【アラフェネぶらり旅】
[最終話] 「みなと さばんなちほー」 Aパート
ア???「懐かしいなー」
とうとう『さばんなちほー』に帰ってきた。
ア???「挨拶に行っとこうかな」
水場にやってくると先客が居た。
サバンナシマウマさん、トムソンガゼルさん、フォッサさん。
そしてカバさんは「おでかけ」ということだった。
ア???「ただいま戻りました!」
シマウマ「お帰りなさい」
ガゼル「お帰りー」 ヘ(^^ヘ)(ノ^^)ノ
フォッサ「お帰り。 それで何のフレンズか分かったのかい?」
アードウルフ「はい。 わたし『アードウルフ』でした」
フォッサ「・・・ そうか…」
アード「ナーバリは『さばんな』なので、よろしくお願いします」
シマウマ「よろしく~」
ガゼル「よろみんみ~」
アード「ところで私、賃貸派なんですけど、空いてる場所ってありますかね?」
フォッサ「それなら『サーバル』がナーバリにしてた場所があるよ」
ののののののののののののののののの
サーバルさんが「QK所」と呼んでいる、という場所に来た。
フォッサ「その木の裏にもサーバルが物置に使ってる穴があると思うから、自由に使っていいよ」
アード「大事なものなんじゃないんですか?」
シマウマ「大したモノは置いてないと思いますよ」
ガゼル「しまってあることも忘れてるんじゃないかな?」
フォッサ「あの子は、しばらく帰って来ないだろうから、大丈夫だよ」
覗き込んでみると、いろんなモノが雑多に転がっている。
セミの抜け殻、ビー玉、穴の空いた昆布、干からびたジャパリまん・・・
一番奥に袋があった。
薄汚れているとはいえ袋に入っている分、他のガラクタに比べ明らかに扱いが違う。
中身を取り出すと沢山の緑色の紙が出てきた。
綺麗に折られ何かの形になったもの、それに似せようとしたものの どこか歪なもの、
そして1つだけ... 一部が焼け焦げたものもあった・・・
自然と涙が溢れていた。
アード「早起きしたからかな…」
きゃあああぁぁぁ…
アード「!」
♪~ BGM「セルリアンのテーマ」
表に戻ってくると、大きく青いセルリアンが目の前にいた。
フォッサ「きみたちは逃げろ!」
サバンナシマウマは早々に逃げ、どこにいるか見つけられない
セルリアンは動くものに反応するらしく、トムソンガゼルは「欠」の姿勢でじっと動かない。
私は車の前に飛び出してしまった『けもの』のように足が竦んでしまった。
セルリアンの触手が伸びてくる。
フォッサ「ぼーっとしない!」
私を突き飛ばしたフォッサさんが割って入り、襲い掛かるセルリアンの触手を掴む。
アード「あの、私も何か・・・」
すっ転んだ私はなんとか起き上がり、おそるおそる声を掛ける。
フォッサ「いいから逃げろ!」
そういうフォッサさんにも余裕があるようには見えない。
別の触手がフォッサさんを襲う。
でも目の前の触手を抑えるだけで精一杯のようだ。
アード「危ない!」
フォッサさんは触手を掴んだままジャンプして、もう1本の攻撃を躱す。
しかしすぐ次の攻撃が迫っている。
確かに、私には空を飛ぶ羽も、それほど早い足も、泳ぎに適したヒレもない。
自分の無力さに腹が立った。
ふと手元を見るとさっきの袋があった。
青い世界の中から見える「さばんな」・・・
赤いシャツを着た誰かが緑色の何かを・・・
我に返った。
ほんの一瞬の出来事だった。
袋の中をまさぐる。
取り出した緑色の何かを構え、夢の中の誰かを真似て・・・
投げる!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
時が止まった...
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
セルリアンは滑空するそれに気を取られ、動きが止まる。
フォッサさんも呆気に取られていた。
がさがさ...
オレンジ色でしなやかな体躯の何かが草をかき分けて走る音がする。
ジャンプ! してセルリアンに体を預けるように爪を立てた・・・・・・
ぱっかーん!!
そのオレンジ色のフレンズ(?)は何も言わずに去っていった。
耳の先の房毛が、とても印象的だった…
フォッサ「すっごーい!」
フォッサさんは空跳ぶ緑色がセルリアンを倒したと思ったらしい。
シマウマ「みんな無事ですか?」
ガゼル「なになに? ソレ」
あとで聞いたところによると「紙飛行機」というらしい。
それを教えてくれた博士と助手は懐かしそうな顔をしていた。
口々に「私もやってみたい」と言っては投げていたが、誰も上手く飛ばせなかった。
フォッサ「もう一回やってみてよ」
そう請われて何度か挑戦してみたが、今度は私も飛ばせなくなっていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
でも、一度は飛ばせたんだ。
やれば出来る。
そう信じて、今 自分にできることをしようと思った。
いつか出会うであろう大切な人のために・・・
ただ、その後... あの夢も、夢の続きも見ることはなくなっていた...