本文9
裏路地を出て、カレントはトワの元へ戻った。
トワ「あ、やっと帰ってきた!大丈夫でした?」
カレント「ん?あぁ、大丈夫だ。だがいまいちスッキリしない。」
トワ「あぁ~。そういうことありますよね。なんかつかえる感じ。」
カレント「これはもう少し時間がかかりそうだな...」
トワ「聞き込みをしてるうちに解決しますよ。」
噛み合っている様で噛み合っていない二人の会話をカレントの腹の虫がさえぎった。
カレントは腹をなでて呟く。
カレント「そういえば、朝食も食って無かったな...」
トワ「どこか店に入りましょう。ついでに聞き込みも出来ますし。」
カレント「そうだな......」
・
二人は手近なバールに立ち寄った。
カレントは店の入り口で店内を用心深く見回し、黒ずくめの人間がいない事を確認して中に入った。
カウンター席に座るとすぐにトワがメニューを広げる。
トワ「何にします?」
カレント「そうだな...とりあえずミートボールスパゲティとサンドウィッチ...」
トワ「そんなに食べるんですか!?」
カレント「あたりまえだ。お前はどうする?」
トワ「僕はホットサンドとエスプレッソでいいです。」
カレント「ホットサンドだけぇ?」
トワ「ほっといて下さい...少食なんです。」
カレント「ま、いいさ。取り合えずたのもう。」
カウンターの奥で作業をしていた店員を呼んで注文をする。
カレント「そうだ、あんたこの辺りで空飛ぶセルリアンを見なかったか?」
トワから注文をきいていた店員にそう訪ねると店員は目を丸くした。
店員「空飛ぶセルリアン?」
トワ「はい。それもフレンズの見た目をした...それとエスプレッソをお願いします。」
店員「はいよ。...お客さん達バカ言っちゃいけねぇ。この辺りはセルリアン対策はバッチリなんだ。セルリアンなんか滅多に現れねぇよ。」
トワ「そうかですか....ありがとうございました。あ、注文は以上です。」
店員「たいした役に立てず申し訳ないね...料理はすぐできるから。」
それだけ言うと店員はキッチンに戻っていった。
トワ「収穫なしか...」
カレント「いや、そーでも無いみたいだ。」
トワ「?」
カレントの視線の先には店の隅のテーブル席にひとり座る人物がいた。
この辺りは比較的温暖な気候だと言うのに大きなフード付きのコートを羽織って、顔が見えないほどフードを深くかぶっている。
トワ「あの人がどうかしました?」
カレント「アイツ、俺たちがセルリアンの話をしたとたん妙にソワソワし始めやがった。」
トワ「気のせいじゃ無いですか?」
カレント「気のせいかどうか確かめる方法が一つある。」
カレントは立ち上がってその人物の元へ歩いていく。
トワ「ちょっと..!?」
カレント「なぁあんた、少し聞きたいんだが...」
???「・・・・・・」
カレントが話しかけてもコートの人物はピクリとも動かない。カレントは想定内であったかのように気にせず続けた。
カレント「アニマルガールの形をした空飛ぶセルリアンを見なかったか?」
To be continued