しかし、かばんの身体もマキシマムドライブの多用でボロボロ。対するクイーンも、回転エネルギーによって既に死に体。
お互いに、押せば倒れてしまいそうな状況だった。
そんな状況で、かばんが取った行動は。
かばん「…」
クイーン「!く、来るな!」
一歩、踏み出す。
身体が悲鳴を上げる。
それでも、やめない。
クイーン「寄るな…」
一歩。
クイーン「来るなぁあああ!!」
そこで、クイーンが拳を振るった。
既に残り1mもない距離でのパンチ。幾らフラフラでも外れる事はなく、かばんの頰に拳が突き刺さった。
これで、クイーンの勝ちの筈だった。
しかし。
かばん「…!」
クイーン「!?」
生きている。
かばんの目は、致命の一撃を受けてなお、未だ強い意志の光を宿していた。
力尽きたクイーンは、膝をつく。
そんな彼女に対し、かばんは両手を広げ…
抱き締めた。
クイーン「…え…」
かばん「セルリアンメモリを使うたびに、僕はセルリアンの記憶…歴史に触れてきました。その中に、あなたの記憶もあったんです」
かばん「辛かったんですよね」
クイーン「…あ…」
かばん「お父さんとお母さんを失って、寂しかったんですよね」
クイーン「ああ…あ…」
かばん「だから、過去を再現しようとした。また会いたい、その夢を求めて」
クイーン「うぁあああ…!」
かばん「でも、もう疲れたでしょう?
独りで歩き続けるのは。
未来から目を背けるのは」
かばん「もう…終わりにしましょう」
かばんは泣いていた。クイーンも、泣いていた。
\フレンズ、マキシマムドライブ/
いつの間にか、『C』から『F』に変わっていたメモリを起動する。彼女を、安らかな眠りへ誘うために。
かばん「さようなら、女王…僕は、貴女を忘れません」
柔らかな黄金の粒子が、次元の彼方を満たした。
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