばんさん orz
サーバルの去った夕焼けの砂浜で、かばんさんは へたり込んでいた。
かばんさん
「上手く行かないもんですね…」
博士
「そう言えば、一部の者からは黒幕扱いまでされていましたね」
かばんさん
「教えられて分かることと、自分で考えて気付くことでは違うと思ったんです」
助手
「それもこれも気付いてもらえない時点で失敗なのです」
かばん
「ですね・・・」
博士
「ところでアムールトラの方はどうだったのです?」
助手
「そもそも無事に避難できたのですか? あのホテルから・・・」
かばん
「あのあとアリツさんの用意したジャパリまんが1ヶ減っていたので無事かと…」
博士
「いつの間に・・・」
助手
「元から数え間違えていただの、サーバルがつまみ食いしただのと揉めていましたが…」
かばん
(博士たちも疑われていたのはスルーなんですね…)
博士
「ビースト…ですか」
助手
「解けるでしょうか…」
かばん
「・・・まだ未知数ですね。
他力本願ですし…」
かばん
「ビーストの正体が分かりました」
博士
「本当ですか!?」
助手
「・・・?
その割には浮かない顔ですね」
かばん
「はい・・・
実は… 人為的に作られたものだったんです・・・」
園長
「
しかもこんな緊急時に・・・」
オウマガ
「緊急時だからこそですよ。
私は治療のために特例を認めて欲しいと言っているだけです。
この『異変』が収まれば、施設に戻せばいいでしょう。
それともビーストをこのまま見殺しにするとでも?」
園長
「それですがね。
あなたの当初の報告書によると、
ビーストは『不純物の混じったサンドスターによる不完全なフレンズ化』とされ、
純度の高いサンドスターの投与で正常なフレンズ化が見込める、とあります。
そのため治療と称して隔離していた・・・」
オウマガ
「その通りです」
園長
「ですが、あなたのパソコンにはもう1つ研究データが存在しますね?」
オウマガ
「おやおや。
ココは個人の研究成果を盗み見るような、モラルのない所だったんですかな?」
園長
「事情が変わったことについて事前に説明がなかったことは謝罪しましょう」
オウマガ
「・・・?」
園長
「続けます。
この報告書によると・・・
『サンドスターの過剰摂取により、いわゆる中毒症状を起こし、狂暴化する。
液状化させたサンドスターを定期的に体内に注入し、ビースト状態を維持していた』
ーとあります。
間違いありませんか?」
オウマガ
「このままでは施設の崩壊と共にビーストが放たれ、フレンズに危害を及ぼす危険性もあります」
オウマガは園長の問いには答えず、ビースト持ち出しの正当性をアピールする。
園長
「ビーストを監禁している場所を教えてください。
こちらで開放します」
オウマガ
「監禁とは随分 物騒な物言いですな。
フレンズと我々を守るため、だったんですぞ?」
園長
「上はココを放棄することを決定し、私たちにも退去を命じました。
私たちが これ以上、護ってあげられなくなったからには彼らに委ねるしかありません。
勝手すぎるとは思いますが、せめて可能性だけでも残しておいてやりたいんです」
オウマガ
「大統領からも嘆願書が行っているはずです!」
園長
「ええ、イワビーの数十倍は強い圧力ぅでしたねぇ…
でも事情が変わりましてね・・・」
オウマガ
「・・・?」
園長
「このほどカード大統領は失脚しました。
そして新大統領の率いる※国はパークへの出資をヤメるそうです。
あと、あなたにお客さんが来ていますよ」
捜査員
「王勾
オウマガ
「な・・・!
なに綺麗事を言っている!?
アミューズメントパークプレジェクトなど表向きで、上はフレンズたちやサンドスターを利用するために・・・
あなたがたも分かってて協力していたのでしょう!?
今更ビースト1人を救ったくらいでどうなると言うのだ!」
捜査員
「おとなしくしろ!」
オウマガ博士は がなり立てたが、やがて捜査員に引き立てられていった。
独り残された園長は呟いた。
「まだ救えるかどうかも分かりませんよ…
でも、これが私に出来る精一杯なんです。
パークはお返ししますので、あとは頼みましたよ。
フレンズさんたち・・・」
???
「どういう状況かな? これは・・・
とりあえず#食べないでくださーいって言えばいいのかな?」
アムールトラ
「・・・」
アムールトラは黙って どいた。
???
「そこは『食べないよ~』って言ってくれないと。
( ゚д゚)ハッ! もしかして食べられ… いや~ん」
そう言うと『まいっちんぐ』なポーズをする。
アムトラ
「・・・」
???
「ノリが悪いなぁ…
でも助けてくれてありがとう。
落ちてくる瓦礫からあたしを庇ってくれたんだよね。
あたしは・・・
あたしは? 誰? どこここ?
って、とりあえずここから逃げ出すのが先か」
アムトラ
「・・・」
???
「ね~え~。 一緒に逃げようよ~」
アムトラの腕を掴んで、グラグラ揺さぶる。
アムトラ
「一人で行け。
オレは沢山フレンズたちに迷惑を掛けた。
このまま居なくなった方がいい…」
???
「シャベッタァァァァァ! ってそれどころじゃないか。
でも、う~ん・・・
そう言うなら仕方ないか」
アムトラ
「!?」
???
「なんて言うと思った?
あたし一人じゃ逃げられないからさ~
一緒に逃げよ?」
アムトラ
「・・・」
???
「・・・あ~あ、あたし生まれたばっかなのに、ココで死んじゃうのかぁ~
短くて不幸な人生だったなぁ チラッ」
アムトラ
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
???
「助けてくれてありがと~!
・・・そう言えば、あなたのお名前は?」
アムトラ
「・・・」
???
「・・・あ~あ 命の恩人の名前も知らないまま、
恩知らずと後ろ指をさされながら生きて、死んでいくのか~
悲しいなぁ チラッ」
アムトラ
「・・・ アムールトラ…」
???
「アムール…
『愛』っていう意味だね」
アムトラ
「・・・」
???
「このSSの『I』には『if』と『愛』っていう意味が込められてるんだって。
知ってた?」
アムトラ
「・・・」
???
「まあ、メタネタを置いといて…
アムールトラちゃんはさぁ・・・
きっと『愛し、愛される』ために生まれたんだよ!」
アムトラ
「・・・」
???
「これから。 ね!」
アムトラ
「!」
???
「・・・でぇ、私の名前・・・
ーは付けてくれないよね…」
そう言うと手荷物を漁り、一冊のスケッチブックを取り出す。
名前欄には『友枝 包夢』と書かれている。
???
「ともえ…だ・・・ くるむ?」
キュルル…
せっかくの雰囲気をぶち壊すようにお腹が鳴る。
???
「お腹すいた~」
アムトラ
「・・・」
???
「生まれたばっかで、
ご飯の探し方も教えてもらってないし、安全な眠り方も知らないしなぁ チラッ」
アムトラ
「・・・」
つジャパリまん
???
「ありがと~!
そういえばヘリポートに美味しそうなのがいっぱいあるなぁって見てたんだ~
って1ヶだけ!?」
アムトラ
「!?」
???
「ああ、そうじゃなくて あなたの分は?
それともあたしの見てない所で食べるつもりとか?
あ~ 人生最初の食事が独りっきりなんて寂しいなぁ チラッ」
アムトラ
「お前の分だけだ!
あと、その『チラッ』っていうのヤメろ!」
???
「アムトラちゃんが ちゃんと私と話してくれたらヤメるよ?」
そう言うとジャパリまんを手でちぎり、少し大きい方をアムトラに手渡そうとする。
アムトラは差し出されたジャパリまんの方は取らずに、小さいほうのジャパリまんを奪い取ると口に放り込んだ。
??? 😊
「あと、お前じゃなくて名前で呼んでくれると嬉しい。
覚えてる?」
アムトラ
「・・・#『ともえ』だ」
ともえ
「あ、ちゃんと覚えててくr…
え…? あぁ・・・
まあ、いいか。
うん。 あたしは『ともえ』
#つまりはこれからもどうかよろしくね♪」
ーかばんさんの家ー
博士
「アムールトラがどうなるにせよ、
事前の約束通り、演技代として『かばんの絶品カレー』は頂くのです」 じゅるり…
助手
「なにしろ長である我々を小間使いのように扱ったのですから。
しっかり おかわりも頂くのです」 じゅるり…
かばんさん
「はい…」