本日は2008年にNTT DoCoMoがPHSサービスを終了した日であります。
・PHSとは無線通信により携帯する事が可能となった携帯電話の一種であり、
移動した先で長距離間の通信を行うシステム、またその電話機自体や、
それによる移動体通信サービスの事を指します。
日本で開発され、主に日本で普及した通信技術であります。
・通信手段として、電話機(端末)と基地局との間は有線通信の通信線路
(電話線など)を用いずに電波による無線通信を利用する、
マルチチャネルアクセス無線技術の一種でもあります。
基本的に屋外で事業者の基地局に接続して移動先で電話として利用可能で、
その他、企業や家庭の内線でコードレス電話の子機として利用可能であります。
ただし、子機を親機やシステムに登録する必要があります。
前者は公衆PHS、後者は自営PHSと区別されておりました。
PHSは無線機の一種であるため、その設計は電波法により規制されております。
開発当初からデジタル無線方式を採用し、第二世代携帯電話と
無線アクセスとの間の中間的な性能を持っておりました。
開発名称は第二世代デジタルコードレス電話であり、
第三者が広帯域受信機で通話の内容を聞くことが難しいデジタル方式とし、
企業や家庭では内線コードレス電話の子機として、屋外では簡易な基地局により
公衆交換電話網に接続する発想で作られた、日本発の規格でありました。
・PHSの主な特長は以下の通りであります。
・屋外でPHS事業者の基地局と接続し、移動体通信として利用可能。
・音声の符号化方式として32kbpsのADPCMを採用し、
無線条件が良好であれば固定電話並みの音声通話品質を提供可能。
・家庭用のデジタルコードレス電話として、親機経由で固定電話に接続。
また事業所向けの内線電話として、自営基地局システムを設置して使用。
・幾つかの無線チャネルを束ねて無線アクセスに利用。第3世代相当の
移動通信システムと比較して、低速ながらも安価で大容量の通信が可能。
・PHSの国際ローミング。日本国外ではGSMと
PHSのデュアルモード通信端末も存在していた。
・端末同士の直接通話が可能。(トランシーバー。特定小電力無線の
特定小電力10mW型と同等の利用法)
・規格に互換性があるため、基本的な音声通話やデータ通信(PIAFS)は原則、
端末を問わずいずれのPHS事業者(公衆モード)にも登録して利用可能。
・通話需要の少ない地域で公衆交換電話網の代替(PHS WLL/FWA、日本国外)。
・いわゆる電子ガジェット的な多機能化が可能。
・当初は「personal handy phone」の略で「PHP」と呼ばれておりましたが、
松下グループの関連会社であるPHP研究所と混同しやすい事から、
1994年4月22日に呼称を「PHS」に変更すると発表されました。
その際にPHSを「ピーエイチエス」、更に簡略化して「フォス」とする発表があり、
前者は事業者や報道関係でも広く知られ広まった一方、
後者は定着しませんでした。後に若者、特に女子高生の方々に
「ピッチ」という呼び方が広がり始め、その影響を受けて1999年以降には
移動体通信事業者もCMやパンフレットでこの呼称を用いるようになりました。
1990年代後半から中国/台湾/タイ/ベトナムなどアジア各国でも普及し、
世界で2006年10月時点で約1億台が普及したとされております。
これらの国ではPHSではない現地特有の名称等も定着しており、
小霊通/PAS(Personal Access System)/CityPhone等とも呼ばれました。
発展途上国など電話回線が導入されていない地域では、
固定電話の代替としてPHSが住民に普及し、また事業者が無線による
固定電話回線(PHS FWA、TDD-TDMAを採用)として導入する事もありました。
また国際展開と併せて、2003年4月には日本事業者のDDIポケットと
台湾やタイとの間でPHS事業者同士の国際ローミングサービスも開始されました。
その後、日本では2000年代から2010年代にかけて、アステルや
NTT DoCoMo PHSなど、公衆サービスから早々に撤退する事業者が相次ぐ中で
DDIポケットは独自の展開を見せ端末の高度化や高速化、
各種定額制の導入する展開を見せましたが、2010年代のスマートフォンや
LTEなどの普及に押されて公衆サービスは徐々に縮小へと向かいました。
2018年3月31日に全事業者で公衆PHSサービスの新規契約受付を終了し、
サービス提供中のY!mobile(ソフトバンク・ウィルコム沖縄)は
法人向けテレメトリング以外の既存契約者へのサービス提供を
2020年7月31日に終了する予定であると発表しておりましたが、
2020年4月に新型ウイルスの感染拡大の影響により、
携帯電話への切替作業が難しいとする医療関係者の方々に配慮して
終了を2021年1月31日に延期し、同日にサービスを終了しております。
法人向けテレメトリングは2023年3月31日に終了する事が発表されております。
香港では2013年4月にPHSサービスが終了/停波し、
2016年5月10日から日本製を含むPHS端末の所持または使用に対しては
2年以下の禁錮または5万香港ドル以下の罰金に処されます。
台湾でも2015年3月にPHSサービスが終了して停波しております。
中国では「小霊通」が2014年12月31日をもってサービス終了しております。
なお、PHS端末に限らず無線機器の利用は各国毎に無線の帯域や仕様が異なり、
また許可制であるため、無線機器を不用意に国外へ持ち出し、または国外から
持ち込んでの使用は、その国の法令により処罰される場合があります。
なお、ヨーロッパにおけるPHS相当の移動体通信規格としては
DECTが主流であります。DECT規格は「デジタルコードレス電話の新方式」として
日本国内にも導入済みで利用可能であります。
更に自営用PHSシステムの代替としては、2010年代後半から
VoLTE/sXGPによるシステムが検討され、導入も一部始まっております。
ジャパリパークは非常に広大な敷地であるため、
その範囲をカバーできる通信手段が不可欠であります。
もちろんPHSでカバーするには範囲が広すぎるであろう事が想像でき、
現在の携帯電話と同レベルの通信手段が必要ではないかと思われます。
現在、PHSは企業内などにおける内線通話など限られた存在となっており、
やがては更に高規格の通信手段に置き換わる事が決まっております。
一時期は日本などにおいて通信の主流であったPHSの歴史を振り返って、
未来の通信手段を予想してみるのも一興かもしれません。
本日もお祈りいたします、みんみー。