本日はプードル犬「ボーイ」の命日であります。
・「ボーイ」は、イングランド内戦における王党派(騎士党)の軍事指導者
ルパート・オブ・ザ・ライン氏(カンバーランド公)が飼育されていた
白色の雄の狩猟用プードル犬であります。
その出逢いは、1618年に勃発した三十年戦争の最中、
リンツの要塞にて捕虜生活を送られていたルパート氏の苦境を心配されていた
イングランド人貴族の第21代アランデル伯爵トマス・ハワード氏が、
幽閉生活の孤独を癒そうと犬をプレゼントされた事でありました。
当時、白色の狩猟用プードルは珍しい犬種で多くの人々に珍しがられ、
ヨーロッパ中で有名な存在となり、評判を聞きつけられた
オスマン帝国のスルタン・ムラト4世が自身の家臣に
「ボーイ」にそっくりの犬を見つけてくるよう命じられたほどでありました。
・「ボーイ」は1642年にルパート氏に連れられて渡英しております。
ルパート氏はイングランド内戦における王党派(騎士党)の象徴的存在であり、
しばしば議会派(円頂党)のプロパガンダの標的にされておりました。
ルパート氏に連れられて戦闘に参加していた「ボーイ」も、
ルパート氏と共に議会派の激しい中傷を受けた上、議会派の兵士の方々から
魔女の使い魔のような存在ではないかと大いに恐れられました。
このため、「ボーイ」の「魔力」に関して多くの逸話が残されております。
一部の方々は、「ボーイ」は悪魔が犬に身をやつしたものだと考えられ、
王党派は議会派の「ボーイ」に対する迷信深い恐怖心を嘲笑され、
「ボーイ」に関する様々なゴシップを作られました。その中には、
「ボーイ」は「ラップランドの姫」(サーミ人の魔女)が白い犬に変身した姿である、
「隠された財宝を見つける事ができる、攻撃されても不死身である、
ルパート氏が撃った弾丸を口でキャッチする事ができる、
更には女性占い師のマザー・シプトン氏のように予言もできるなど、
様々な噂がまことしやかに伝えられておりました。
王党派の兵士の方々も「ボーイ」の「神通力」を盛んに喧伝されると同時に
国王軍のマスコット的存在に祭り上げ、「ボーイ」を少将に任命されました。
・1644年7月2日、三十年戦争における「マーストン・ムーアの戦い」の最中、
「ボーイ」は安全な王党派の陣営に繋がれておりましたが、
自ら逃げ出して主人のルパート氏の後を追いました。
戦況は国王軍に不利な形勢となり、ルパート氏は退却を余儀なくされ、
その退却時の戦闘に巻き込まれて「ボーイ」は生涯を閉じる事となりました。
「ボーイ」の死は木版画に描かれ、一般民衆にニュースとして広められました。
議会派の聖職者で著述家のサイモン・アッシュ氏は、「ボーイ」の死を
当時の人々の関心を引いた事件の一つとして記されております。
少し意外かもしれませんが、けものフレンズのどの作品にも
プードルのフレンズはいらっしゃいません。強いて挙げるならば、
ファンの方が描かれたオリジナルのフレンズとしてのイラストでしょうか。
様々な犬の種類の中でも特徴的なプードルでありますので、
是非ともフレンズの仲間入りを実現してほしいところであります。
争いの多かった時代である事を考えても、愛犬が政治に影響を与え、
アクシデントとはいえ戦場にまで出向くというのは大変な事であります。
動物が飼い主と共に日々を平和に過ごすという事が、
いかに大切で尊いものであるかを考えざるを得ません。
本日もお祈りいたします、みんみー。