けものフレンズBBS NEO

【ss】JPR -黒のスタート- / 28

30 コメント
views
89 フォロー
28
ファンタグレープ_炭酸GIGAMAX@ふるるーになりたい 2018/06/05 (火) 21:40:48 修正

>> 8の完全版を今アップ。

通報 ...
  • 29
    ファンタグレープ_炭酸GIGAMAX@ふるるーになりたい 2018/06/07 (木) 22:21:18 修正 >> 28

    2018年 6月17日 午前8時

    「今日もいい朝だよよよ…。コーヒーでも飲もうかななな…。」
    目覚め直後のカピバラが、そんな言葉を発しながらキッチンへと向かう。
    コーヒーの袋をお湯の入ったカップの中へと沈め、カピバラはそのカップを片手にベランダへと出た。
    「あっ。カピバラじゃん! おはよっ!」
    隣のベランダから一人のヒトのフレンズがそんな声を掛けてくる。
    カピバラはそんなヒトのフレンズを見つめ、言った。
    「ああ。美代。おはよーだよよよ…。」
    そんなカピバラを見つめ美代は言う。
    「ていうかあんた、まーたそんなだらしない格好なんかして。…少しは身だしなみに気を遣ったら?」
    そんな美代の言葉に、カピバラは答えた。
    「どうせこの格好で居るのは家の中だけだから、外に出る時はちゃんと着替えるよよよ…。」
    「…そう。それじゃあ私は戻るね。今日も出勤早いんだぁー。」
    「私も家に入るよよよ…。早めに出掛けたいからねねね…。」
    二人はそれぞれそんな言葉を交わして、家の中へと入って行った。

    「いただきますだよよよ…。」
    カピバラがそう言って箸を手に取り、ご飯を挟もうとした、その時。
    「イヤアアアアアア!」
    そんな叫び声が隣の部屋から聞こえてきて、カピバラは思わず飛び退いて、尻餅をついたが。
    「美代、また朝からホラー映画見てたのねねね…。毎回驚くよよよ…。」
    美代はホラー映画好きで有名だった為、カピバラが直ぐに駆け着く…ということもなく、カピバラはご飯を食べ続けた。
    そんな行動が、自分を事件に巻き込んでしまう要因になるとは、この時のカピバラには知る芳しもなかった。
    …食べ終えた後、食器を片付け、カピバラは帽子や服、靴を身に付けた。
    「さーてと。久しぶりの休日。お出掛けに出発だよよよ!」
    明るい気持ちを胸に、カピバラは扉を開けて飛びだし
    「グチャッ。」
    そんな粘着質な音がし、
    「…? 今の何だよよよ…?」
    そんな声を出してカピバラは足元を見た。
    そして、そこにあったものは。
    濃くて、赤くて、粘着質の…血。
    少し視線を変えると映るそれは、そんな血を腹部から流しながら、目を開けて倒れている、美代の姿だった。
    「み…美代…?」
    カピバラが美代を片手で揺さぶりながら言う。
    カピバラが手を離すと、その身体は力無く、ゴロリと仰向けになった。
    「キャーーーーーーーーッ!」
    1日が始まったばかりのまだまだ青い空に、そんなカピバラの悲鳴が響いた――。

    「被害者は伊藤美代、26歳。調べた所によると、胸や腹を複数回、刃物で刺されたようだ。」
    白い壁に覆われ、中央にテーブルが置かれた部屋で、ヒグマが言い、続ける。
    「第1発見者はカピバラ。しかし彼女には、その時間帯は食事をしていたというアリバイと、その証拠もあるため、彼女が犯人と言う線は薄いだろう。」
    「彼女の親族はどうなんですか。」
    かばんがそんな質問をし、ヒグマは答える。
    「いや、その可能性は低い。彼女は独身で、母親は10年前に乳ガンで死亡しているし、父親も3年前に事故死しているからな。それに、妹もその時間帯はスーパーでバイトをしていることが、バイト先の証言から分かった。」
    「…なるほど。これで親族が犯人という線も薄くなりますね。」
    かばんがそう言い、椅子に腰かける。
    そんなかばんを見つめてから、ヒグマは言った。
    「現場には争った形跡は無い。恐らく、扉を開けたとたんに胸を一突きされ、その場に倒れ、死亡してから、また刃物で胸や腹を複数回刺して、場所を移動させたらしい。」
    その場に居たヒグマ以外の全員が頷く。
    ヒグマの隣に座っていたリカオンが、ヒグマが言った言葉を一つ一つ確認しながらノートへと書き込む。
    「凶器も持ち去られているため、指紋の採取は出来なかったが、血がついた床を犯人が踏んだのか、足跡から靴を特定できた。……KINS《カインズ》のスポーツシューズだった。」
    そのノートの中は、殺伐とした内容ばかりで埋まって行った。
    しかし、次のコツメカワウソの言葉で、ノートの内容は明るく書き換えられた。
    「はいはーい! KINSって、確かキンシコウさんがファッションデザイナーだった時に考えたファッションブランドだよね!」
    「マジで?」「本当ですか?」そんな声で、辺りがザワつく。
    「静かにしろ! 会議中だぞ!」
    ヒグマのその声で、ざわめきは収まり、辺りは静まり返った。
    「ヒグマさん……。」
    キンシコウがヒグマにそう呟く。
    「いいんだ、キンシコウ。気にするな――あの事は。」
    ヒグマはキンシコウの呟きにそう囁き返した。
    「話がずれてしまったな。えーと。で。そのKINSのスポーツシューズを履いている奴が走っている姿を目撃したという情報が、昨晩七王子に居た者達から多数寄せられた。……かばん。」
    ヒグマのその声に気付いていないのかと、サーバルがかばんの肩をポンッと叩いた。
    「……あああああ、はい。」
    かばんがそんな返事をし、 パソコンへとそのメモリを差し込んだ。
    「 ちょ、ちょっと待ってて下さい。」
    そんな声を上げ、かばんはカチカチとマウスを使い、パソコンを全員が見えるように動かして。
    「……こちらが、その証拠の映像です。」
    かばんはそう言って、マウスを一回、カチリと押した。
    そんなマウスの音と友に、動画のロードが始まり再生され始めた。
    その動画の中で、人々が暗い足元を歩き、楽しそうに会話をする中一人、あのスポーツシューズを履いて走る、ヒトの姿が映っていた。
    ……途中でかばんがその映像を止め、ヒグマが再び口を開いた、その時。
    「すいません!」
    勢いよくドアを開け、一人のフレンズが入ってきた。
    「 どうしたんだ、《《カコ》》。」
    そうヒグマに聞かれ、そのフレンズは答えた。
    「 また一人、ヒトが殺されました。」
    その言葉を聞き、ヒグマは目を丸くして言った。
    「なんだと!」
    そしてそのフレンズは……カコは、こう続けた。
    「 それと……ミライさんが、刑務所から逃げ出しました。」
    その言葉を聞き、ヒグマは血相を変えて言った。
    「なんだと……!?」
    ヒグマの後ろの窓からゆっくりと近づいてくるフレンズを見つけ、かばんは叫んだ。
    「ヒグマさん! 後ろ!」
    ヒグマが慌てて後方を振り向くも、見るのが間に合わず、何が何なのかも分からぬまま、その正体不明のフレンズに、床へと押し倒された。
    「ヒグマちゃーん!会いたかったわー♪」
    悶えるヒグマに、そのフレンズ……ミライがそんな事を言って頬を擦り付ける。
    「その声は……ミライ! ……っあ、やめろ!」
    「ヒグマさん!」
    そんな状況に悶えながら、ヒグマは言った。
    「まあ、これで人員は増えるからとりあえずよしとしよう……。とりあえず、今は――。」
    ヒグマが持っている熊手を上へ掲げながら言い、続ける。
    「こンの……。レズ人間があああああぁぁぁァアアアァァァアアアアア!」
    そしてヒグマは、その熊手を、前にいるミライへ向かって振り下ろした。
    >> 30