本文6
カレント「遅い...」
カレントは管理センターの外で夜風に当たりながらタバコを吹かしていた。
トワを送ると言ってからしばらく経つがミライが帰ってくる気配が一向に無い。
”送る”と言っていたのは管理センターの出口まででは無く、職場か自宅の事だったらしい。
カレント「遅い...!」
タバコを灰皿に放り込み、いっそのこと街にくり出してやろうか。なんて考えていた時だった。
職員「あの~、すいません。」
中から出てきた職員に声を掛けられた。
カレントが面倒くさそうに応じる。
カレント「・・・・・・なんです?」
職員「ミライさんから伝言です。」
カレント「はぁ..?」
職員がポケットから出した紙切れを読み上げる。
職員「.....え~、『カレントさん申し訳ありません。ちょっと緊急の仕事が入ってしまい、帰れなくなりました。』」
カレント「・・・・・・」
職員「駐車場の30番にカレントさんに使って頂く車が停めてあるので、それに乗ってカレントさんに寝泊まりして頂く”JPP”の本部に行って下さい。」
職員「・・・・とのことです。」
カレント「・・・・はぁ...」
カレントは伝言を聞き終わり、深々とため息をはく。
職員「すいません代わりの者を出せなくて...”女王事件”以来次々と職員が辞めていってしまって、人手不足なんです...」
カレント「いや、一人の方が気が楽さ。」
職員から車のキーと地図を受けとり、30番を探して駐車場をうろつく。
カレント「お、あったぞ!」
30番の駐車スペースを見つけ、これからパークでの職務を共にする相棒の元に駆け寄る。
カレント「ほぉ...こいつは...」
そこに停めてあったのは、真っ白なプントだった。
ドアに手を掛け、語りかける。
カレント「よろしくな。」
エンジンを掛けると、エンジン音と供に車体が振動する。
その小気味良いエンジン音にカレントは思わず笑みを浮かべる。
カレント「イタリア車とは、なかなか分かってるじゃないか」
アクセルを踏むと一瞬体に負荷が掛かるのを感じる。最近の高性能な車では味わえない感覚だ。
カレント「よし、出発だ。」
窓を開け、カレントは職場件自宅へと走りだした。