本日は2021年に志摩マリンランドが営業を終了した日であります。
・志摩マリンランドは、三重県志摩市の賢島にて営業していた水族館であります。
近鉄グループにおける志摩観光の拠点の一つとして設けられた水族館で、
親会社である近畿日本鉄道が1970年、大阪万博の開催に合わせて
大阪難波~賢島間の直通運転を開始するにあたり観光客誘致のために、
また近鉄が創業60周年を迎える事から、その記念事業の一つとして
志摩線終点の賢島にて同年3月18日に開館されました。
周辺海域でマンボウの水揚げが多い事から、
1981年よりマンボウの飼育が開始されました。
これによって、「マンボウの泳ぐ水族館」として有名な水族館となり、
また、日本で初めてニシキアナゴの生息を確認し、
その和名の命名に携わった場所でもありました。
おもな飼育生物はマンボウ・ペンギン(最も種類が多かった時点で
キングペンギン/フンボルトペンギン/マゼランペンギン/ケープペンギン/
イワトビペンギンの5種)・オウムガイ・カブトガニ・クリオネ・シマアジ・
トラザメ・ネコギギ・ピラルク・ブリでありました。
・貴重な生物の飼育にも積極的であり、ホシエイ飼育の世界記録
28年と16日(10243日)を保持しており、2014年11月3日に亡くなった時点で
体盤幅205cm/全長285cmと、確認されたホシエイの最大記録でもありました。
2013年には背びれ下の背中に「寿」の旧字体である「壽」とも読める
模様があるカンパチが入館者に発見され、その時の様子が
テレビ番組「探偵!ナイトスクープ」で放送されました。
2015年には、ピラルクーの生き餌にされながらも、
ろ過層に逃げ込み7年間潜伏した金魚が話題にもなりました。
・この他、2009年11月には、この水族館で飼育されていたフンボルトペンギンの
「志摩ちゃん」が賢島駅の特別駅長に就任した事も大きな話題となりました。
また、明仁上皇や美智子上皇后をはじめとした皇族の方々が来館された事もあり、
中でも上皇は皇太子時代から3度にわたって来館されております。
2011年9月には賢島(かしこじま)の地名に因んで、
賢島神社(かしこいしまじんじゃ)が水族館内に設置されました。
職員の方々が手作りされた木製社殿の中に450㍑の水槽を置き、
「学力が上向きになるよう」の意味合いを込めて、頭を上にして泳ぐ
アオギハゼ50匹とオオウミウマ(タツノオトシゴ類)10匹を「御神体」として祀り、
学力向上/合格祈願/運気上昇などに御利益があるとしておりました。
祭神は八意思兼神[思金神(おもいかねのかみ)]で、
水神も合わせて祀っており、参拝者の方々が投じられた賽銭は
日本動物園水族館協会の野生動物保護基金に寄託されておりました。
2014年12月22日には学業成就を祈願する神事が行われ、
地元の神明神社の宮司が祝詞を奏上されて、職員が玉串を奉納されました。
2016年3月1日に改装工事を終えてリニューアルオープンし、
この工事では、クラゲコーナーに発光ダイオード(LED)照明の
円柱形の水槽を新設した他、駐車場の舗装の張り替えや、日本で捕獲された
最大級のマンボウとほぼ同じサイズの繊維強化プラスチック(FRP)製の
マンボウモニュメントの設置などが行われました。
しかし、その後は建物や設備の老朽化が著しいため維持管理が困難と判断され、
2021年3月31日をもって営業が休止される事となりました。
近鉄グループホールディングスは新型ウイルスの感染拡大の影響を受け、
レジャー部門の不採算事業の縮小/撤退を2020年11月に公表しましたが、
志摩マリンランドの営業休止はその一環ではなく、
あくまでも施設の老朽化のためという事となっております。
従業員の方々は志摩スペイン村など近鉄グループの施設へ配置転換され、
飼育生物は他の施設への受け入れを依頼する事となり、2021年10月末までに
全ての生き物が県内外の施設に引き継がれる事となりました。
ジャパリパークは島をそのまま利用した大規模な動物園施設でありますが、
建造物は使用を継続していくうちに徐々に老朽化が進み、
やがては新築などのリニューアルが必要となっていきます。
リニューアルが進まずに放置されたらどうなるかについては、
アニメ作品をご覧いただければ一目瞭然かと思われます。
長らく親しまれてきた施設も、やむを得ず終わりを迎える場合がありますが、
そこで楽しまれた経験や思い出は消える事なく心に残るものであります。
それは、楽しませて下さった方々や場所への感謝と共にあり、
人生の大切な1ページとして刻まれるものなのであります。
本日もお祈りいたします、みんみー。