サンド「あー!片付け終わらん!ジドも手伝えっての!!何が用事を済ませるだ!」
11月9日。
ガラスまみれの僕の家。
少しの間放置してたもんだから、部屋は寒く、凍え死にそう。
サンド「しんど……テレビつけよ」
かばん「ちょっと、掃除の途中ですよ」
サンドは僕のいうことを無視し、テレビをつけた。
テレビをつけると、ニュース番組が放送されていて、
[続きまして……11月6日ごろ大量のセルリアンが発生し〜…]
サンド「お?ワンチャン俺ら映るんじゃね!?やばい!」
かばん「ちゃんと、特殊部隊が出動してくれたんですね……よかった……」
[ハンターが、緊急出動しました]
サンド「ハンター……やっぱり何者なんだ……?何人の団体だろ……100人くらい?」
[えー…今回は一人足らずの二人でしたが〜…]
サンド「二人!?てか!一人足しても三人!?」
[見事、セルリアンの群れを撃破することに成功しました。今後もセルリアンが多発すると考えられ………]
サンド「あの量を……?できるのか……?」
ジド「できるさ」
サンド「そうか……ん?ジド!?」
ジド「ああ、用事を済ませて帰ってきた。家に長居されるとひとたまりもないんでね」
ドアの付近にジドが立っていた。
サンド「てか、できるってなんだよ」
リビングを掃除していたサンドに近づく。
ジド「あいつらは君が思っている以上に斜め上だ」
サンド「斜め上?重火器武装とかそんなんじゃなくてか…」
ジド「奴らの力はBSSシステムを優に超えるだろう」
サンド「ん?それって良いのか?」
ジド「ただ、それはBSSプロトであることも、奴らのスペックも何もかもが足りてない状況においてだ」
サンド「あれプロトやったんか……じゃあ、なんでそんな火力が出せるん?」
ジド「それはだな……」
ダッダッダッダッ!!
走る音が聞こえる。
サーバル「サンドさん!ジド!これって何かな?」
サーバルが持っていたのはハンカチのようなものだった。
ジド「どれどれ?」
ジドがそれを手に取る。
かばん「サーバルちゃん、これってどこで見つけたの?」
サーバル「押入れの中にガラスの破片が入ってたから、取ろうとしたら落ちてきたんだよ」
ジドがじっとそれを見つめた。
サンドも、覗くように見た。
サーバル「どう?わかったかな?」
サンド「ああ、何もわからん」
ジド「だろうな、まぁ、僕にはわかるけどね」
サーバル「え!?なになに!?教えて教えて!」
ジドがそれをサンドに渡す。
ジド「これは、チームのマークだ」
かばん「チームのマーク?どんな感じですか?」
僕はサンドの持っているそれを覗いた。
ジド「通称、【ジャパリ・エスポワール】。対セルリアン用の特攻隊だな」
かばん「あー…ありましたねそんなの……」
サーバル「へー、そんなのがあるんだねー…」
サンド「ん?ありました。ってことは今は無いの?」
ジド「ああ、とっくの昔に解散した」
サンド「解散?なんかあったのか?」
ジドが少し黙る。
ジド「2.22、サンドスター消失事件……今から10年ほど前の話…」
サンド「10年前の2月22日……?…あ!あれか!」
ジド「あの時、謎の巨大セルリアン、2-XSによっての被害ではなく、彼らによる被害もあったんだ」
サンド「彼ら……?いったい誰が……?」
ジドはまた、黙り込んでしまう。
ジド「これは……知らない方が……」
サンド「なんだよ、焦れったいな」
ジドはまだ黙り込んでいる。
僕は知っていた。
その時、暴走を始めた張本人を
かばん「それって……【ヒグマ】さん……ですよね……?」
ジド「え?言うの?」
サンド「ヒグマ……って…セルリアンハンターじゃ………!?」
サンドは驚いた表情で僕を見る。
サンド「なんで暴走を……?」
ジドはため息をつき
ジド「……今は、確実にそんなことは起こらない……」
サンド「今は……?」
ジド「そんな過去があるから話したくなかった。サンドよ、僕の勝手な判断を許してくれ…」
サンド「判断……?何した!」
ジドはうつむき、
ジド「彼女たちを……この作戦に誘った……」
サンド「はえ……?」
サンドも黙る
ジドはうつむき、「すまない」と小声で連呼している。
サンド「は?お前そんなんじゃ無いだろ?」
ジド「今回ばかりは、勝手な行動をしてしまったとは思っている。前回の時も、この件が他社に漏れると面倒がかかることくらいわかってる……だけど…彼女たちなら……ハンター三人ならやってくれるって!!」
サンド「……まぁ、強さならあの鉄塊より強いなら話は別だ」
かばん「サンドさん、流石に強さだけで決めるのは良くないかと……」
サンド「かばん?なんでだ?」
かばん「あまり思い出したくないですが……僕が生まれて間もない時だから、町のことも、この世のこともなにもわかってなかったけど……あの目は……確かに【悪魔の目】をしていました……例え話ですけど、嘘じゃなくてもいいくらいです…」
僕は拳を握りしめた。
あの時、大量の被害とともに、人の友達をたくさん失った。
今、それがないとは言え、実際のところ、過去は消せない。
その事実を知って、その話を聞いたら本当に余計なことをしてくれたな…という気分になる。
ツチノコ「まぁ、悪魔だからな」
サーバル「うわ!!びっくりした!!」
ツチノコ「熱くなりすぎだ。ほれっ、ジュース買ってきたぞ」
どうやらツチノコが帰ってきたらしい。
片手にレジ袋をぶら下げ、鉄の腕はポケットに入れてる。
サンド「おい、それどういうことだ!」
ジド「ちょ!ツチノコ!これ以上印象を悪く……」
ツチノコ「サンド、俺の後輩を貶すようなら承知はしない。彼女たちは正真正銘の悪魔だ」
サンドの表情、ツチノコの表情を見てみると、どうやら悪魔であることがまずいらしい。
ジド「さ……サンド…どうか気を落とさないで……」
サンド「悪魔……ねぇ……」
ツチノコ「悪魔であることがまずいなら、今回の件で誘ったのは無しにしよう。口止め料としていくらでも払う」
ジド「え?だれが!?」
ツチノコ「俺の大切な後輩だ……!サンド、お前からの許可が下りないとただのガラクタになる」
サンドは黙った。
僕はなにもできず、ただ突っ立ってるだけ
サンド「これは、そんなに深刻視することじゃない。今からでも仲間に入れたいところだが……」
ジド「何か……条件を……?」
サンド「まぁ、悪魔ですから、それに俺を信じてくれないと話は始まらない。しばらくの間、ハンターの様子を見させてもらう」
ジド「戦いをってこと…?」
サンド「いや、しばらくの間、ハンターのお家にお邪魔する。ツチノコ、そしてジド。今回の勝手な行動の償いだ。俺たちが住めるように手続き頼む!」
ツチノコ「はぁ……俺はやめてるっての……」
ジド「潜入!?……わ……わかった…手続きはやっておく」
サンド「そしてその間に!!かばん!サーバル!」
かばん「は…はい!」
サーバル「はいはーい!」
サンド「俺らはお部屋掃除だ!やったね!」
かばん「よくないですよぉ〜……」
第9話へ続く……
(次回予告が少し遅れそうです……)
とまと「次回の、アナザーワールド・サンドスターストーリーはー?」
とまと「おい!誰だよ、何かが登場するとかギャグ多めとか言ったやつ!」
ジェーン「わ…私じゃないですよ!」
コウテイ「私でもないな」
とまと「お前らだよ!!」
プリンセス「だけど、ちゃんと次回は登場するのよね?」
フルル「そうしないと詐欺と一緒だねー」
イワビー「まぁ、新展開とか言いつついつもと一緒だったこともあったしな」
とまと「あー!あー!わかったよ!ちゃんと次回は登場させる!!」
プリンセス「ていうことで、次回!【悪魔と奇跡が出会うとき】お楽しみに〜!」
ジェーン「ふぅ…なんとかなりましたね…」
コウテイ「助かった……あの人面倒くさいからなぁ」