本日は1950年に、国際労働機関(ILO)の条約である
「結社の自由及び団結権の保護に関する条約」が発効された日であります。
・「結社の自由及び団結権の保護に関する条約」は、
労働者及び使用者が団体を結成し加入する権利を持つ事と、
行政機関がこれらの権利の制限等を行なってはならない事を規定しております。
「ILO87号条約」とも呼ばれており、現在155ヵ国が批准しております。
1948年7月9日にアメリカのサンフランシスコにて採択され、
1950年7月4日に発効された基本条約の一つであります。
・日本ではILO条約批准闘争が労働界で起こり、
公共企業体等労働組合協議会(公労協)や日本労働組合総評議会(総評)は
同条約に違反する日本の国内法を挙げてILOへ提訴しておりました。
日本政府側は1960年から62年まで毎年、本条約の批准案件となる
各法案を国会に提出したが、どれも廃案となりました。
1965年1月10日には、ILOの結社の自由に関する実情調停委員会が
ドライヤー調査団を派遣しており、その目的は労働大臣の石田博英氏や
総評の事務局長の岩井章氏などと会談を持ち、実情を調査する事でありました。
調査団の報告書が提出されたのは日本が批准した後の事であり、
同年8月31日に報告書が公表されました。
それに先駆ける4月15日、自民党は衆議院ILO特別委員会にて
87号承認・関係国内4法案を一括して強行採決しております。
野党は無効を主張しましたが、4月21日に議長の斡旋により
自民/社会/民社共同修正案を衆議院本会議で可決し、
5月17日に参議院本会議でも可決した事で批准関連法案の成立に至り、
批准が6月14日であったため、日本に対しての発効は1966年6月14日となり、
この条約における70番目の批准国となりました。
批准に際しては、当時の「公共企業体等労働関係法」
(現在の「行政執行法人の労働関係に関する法律」)に本条約と抵触する規定
(4条3項-職員でなければ組合員になれない旨を規定)があり、
これを削除する法改正が行われました。
しかし、公務員(公共企業体職員を含む)のストライキ権については
公務員制度審議会を設けて先送りされました。ドライヤー調査団の報告書は、
官公労のスト権の一律禁止など日本政府の措置を不当として批判しております。
ただし、組合側の無条件スト権付与にも賛同しておらず、
両者の合理的な妥協による解決を求めておりました。
1973年に公務員制度審議会の答申が出されたものの、
審議会メンバー(使用者/労働者/公益)の対立のため、
禁止継続/部分認可/条件付き全面認可の3論併記となり、
最終的な解決を政府に委ねる形となりました。
その後、政府側にスト権容認の兆しも伺えましたが、
組合側が実力でのスト権認可を目指した1975年のスト権ストの敗北により、
実現する事なく現在に至っております。
なお、ILOが公務員のスト権を奪っている日本の法令を
本条約およびILO98号条約(団体交渉権)に抵触するとしたのは
2002年11月20日の事でありました。
ジャパリパークがどのような経営母体なのかは明らかとなっておりませんが、
おそらくはこちらの世界における動物園の経営と大きく変わる事はなく、
同様に職員の方々の様々な権利も保証されているものと想像できます。
この資本主義社会では数多くの企業が活動を行っておりますが、
企業の大小を問わず働かれる方々の権利は等しく存在するものであります。
自由な活動はリスクも伴いますが、柔軟かつ寛容な社会の在り方こそが、
そのリスクをはるかに上回るメリットを生み出す事も確かなのであります。
本日もお祈りいたします、みんみー。