本日は風邪の日であります。
寛政7年1月9日(新暦・1795年2月19日)に、
大相撲力士で第4代横綱の「谷風 梶之助」関がインフルエンザによって
現役中に亡くなられた事を追悼して設けられた記念日であります。
・「谷風 梶之助」関(二代目)[本名は「金子与四郎」氏]は、陸奥国宮城郡霞目村
(現在の宮城県仙台市若林区霞目)出身の元大相撲力士でいらっしゃいます。
因みに初代の谷風関は元禄時代に活躍された大関で「讃岐の谷風」と、
二代目の谷風関は「仙臺(仙台)の谷風」と称されておりました。
・1750年9月8日(旧暦・寛延3年8月8日)に陸奥国宮城郡霞目村にて
豪農一家の長男としてお生まれになりました。この家は先祖の方々が
長期に渡って国分家の家臣として流鏑馬の矢取りを務められており、
苗字帯刀が許されていたとされております。7歳の時、隣家の主人であった
東兵衛氏からの「あの俵を運べたらそれをやろう」の一言から
玄米の五斗俵を持って運ばれると、幼いながらもその怪力に驚かれた
東兵衛氏はすぐに謝罪され、その場にあった饅頭と取り替えられました。
相撲部屋入門前の時期に白川の酒造家に奉公されていた際に、
通常は7人程度でようやく持ち上げられる重さの、酒を搾る締め木の天秤石を
たった一人で持ち上げられたと伝えられております。
1768年に「秀の山」という四股名で力士となられ、
1769年4月場所には「伊達関 森右エ門」(だてがせき もりえもん)と改名され、
看板大関として初土俵を踏まれました。「伊達関」の四股名は仙台藩の伊達氏より
下賜されたものでありますが、翌場所から伊達の姓を憚られて
「達ヶ関」(「だてがせき」という読み方は同じ)と改名されました。
1770年11月場所に前頭筆頭から再スタートを切られると徐々に地力をつけられ、
1776年10月場所には二代目「谷風 梶之助」と改名され、1781年3月場所後に
大関へと昇進されました。この頃の1778年から全盛期に入り、
4年以上土つかずの成績を上げられると声望はカリスマ的なものとなり、
江戸相撲最大の立役者となられました。ただ、当時はもちろん、
近代になっても数字的な記録への関心は低いものであり、
昭和10年代に双葉山定次関が連勝を続けられている時期に
ようやく比較対象として谷風関の記録が取り上げられるようになりました。
1784年には江戸相撲の浦風与八関に見出され、
江戸へ訪れていた雷電爲右エ門関を預られて弟子として鍛え上げられた他、
小野川喜三郎関や雷電関と共に最初の黄金時代を築かれました。
1789年11月19日、谷風関は相撲の司家/家元である吉田司家から
最初の横綱免許を小野川関と共に授与されました。
これを事実上の横綱制度の発祥とする見方が定説であり、
当時の錦絵には歌舞伎役者や美女などと共に谷風関が描かれております。
1791年6月11日には徳川家斉公の上覧相撲で小野川との取組を行われ、
この時に将軍家から賜られた弓を手に、土俵上にて舞を披露されたのが
現在の大相撲の弓取式の始まりとされております。
1795年1月9日、この頃の江戸全域で猛威を奮ったインフルエンザによって、
谷風関は35連勝を記録されている現役中に44年の生涯を閉じられました。
この事から風邪を「タニカゼ」と呼ぶようになったと伝えられておりますが、
正しくは、谷風関が生前に「土俵上でわしを倒すことは出来ない。
倒れているところを見たいのなら、わしが風邪にかかった時に来い」
と語られた頃に流行っていた流感を「タニカゼ」と呼んだものであります。
死因となった流感は「御猪狩風」と呼ばれておりましたが、
後に「タニカゼ」と混同されるようになったとされております。
・没後、谷風関の出身地である宮城県仙台市では「わしが国さで見せたいものは、
むかしゃ谷風、いま伊達模様」と謡われる俚謡が現在でも伝わっております。
谷風関の墓は1928年に参道設置や周辺整備が行われましたが、
大日本帝国陸軍飛行学校の仙台飛行場(現在の陸上自衛隊霞目駐屯地)の
拡張に伴い、1942年に仙台市若林区霞目へ移転しております。
2011年3月11日に発生した東日本大震災で墓石が大きく動きましたが、
幸いにも背後の木に支えられて倒壊を免れております。
なお、墓の東方には「霞目字谷風」という地名が残る他、
仙台駅西口には「谷風通」の愛称が付けられた道路があります。
仙台市青葉区の勾当台公園には谷風関の像が設置されており、
新横綱が誕生してから最初に行われる仙台巡業の際には、
この谷風像の前で新横綱による土俵入りを奉納するのが恒例となっております。
・谷風関は力量だけでなく横綱に相応しい品格を兼ね備えておられた事から、
歴代横綱の第一人者と称される名力士でいらっしゃいます。
天下無双の大横綱に相応しい実績から、四股名「谷風」は現在においても
永久欠番扱いとなる「止め(とどめ)名」となっております。
けものフレンズにおいて病気といえば、これまで取り上げさせていただいた
旧アプリ版の「ガオガオ病」が思い浮かぶところでありますが、
ジャパリパークのある世界においても風邪等の疾患が存在すると思われ、
それに応じた対策や制度が施されているものと思われます。
現在は新型ウイルスのオミクロン株が注目されておりますが、
この時期は通常の風邪やインフルエンザにも充分な注意が必要であります。
対策をしっかりと施して、この寒い時期を乗り切りたいものであります。
本日もお祈りいたします、みんみー。