本文15
BGMはそのままお流しください
フェネック「...右!」
カレント「了解だ!」
フェネックの先導でカレントは黒服の男を追う。
屋根の上を走っているのでカレント達の視界を妨げる物は無かった。
下からはざわめきやシャッターを切る音が聞こえる。カレントは苦々しく舌打ちをした。
カレント「少し目立ち過ぎたか...!」
フェネックもカレントも追われている身だ。情報が拡散されるのは避けたかったが、背に腹は変えられない。
カレントは自分の前を走るフェネックに叫んだ。
カレント「ちゃんと顔を隠しておけよ!」
風を切って屋根から屋根へと飛び移り、男との距離を縮めていく。
カレントでも肉眼で男の顔が認識出来る距離まで来た。
前に目をやると、広大な駐車場と高速乗り場が見えた。トワのジャパリバスも待機している。
男も此方に気付いた様で、通行人を突き飛ばして逃げ足を早めた。
カレント「そろそろ方を付けよう!ワン.ツー.スリーだ!OK?」
フェネック「そーゆーのには慣れてるよー!」
フェネックの返答にカレントは満足そうに笑う。
カレント「上等だ!行くぞ!ワン!」
フェネックとカレントは足を早めて助走を付けた。
フェネック「ツー!」
二人が走る先に建物は無く、下に通行人がいる歩道があるだけだ。
カレント「スリィィッ!」
二人は助走で付けた勢いを使って屋根から飛び降りた。直地点にいるのは勿論黒服の男だ。
突然の飛び降りた二人に悲鳴が上がる。二人は男の目の前に着地した。
通行人が一斉に後ずさりして三人を囲う円が出来る。
カレント「さて、ジャパニーズ"鬼ごっこ"は終わりだぜ?」
男「ど、どうしてだッ!?ナゼ人混みの中を逃げていた俺の場所が分かったッ!?」
男はサングラス越しでも分かるほど目を見開いて叫んだ。
カレントがニヤリと笑い、拳を構えた。
カレント「教えてやろう。留置所の中でな!」
カレントは男に殴りかかった。男は間一髪パンチをかわすが、目元を掠めた拳にサングラスを弾き飛ばされた。
男「く、くそッ!」
カレント「俺のパンチをかわすとは!なかなかやるようだな!」
男「コケにしやがってッ!」
男が殴りかかってきたがカレントは表情一つ変えずに男の顔面にカウンターパンチを入れた。
前歯が宙を舞い、男の体がその場で崩れ落ちた。BGM終了
フェネック「...勝った...かな?」
カレント「...いや、そこまで軟弱では無い筈だ」
カレントの読み通り、男は顔面を押さえて立ち上がった。
男「ど、どうやら俺を怒らせちまった様だな...!」
男はよろよろと数歩後ろに退って高級そうなスーツの懐から銃を取り出した。
カレントの目付きが変わり、辺りからも甲高い悲鳴が上がる。男が銃口を此方に向けた。
男「う、動くなよ...!ここで発砲すればどうなるか位わかる筈だ...!」
カレント「・・・・・・・」
半ば投げやりに笑う男の銃口が向けられた先はカレントでは無く、フェネックだった。
To Be Continued