1.
白い壁に白いタイル。純白の無機質な空間でカラカルは怒鳴った。
カラカル「貴方はいつもそうなのよ!!いつもいつも勝手に決めつけて!!」
面接官「もう結構」
長机に腕組みをした無精ひげの面接官は一言、冷淡に呟いた。
カラカル「そんな......まだ半分も.....」
面接官「もう結構です。お帰りください」
カラカル「っ.......ありがとうございました.....」
カラカルはひきつった笑みを浮かべながら深々と頭を下げた。
面接官「えぇ、気をつけてお帰りください」
カラカルは扉を開け、他の参加者達がいる廊下を足早に歩いた。情けない顔を見られたくは無かった。
エレベーターの隣の非常階段の扉を開き、中に入って扉をしめる。
カラカルはうつ向き、台本を握りしめた。潰れてしまうほど。
───────
サーバル「あ!やっと出てきたー!」
サーバルは雑居ビルから出てきたカラカルを呼び止めた。
カラカル「サーバル...!あんたずっとそこの花壇で待ってたの?」
サーバル「まあね......ここの花壇、ちょうど座りやすい高さだから。それより、お芝居のオーディションどうだった?」
カラカル「......見ればわかるでしょ?」
そう言ってカラカルは首をふり、手を広げてみせた。その動作を見てサーバルは顔を曇らせた。
サーバル「残念だったね....でも気を落とさないで、今回は面接官との相性が悪かっただけ!カラカルの良さを分かってくれる人はきっといるから!」
カラカル「そのセリフも、12回目じゃなければもう少し頼もしかったんだけれど......」
サーバルは口をへの字にまげた。
サーバル「なによ1ダースぐらい!じゃぱまん1ダースなんて些細なものでしょ!それと同じだよ!」
必死に自分を励まそうとするサーバルを見て、カラカルは少し微笑んだ。
カラカル「そうね....いちいちこんな事で落ち込んでちゃだめね....!ありがとうサーバル!」
サーバル「そのいきだよ!そうだ!気分転換にお茶に行こうよ!場所は....」
カラカル「三番通りのジャパリカフェね」
サーバル「ビンゴ!私は少し用事があるから、一時間後にね!ばいば~い!」
そう言うと、サーバルは何処かへ走っていってしまった。彼女が曲がった先でクラクションが鳴った気がした。
カラカルは肩をくすめた。
カラカル「自分で誘っておいて一時間も待たせるのね.....とりあえず一度家に帰るかな....」
カラカルは苦笑してバス停に向かって歩きだした。