本日は2001年に、日本初の牛海綿状脳症に感染した恐れのある乳牛が
千葉県で発見されたと農林水産省から発表された日であります。
・牛海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopathy・BSE)は、
牛の脳の中に空洞ができてスポンジ(海綿)状になる感染症(プリオン病)で、
狂牛病と呼ばれる事もあります。羊のスクレイピーや、鹿の慢性消耗病(CWD)、
ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病などを総称して
「伝達性(伝染性)海綿状脳症」と表記される場合もあります。
この病気を発症した牛は、当初は群れから離れたり
痙攣を起こしたりする他には目立った症状は現れませんが、
やがて音や接触に対して過敏な反応をするようになり、病状が更に進むと
運動機能に関連する部位も冒されて立てなくなるなどの症状を示します。
現在においても感染したウシに対する治療法は存在せず、
感染したウシは焼却処分する他ない状況となっております。
ウイルスなど核酸を有した病原体による病気ではなく、プリオンと呼ばれる
タンパク質のみで構成された物質が原因だとする見解が主流でありますが
有力な異論や異説もあり、プリオン原因説は完全な定説とはなっておりません。
・BSEは1986年にイギリスで初めて特定され、のべ160件弱の発症が報告されました。
当初イギリス政府は牛肉との因果関係を否定しておりましたが、
後の報道の活発化に伴い、牛由来の物質が最も疑わしい旨を表明されました。
イギリス政府は30か月以上の牛を全て食用から除去するという政策を施行し、
370万頭に対する焼却処分を余儀なくされました。
2000年の欧州連合によるBSEのテストキットの認証を待ち、
同月齢以上の検査サンプル数を大幅に増やして行った検査の結果、
のべ178000頭のBSEが発見されました。
BSEの原因は、飼料として与えた汚染肉骨粉が感染源と考えられております。
その汚染肉骨粉は特定危険部位と呼ばれる部分を使って製造されており、
現在は国によって違いがあるものの特定危険部位は除去されております。
・また、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病はBSEと非常によく似ており、
1993年5月のイギリスを機に、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病によって
亡くなられた方が次々と確認されました。当初ヒトには経口感染しないと
思われましたが、BSEに感染した材料で作られたキャットフードを食べたネコが
海綿状脳症を発症した事から、食物から感染した疑いが非常に高くなり、
その後の調査で牛同士以外でも牛肉を通じての感染が明らかとなりました。
・BSEは頭数の大小こそあれど世界各国で発症例が報告されており、
日本では2001年9月10日に農林水産省から、千葉県内で飼育されていた牛が
BSE発症疑いである事が発表され、後にBSE発症が確定となりました。
その後、BSEに伴うウシの大量処分、企業による牛肉偽装事件の発生も相次ぎ、
畜産業や精肉店などの食肉関連産業、食品加工業や外食産業、
スーパーマーケットなどの流通業、そして一般消費者を巻き込んで、
食の安全が問われた一大問題は2000年代を通じて続く事となりました。
ジャパリパークにお住まいのフレンズの皆様には、
パーク内の研究機関を含めた医療システムによる健康管理が行われております。
旧アプリ版でのガオガオ病を除けば特に疾病らしいものは示されておらず、
食事を含めた健康管理がしっかりと行われていると考えられます。
これまで、動物を由来とする感染症は幾つも報告されており、
現在の新型ウイルスも動物が由来と考えられております。
生き物と向き合う以上、疾病などのリスクも充分に考えられますが、
それに対処する事で医療の進歩など様々な発展を遂げた事も事実であります。
生き物同士の共存は終わりのない課題でもあるのです。
本日もお祈りいたします、みんみー。