本文13
カレントは振り返らずに静かに答えた。
カレント「....なんでしょう?」
すると男はカウンターに一枚の写真をおいた。
男1「この写真の少女を探しているのですが...」
カレントは自分の正体がバレていない事に安堵して写真を確認した。
トワ「あれ?これは...」
カレント「...!」
その写真に写っていたのはまぎれもなくフェネックだった。やはり彼女もコイツらから狙われていたようだ。
お人好しのトワが男達に笑顔で答えようとする。
トワ「この子なら、カレn...」
カレントはとっさにトワの顔をカウンターに叩きつけた。
カレント「お、おいダイジョウブカー?ドウヤラグアイガワルイミタイダー(お前は黙ってろ...!)」
男1「は、はぁ...」
男2「あの、すいませんがこちらを向いて頂けませんか...?」
男の一人がカレントにそう言った。だが、後ろを向けば一発で正体がバレてしまうだろう。
しかし誤魔化し続けてもいずれカレントかフェネックのどちらかは正体がバレてしまう。
カレントは男達に聞こえないようにうつむいているフェネックに言った。
カレント「少々荒っぽくなるが、ここを突破する。」
フェネックが微かにうなずいた。カレントは男の方をふり返えった瞬間火のついたタバコを男の顔に向かって吹いた。
タバコは見事男の顔にヒットして男は思わず仰け反る。これが開戦の合図だった。
カレントはカウンターから立ち上がって仰け反った男の顎を蹴りあげた。突然の出来事に食事をしていた客達から悲鳴が上がる。
顎を蹴られた男がぶっ倒れて、後ろの男達が驚きの声を上げた。
男2「ジャック・カレント!?」
男四人がカレントの正体に気付き次々に飛びかかった。カレントは男達のパンチをヒラヒラと踊るかの様に優雅にかわす。
トワはまたもや状況が飲み込めず呆然とカレントの戦いを見ている。
カレント「トワ!レッスン1だ!」
カレントが攻撃をかわしながら叫んだ。
トワ「へ?」
カレント「いいかトワ。最初のレッスンは"体の流れをつかめ"だ!よく見ておけ!」
次の瞬間カレントは殴りかかって来た男の腕を掴んで引っ張った。パンチに逆に勢いをつけられた敵はテーブルにぶつかって派手に転んだ。
トワ「!!?」
カレント「これが"体の流れをつかむ"だ。」
カレントは残った三人の猛攻をかわしながらそう言った。
男3「くそ!ちょこまかとッ!!」
男が苛立ち、カレントにエルボーを食らわせようとしたが怒り狂った牛をかわす闘牛士の様にカレントはヒラリと左にかわす。
カレントは戦闘を楽しんでいるかのように笑っていた。
カレント「ここは朝の公園じゃねぇんだ!体操なら外でやってくれ!」
カレントが男の腹に回し蹴りを食らわすと、男が呻き声をあげて腹を押さえた。今度は隙だらけになった顔面に蹴りを食らわす。
男の巨体が崩れた。
男4「く、くそッ!アイツを人質に取れば...!」
男の一人がトワの方に飛びかかった。
カレント「しまった!トワ!危ないッ!」
カレントがそう叫んだ刹那、フェネックが間に割って入り自分より遥かに大きな男を殴り倒した。
フェネック「わたしの友達を襲おうなんて関心しないなー?」
カレント「すまない!フェネック!」
一人残された男は後ずさりし、任務を放棄し背を向けて逃げ出した。援軍でも呼ばれると厄介だ。
カレント「あ!ちくしょう!逃がすか!お代はコイツらに付けといてくれッ!」
カレントも床に倒れた男達に勘定を擦り付けて店を飛び出す。
フェネック「あ、私もその人にはちょっと用があるんだよねー」
フェネックもカレントの後に続いて店を出る。
トワ「あぁ...ちょっと..!..すみません!ごちそうさまでした!」
店員と倒れた男達に挨拶をしてトワも続く。
一瞬のうちに過ぎ去った嵐に客も店主も開いた口がふさがら無かった。
ただ目の前には気絶した男達と荒れ放題の店内があるだけだった。
To be continued
レッスン1…!?
ニョホッ
その流れだとトワが「できる訳がないッ!!」とか言い出しかねない(笑)