本文4
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トワ「ここ、アンイン地方は地形の50%が森林で形成されているので、森のフレンズさんに沢山会えますよ」
カレント「ほー...」
カレント達は観光の為にバスでアンイン地方森林エリアを訪れていた。
トワ「あ、そうそう..ここには歌が好きなフレンズさんがいまして...」
カレント「歌ねぇ...」
カレントはトワの話を半ば聞き流しながら窓の外をを眺める。
木々の隙間からさし込む木漏れ日と、開け放された窓から入り込んでくるそよ風が心地よい。
背の低い木が生い茂る景観はまさに日本の森そのものだ。
バスはトワが運転しているのだが、教習所を出たばかりかと疑いたくなる程ゆったりとした安全運転だ。
ノロノロ運転のバスに揺られながら、森に観光に訪れたのは三年前のアカディア国立公園以来か。なんて事を考えていた
もっとも、アカディア国立公園の木々はここの物とは比べ物にならないほど巨大な大木だったが。
トワ「・・・カレントさん。聞いてます?」
カレントはトワに声を掛けられてようやく我に帰る。
カレント「あぁ、聞いてるよ。勿論だ。えーっと、君は歌が好きなんだっけ?」
トワ「・・・・・・・・」
トワがカレントを呆れたような顔で睨んでいるが、カレントは何故自分が睨まれているのか、さっぱり分からなかった。
そのときだった。
カレント「な、なんだ!?」
凄まじい速度で茶色と白の人影が上空を横切ったのが一瞬見えた。
そのあとを追うように、翼竜のようなものが飛びさる。
トワ「ハカセ!?それに、バードリアンッ!?」
カレント「知り合いか!?」
トワ「ええ!!セルリアンに追われてるみたいだ!助けないと!」
カレント「どうやって!?」
トワ「とりあえず、誰か飛べるフレンズを...」
トワがアニマルガールに頼ろうとしている事に気付いたカレントは間髪入れずに叫んだ。
カレント「いや、その必要はない!ハンドルかわれ!」
トワ「えっ!?ちょっ..」
トワを強引に運転席から自分の座っていた助手席に移し、自分が運転席に乗り込んだ。
助けを呼ばさなかったのは無関係なアニマルガールを危険に晒さず、トワ自身に体を張って貰うためだ。
危険な賭けにになるが、ここで失敗するようではJPPなどつとまる筈がない。
カレント「しっかりつかまってろよッ!」
カレントはバスの客席部分のジョイントを解除し、おもいっきりアクセルを踏み込んだ。
バスの運転席部分だけが勢いよく急発進し、フェンスを突き破り森に入る。
トワ「何を!?」
カレント「決まってるだろ!追いかけるんだよ。」
トワ「なッ!? 無茶です!」
絶妙なドライビングテクニックで木々をかわしながら、生い茂る木の葉の隙間から見える影を追いかける。
整備などされていない悪路で車体が大きく揺れる。数分も走り続ければ間違いなく酔うほどの悪路だ。
カレント「トワ、お前射撃は得意か?」
トワ「何でそんな事をいま!?」
カレント「いいから!」
トワ「・・・・・・一応得意な方です。」
トワが困惑しつつ答えると、運転しながらもホルスターから銃を引き抜きトワに放り投げた。
カレント「そいつでセルリアンの頭を狙え!」
トワ「無茶です!本物の銃なんか撃った事ない!」
弱気なトワに、前を見据えたままカレントが怒鳴る。
カレント「ぐだぐだ抜かすな!!あいつらを助けたくないのか!?」
すると、トワの目つきが変わった。
トワ「いや。絶対に助けます。」
その声のトーンにカレントが一瞬驚いたようにトワを見つめ、ニヤリと笑った。
カレントが思っていたほど、トワは根性無しでは無かったようだ。
カレント「上出来だ!覚悟はいいか?一瞬だけ狙撃のチャンスを作る!そこを逃すな!」
トワ「わかりました!やってやりますよッ!!」
その言葉を皮切りに、カレントは木々を避けながらもぐんぐんバスの速度を上げてゆき、真上にセルリアン達を捉えた。
カレント「構えろ!」
トワ「はい...!」
バスはさらに速度を上げ、倒木に突っ込んだ。
倒木をジャンプ台にした車体は木の葉の中を突き抜け、上空へ飛び上がる。
空を覆っていた木の葉を突き抜けた事で一気に視界がひらけ、自分達の真横にセルリアンと二人のフレンズを確認する。
木ぶつかるすれすれを低空飛行していたようだ。
突然森林から飛び出してきたバスに、逃げていたフレンズは驚いた。
ハカセ?「なんですッ!?」
トワが構えたリボルバーの直線上にセルリアンを捉え、トワとカレントが叫んだ。
「今だぁぁぁッ!!」
リボルバーから放たれた弾丸は、見事セルリアンの頭部を破壊した。
カレント「よしッ!」
バスの運転席部分が勢いを失い、地上へと逆戻りする。
バスは思った以上の強度で大破こそしなかったが、凄まじい衝撃で体中をぶつけた。
トワ「痛たたた...」
横転したバスから必死で這い出たそのとき。
頭部を失いコントロール不能になったセルリアンが落下してきた。
作戦成功を確認したカレントはトワに微笑みかけ、手を差し出した。
カレント「やるじゃないか...」
差し出された手に答え、トワとカレントはハイタッチし、泥だらけの顔で笑いあった。
────これが、後に様々な冒険を繰り広げる二人、「JPP」の始めての戦いだった。
To be continued
修正修正っと...
やっぱりアクションシーン書くのムズカシイ....
でもこれでようやくフレンズが登場するところまで書けたぞ。
ここまでけもの要素ゼロだったからな~(笑)