11月21日、戦いは日を超えた。
キンシコウ「ぎ……銀髪のゴーレム……!?」
リカオン「こ……こんなに近くで見たのは初めですよ……」
アライグマは振り返り
アライグマ「サンド、結構手こずったのだ?キラリングなんかつけさせて」
キンシコウ「そんな名前だったんですか……」
サンド「ああ、生憎ね。あんたらが助けに来なかったらこいつら死んでたぞ」
アーク「黙れぇ!!!」
アークは叫んだ。
一同がアークを見つめる。
アーク「僕はお前に会いにきたんじゃない!ハンターとも楽しみたかったし、何よりかばんに会いたいんだぁ!!!」
フェネック「かばん?会いたいんじゃなくて【買いたい】んじゃないかなー?お近くのデパートにどうぞー」
アーク「このぉ……!!つまらぬ煽りなどやめろ!堪忍袋の尾が切れた!!」
アークは先ほどと同じように、右手を前に出して光線を放った。
アライグマ「フェネック!」
フェネック「はいよー」
フェネックがアライグマの前にたち、両手を向かってくる光線にかざした。
すると光線はフェネックの前に止まる。
先端を見るとまるで凍ってるかのようになっていた。
フェネック「君たちは逃げたほうがいいよー、セルバーストを真正面から受けた馬鹿と一緒にねー」
アーク「く……手加減をし過ぎたか…!」
フェネック「負け惜しみかなー?」
リカオン「セルバースト……?」
フェネック「この、無駄に太い光線のことねー」
光線は消え、凍った先端だけが残る。
キンシコウ「で……でも……」
アライグマは呆れたように笑う。
アライグマ「お前たちは【足手まとい】って言葉を知っているのか?アライさんは天才だからわかるのだ。足と手をなんかで纏ってるってことだろ?」
フェネック「【役に立たない】ってのをそれで例えてるんだよーアライさーん」
アライグマ「ば……馬鹿にもわかるように言っただけなのだ!」
フェネック「そうだねー。サンドさーん、黄色い子とこの二人とあの馬鹿を頼んだよー」
サンドはクスッと笑う
サンド「サーバル」
サーバルを見つめ。
サンド「殺ってこい」
サーバルは眉間にしわを寄せ、アークと目を合わせる。
ゆっくりとフェネックの横に近づき
サーバル「スピードスター……」
サンドがリカオンとキンシコウを引っ張り逃げる。
サーバル「サーバルキャット!!!」
サーバルはあの時のように、そう、ビルを真っ二つに切った時のように…
【野心覚醒】と、言うべきか
アライグマ「お前、名前は?」
フェネック「サーバルキャットだと思うけどなー」
アライグマ「そうか…お手並み拝見なのだ!」
アライグマも横に加わり、3人が並んだ。
アーク「呆れて待っていたら……ハッ!3人で僕を殺そうと?」
アライグマ「当たり前なのだ!」
フェネック「アライさんがその気なら私もだよー」
サーバル「殺さない!だから止める!」
アーク「お一人だけ平和でいいよねぇ、殺すも止めるもやってみてよ」
アークは冷静さを取り戻し、やつれた目で見つめる。
3人は走り出した。
アークが両手を前に突き出すと、波動のようなものが空間を揺るがす。
その波動で飛ばされたのはサーバルのみ、フェネックはその場に怯んだだけであった。
アライグマは突っ走り、アークへ殴りにかかった。
アークはそれを片手で受け止めたが、アライグマは隙をつき、右足で腹部を蹴る。
アーク「ぐぅ…」
アークは受け止めた手を離すと、アライグマに顔面を殴られた。
アークは倒れる。
アーク「あの時よりよっぽど……マシにはなって……」
アライグマ「マシ?バカ言えなのだ。アライさんの野心は【奇跡】、お前がアライさんの攻撃を防ぐこともかわすこともできないのだ」
アーク「…勘違いしてないか?」
アライグマ「勘違い?」
アーク「僕の体はまだ小さい……地球にある体を全て集めれば今の何億倍もの力が出るだろうな……奇跡なんて知ったことではない」
アライグマ「知らないなら教えてやるのだぁ!」
アライグマが倒れたアークに向かい、拳を放った。
だが、拳は右手で受け止められ…
アーク「セルバースト!!」
真上に向かい、放ったセルバーストはアライグマの腕を巻き込んだ。
ボトッ……
アライグマの背後に腕が落ちる。
フェネック「アライさん!!!!」
セルバーストが止むと、アークのニヤついた顔が見えた。
アライグマ「フェネック!手を貸すのだ!!!」
フェネックは腕を投げる。
誰のものか?
彼女自身の腕だよ。
アライグマはそれを受け取り、削れた腕に取り付ける。
一方、フェネックはもぎ取った腕の後から氷の腕を生やしてる。
アーク「ちっ!」
アライグマが先ほど同様に殴ろうとすると、アークは横に寝転がり、避けた。
アークは立ち上がり
アーク「やってることがだんだんとグロテスクになっていくな……」
フェネックはアライグマの横へきた。
フェネック「アライさん……無理しなくてもいいからねー…」
アライグマ「フッ……愚問なのだ」
アライグマはアークの顔面めがけて殴る。
フェネックは腹部に手を当てた。
アークは吹き飛び、地面についた途端、腹部が凍り始める。
氷は地面とくっつき、身動きができなくなっていた。
だが、アークは簡単に氷を破り、立ち上がった。
アライグマが目の前に飛び寄ると、アークはアライグマへ拳を放つ。
アライグマ「ぐぶっ!」
フェネック「アライさん!!」
アーク「きみは黙ってもらおうか!」
アークは、急いで駆け寄ったフェネックを両手で突き飛ばす。
フェネックはビルの残骸へ飛ばされ、瓦礫も突き破り奥の方へ消えていった。
アライグマは倒れ、アークがのしかかる。
アーク「また負けたな…お得意の奇跡はどうした?」
アライグマ「まだなのだ…!ここからアライさんの大逆転劇が始まるのだぁ!!」
アーク「大逆転劇を見せたのはこの僕だ!!!お前たちのターンはもう来ない!」
アークは、アライグマの顔面に右手をかざす。
アーク「いいこと思いついた…腕じゃなくて【頭】を取ればいい、フェネックのものを取ってつけてもそれはお前じゃないからな!!」
アライグマは悔しさに唇を噛みしめる。
アーク「セル……!」
ダダダダダ!!
アーク「バース……何!?」
サーバル「うみゃぁー!!」
アライグマ「サーバル!?」
サーバルがアークに飛びかかり、アークを掴んで投げ飛ばした。
アークは地面に押し付けられ、サーバルは綺麗な着地を見せる。
サーバル「今だよ!!ヒグマ!!」
アークは立ち上がった時は、
ヒグマ「おぉぉ!!りゃぁぁぁ!!」
ヒグマがクマデを振り落とす直前だった。
アーク「クソ!!」
アークは間一髪で後ろへ避ける。
クマデが当たった地面には大きなクレーターができていた。
アライグマがゆっくりと立ち上がると
ヒグマ「アライグマ……私があんたの役に立てないのは承知の上だ……だがな、私は貴方のお手伝いをするためにここにいるんじゃない!」
アライグマ「ヒグマ……?」
ヒグマ「死ぬ為でも、逃げる為でもない……!答えはさっき見つけた!」
アーク「相変わらず……」
ヒグマ「仲間のために戦うんだ!サーバルは一応仲間だ!クマデも!」
アークは笑顔を見せ
アーク「やる気が出てきた…ヒグマにサーバル!ははは!僕を…僕を楽しませてくれる奴らがなぁ!若く、美しい!後ろの害獣おばさんとは違う…」
アライグマ「お前より年下なのだ!」
アーク「当たり前だろぅ?」
サーバル(アライさんって何歳なんだろ…?)
ヒグマ「もう一発、でかいの叩き込めるか…?」
クマデ「回復に魔力を結構使ったが、体内の魔力を全部集めたら…なんとかいける!」
ヒグマが構えようとする。
アーク「ちょ……ちょっと待った!!」
アークが震えながら止めにかかる。
アーク「ぼ……僕は…僕の負けでいい!」
アークは痛々しそうに右手を抑えた。
その時には、腕も元どおりになっており、いつもの姿に戻っている。
アーク「……クソ……」
アークは、まるで砕けた氷のようにボロボロと、地面に落ちていく。
ヒグマ「え……?」
アライグマ「まさか……!!」
アライグマは何かを察したのか、大声で叫んだ。
アライグマ「フェネック!!フェネック!!アライさんは大丈夫なのだ!だからもうやめるのだ!!」
アライグマが叫ぶと、アークの残骸の後ろからフェネックが出てきた。
何もない空間から、急に雪が降り、現れた。
サーバル「ふぇ……フェネックさん……?」
ヒグマ「え…?…え!?」
フェネックはサーバルたちを見つめ
フェネック「まだ…第1ラウンドに勝利したに過ぎない……アラーイさーん……」
フェネックが倒れた。
アークの残骸の上に
サーバル「え……?な…何があったの…?」
アライグマ「話は後なのだ。サンドのところへ案内してくれないか?」
ヒグマ「後回しにしすぎ……フェネックは?」
アライグマ「アライさんが運ぶ、アライさんもゆっくり行くからお前たちもゆっくり歩いてくれ…」
アライグマはフェネックを抱きかかえ、歩き出した。
サーバルもヒグマも、それに並び歩き出す。
その頃、僕は銃声の鳴り響く場所にいた。
今頃サンドさんは僕を探してるだろうか
第18話へ続く……
次回、〈僕、殺人鬼になります〉
穏やかじゃないぜ・・・
更新がんばれ👍
ありがとうございます!
既読👍
だんだんと緊迫してきましたね…
ありがとうございます!