K_Albert
Kamera_Kumota
2021/02/05 (金) 09:51:27
「風よ。僕はどこへ進めばいいかな?」
気高く聳え立つ峠は沈黙を貫く。
峠を吹き抜ける風は彼の真後ろから吹き付け、進む方向を教えた。
「はいはい。それじゃあ、向かおうかな。」
風を頼りに、ものぐさな少年は、歩みを始めた。
なにかの縁でここにきた。理由はわからない。年は十六。名はアルベルト。流れゆく風に身を任せた彼は、峠を一気にかけ降りた。
目前に広がるのは壮大な景色。こんな場所なら動物や鳥の一匹いるはずだが、見当たらない。
奥には建物と港らしきものが見える。あいも変わらず風に導かれ、港へと足を進めていた。
時々誰かに視線を向けられているような気もしたが、特に注意することもなく、進んでいった。
一つ大きな船が止まっていた。とても先進的な船。いかにも高速船のような風貌している。
港には数人人がいた。しかし、話す気にもならなくて、ただ淡々と足を動かした。
バサッ
何かが視界を奪った。どうやら紙のようで、見てみると封筒のようだ。中身を見ると、まるで幼児が書いたような下手な字で手紙が書いてあった。幸い読めないことはなく、名前と思われる欄にはカタカナでドールと書かれており、何度か誰かによる修正が加えられている。言葉と書き記された場所を頼りに足を進めようと決めた。
風にはお礼をして、自分の気持ちの赴くまま、進むことにした。
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情景描写が上手いなぁ
盗み見習いたい