けものフレンズBBS NEO

小説リレー(一応完結) / 270

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名無しのフレンズ 2018/01/25 (木) 23:19:09 修正 63268@3720e

長きに亘る戦いにようやく終止符が打たれ、皆が世界崩壊の危機から免れた喜びを分かち合っていた。その賑わいから少し離れた場所に決戦に駆けつけた戦士達と数名のフレンズ、そして兵士に包囲された中心で力尽き横たわるクイーン、ほぼ全ての力を使い果たしなんとか再生した彼女は、どうにかその形を保っていた。
ジョニィ「信じられない…、クイーンは僕のACT4を喰らって次元の彼方で消滅した筈だ…」
ジャイロ「ああ、それによォ、どうやってあの回転エネルギーから逃れたんだよ?」
セルミミズク「恐らく、再現の能力を使って何らかの方法でエネルギーを相殺したのかも知れませんね…、しかし、まさか次元を越えてこちら側に再現するとは…、私とセーバンとのリンクを辿られたとしか思えないのです…」
そこに一機の軍用ヘリが降り立つ、機内から出てきたのは兵士の押す車椅子に座ったカコ博士だった。
クイーン「カコ……、久しぶりね…」
息も絶え絶えのクイーンは力無くカコを見上げた、車椅子のままクイーンの側まで行くと兵士に支えられながらも、なんとか彼女の脇に腰を降ろした。
クイーン「どうやら…あなた達の勝ちのようね…」
カコを見詰めながらクイーンは口惜しそうに呟く。
カコ「クイーン、あなたは私から奪った輝き、……いいえ、永遠に叶うことの無い願望を取り込んで私と同じ苦しみを抱いてしまった、それも私には到底計り知れない長い時間…」
クイーン「……カコ、あなたから奪った輝き…いや願いは私にとっては最早、呪いだった……どれ程の時を過ごそうと消すことも、自らの中に新たな輝きを見出だす事も出来なかった……」
カコ「もう、良いんです…、確かに私は幼い時に死んでしまった両親にもう一度、会いたいと願っていた…例え、それが偽りだったとしても……、でも、今の私には沢山の大切な人達が出来たんです、新しい輝きが…」
カコはクイーンの手を握ると静かに目を閉じ繋いだ手に意識を集中した、クイーンもまたそれに呼応するように目を閉じ、意識を集中する。
カコ「わかりますか…私の中の新しい輝きが」
クイーン「ええ、感じるわ…カコ、あなたの輝きを……、なんて暖かい…」
カコ「この輝きをもう一度、あなたに」
カコの中に息づく輝きに触れたクイーンの表情は次第に穏やかになってゆく、クイーンは握られた手を離すと、もう自力では歩けなくなったカコの足にそっと触れた、その行動にいち早く反応するスネーク。
スネーク「注意しろ、何かするぞ!」
そう叫び銃を構えるスネークをセーバンとセルミミズクが制止する。
セーバン「大丈夫、もう攻撃する力は残っていないよ、それに……」
セルミミズク「クイーンからはもう悪意を感じないのです」
そう言われ、スネークはゆっくりと構えた銃を下ろす。
クイーン「……保存と再生…これが私の最後の力……」
カコの足に触れた手が暖かな光を放つとカコは自らの変化に気付く、支える兵士に声をかけるとカコはふらつきながらも自身の足で立ち上がった。
カコ「クイーン……、あなた……」
クイーン「最期に……輝きをくれたあなたへの、私からの…ささやかな…贈り物だ…」
そう言いながらクイーンの体はサンドスターの結晶となって夜空へと消えてゆく。
クイーン「……さようなら、…カコ……ありがとう…かばん…」

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