風が吹き荒れる山。その火口近くで、事が行われていた。
意識が、朦朧としていて、以前までの記憶が、ない。覚えているのは、強い衝撃で誰かに叩かれたことだけ...。
前に立っているのは...だれ?人じゃない変な物質に触られている感じがする。
「...コレデ、アトツギガデキタ。ワタシノ子トナレ。」
何を言っている?私はセルリアン。ただただ人の体をして、人と特徴が似ているだけのセルリアン。...いやもうそう思い込む必要もないか。
体に感覚が戻り、とっさの判断で前にいた者を殴りわずかな隙間から逃げた。
「...予想外、ダガカナラズツレモドシニイクゾ。」
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隙間から逃げて地上近くの洞穴に出た。ただ感覚がまた鈍りだした。
...話し声が聞こえてくる...誰?
ウレ
「...でさー、あの後が面白かったんだって。もぐりこんでそばまで行ってフレンズの顔の目の前に出てやったら赤っ恥かいて逃げて行ったんだよ。食いはしないけど、驚いた顔はフレンズもセルリアンもやっぱ面白い。」
よかった、セルリアンみたいだ。
アハル
「おい、あんまりやりすぎると、ハンターにつぶされちまうぞ。」
でも、今度は完全に力が入らなくなってきてる、せめて一言...。
「...あ。」
ウレ
「大丈夫だって、コアは常に地中の中だ。大丈夫だ...よ?」
ウレは何かに気づいた。
アハル
「どうした?ウレ」
ウレ
「いや、アハル後ろを見ろよ。」
手形のセルリアン、アハルは後ろを向く。そこには倒れた誰かがいる。
同じ手形のセルリアンのウレは、その姿を見て何か既視感を覚えている。
ウレ
「おい、こいつって女王に引っ張られてったセルリアンじゃないのか?」
アハル
「そんな気がする。確か、女王は後継ぎを探してたはずだ。」
セルリアンの女王は、近頃自分の体に限界が来ていることを察知して、自分の跡継ぎを複数探していた。
その一人がこの人型のセルリアンだという。ウレとアハルはこのセルリアンを起こす方法を考えた。
ウレ
「そうだ、あの石畳置くのはどうだ?」
そう言って自分の体で近くにあった日が差している石畳を指差した。
アハルは少し疑念を抱きながら言った。
アハル
「これ、こいつの何になるんだ?」
ウレ
「もしかしたら起きるかも。アハルだって、この石畳で復活したろ?」
アハル
「まあ、そうだが...。」
ウレ
「物は試しだ。さあ、石畳に運ぼう。」
そう言ってウレとアハルは石畳に人型のセルリアンを乗せた。
やがてその体が淡い光に包まれ始めた。その光は輝きを増す。
ウレ
「なんだこれ!目が、目がぁぁぁぁぁ!めっちゃまぶしい!」
アハル
「これ、本当に蘇生してんのか?」
やがて衝撃波が起こったようで、二匹ともそれで吹っ飛ばされた。
人型のセルリアンは起きていた。
「...ここは、どこ?」
ウレ
「起きたみたいだな。俺はウレ。ここは最高の場所さ。」
アハル
「アハル。そう呼べ。で、お前は?」
そう聞かれたものだから返答に困った。
私は、何なのだ?言葉が浮かばず、もごもごしているとウレが言った。
ウレ
「こいつには名前がないみたいだな...アハル、名前つけてやろう。」
アハル
「え、でも勝手にいいのか?」
ウレ
「いいだろ。...そうだな、お前の名前は『ガレイン』にしよう。ガレイン話を聞かせてくれよ。」
ガレインと名付けられたそのセルリアンは、口を開いてその返答に答えた。
ガレイン
「ああ、じゃあ私のことを話そう...。」
続く。