本日は1661年にストックホルム銀行が、
世界初の国家の承認を受けた紙幣を発行した日であります。
・スウェーデン国立銀行はスウェーデンの中央銀行であります。
前身となる「ストックホルム銀行」は、1656年にヨハン・パルムストルック氏が
創設された民営の融資銀行/為替銀行であり、同行の設立は
当時のスウェーデン国王カール10世に承認されたものであります。
民間企業でありながら政府機関としても機能していたのが特徴でありました。
ストックホルム銀行の経営は初期から近代的であり、
融資部門では動産/不動産を担保とする貸付ができ、
為替部門では国内に流通していた複数種の通貨の預金、現物の鋳貨の引き出し、
小切手を振り出して預金を預けたまま譲渡を行う事も可能でありました。
特に後者は、預金債権の譲渡が原則禁止されている
今日の銀行システムとは対照的なものでありました。
同行は順調に利益を出しましたが、国内で銀や銅が不足する状況となると、
純銅を従来券面額で鋳造されていたところを、他の金属を混ぜて
券面額を増やす改鋳が行われる事が決まりました。
券面額が同じ銅貨を比べると改鋳前の方が銅が多く含まれており、
ストックホルム銀行は素材価値で勝る改鋳前を大量に預かっていたため、
融解輸出して利益を得ようとする預金者が取り付けに殺到し、
銀行が保有する銅貨は瞬く間に融解輸出に廻る事となりました。
1661年7月16日、これに対応する形でヨーロッパで初となる
紙幣の発行に踏みきる事となりました。これはいわゆる信用紙幣であり、
銀行振り出しの手形である事から鋳貨に兌換できるものでありました。
同じ券面額の銅貨に対して、時としてより高い相場で取引された事から
同行は紙幣を貸付に用いて融資を活発化させました。
しかし、紙幣の流通量が増えた一方で金庫の鋳貨が増える事はなかったため、
鋳貨準備率低下で兌換が難しくなった結果、1663年秋にデフォルトが公となり、
紙幣は割引かれて新規融資もストップする事となりました。
1668年9月17日、スウェーデン議会にて新銀行設立を認可する法律が制定され、
新銀行の経営権は議会の監督下に置かれました。
この「国立諸階級銀行」はストックホルム宮殿を間借りする形で新設され、
旧ストックホルム銀行の資産/負債/雇用関係の一切を継承せず、
認可されたその日のうちに開業されました。
発進力として、政府は王室の流動資産を国立所階級銀行へ預けるなど、
王室と銀行との結びつきを強めましたが、これは王室の状況によって
銀行の経営が左右される事でもあり、1709年に勃発したポルタヴァの戦いで
国が敗れた事をきっかけにデフォルトは断続的に発生する事となりました。
1718年のカール12世政権の終焉から1772年のグスタフ3世のクーデターまでの
半世紀に渡る議会統治とそれに伴って公民権が拡大した期間である
「自由の時代」を経て、銀行経営は諸階級の手を離れて財務大臣に移り、
その後、1830年代に民間銀行制度が整った事で、諸階級銀行は民間銀行の
準備率を満たすための「準備金」を集める立場となりました。
1866年、議会改革によって王国の4階級が廃止されて、
議会に上院と下院が設けられ、その翌年から議会によって
国立諸階級銀行は「スウェーデン国立銀行」に改称されました。
1873年、スウェーデンはデンマークと共に、金を基礎とする
「スカンディナヴィア通貨同盟」を結成し、共通の通貨単位として
クローナを導入して諸外国に対して統一的な為替レートを設定する事となり、
1875年にはノルウェーも参加しております。
1879年に民間発行の手形が割引され、国立銀行の一般企業向け貸出を廃止し、
1896年に手形交換制度が制定され、その翌年にスウェーデン国立銀行は
立法により通貨の独占発行権を獲得する事となりました。
その6年後に民間銀行の発券が停止された事によって、
スウェーデン国立銀行は中央銀行としての役割を果たす事となり、
1899年に手形交換制度が国立銀行によって運営される事が決まりました。
第一次大戦/世界恐慌/第二次大戦の時代にわたって経営が続けられましたが、
1992年にクローナが暴落し、カナダ銀行の指導を受けて為替相場の変動と
インフレターゲットに基づいた金融政策を構築する事となりました。
2007年から2010年までの世界金融危機を経てからの政策は、
日本銀行の政策と似たものであるとされております。
ジャパリパークではパーク内専用の通貨「ジャパリコイン」が流通しております。
この通貨はパーク内の様々なサービスに対して利用可能でありますが、
現金と引き替えで得られるものなのかどうかは判然としておりません。
現在、暗号資産など通貨においてもデータ化が進んでおりますが、
貨幣や紙幣といった現金は今でも大きな価値を持った存在であります。
資産としての有り難みを改めて考えるのも良いかもしれません。
本日もお祈りいたします、みんみー。