テイラー様
これを書いている今、ロンドンでは幻想的なほど深い霧に覆われております。首相官邸は奇妙なほど静かです。就任式を前に、最も重要な固僚以外はみな辞職しました。 私に出来ることといえば、管理人としての役割を務めながら、今日までの約20年間の仕事を振り返ることだけです。
あなたが一年生議員として下院に入った時のことを思い出します。外交活動への献身と議会業務のあらゆる場所での政治的勇気からして、あなたが偉大な人物となる運命にあることは明らかでした。単なる局地的な問題に留まらず、広く国家全体の問題に目を向けていることに、ストラウド氏やパークス氏は深く感銘を受け、あなたを指導し、助言を与えることになったのです。 故アーサー・F・レナード首相も、あなたの献身な的勢力と能力を知り、高く評価していました。あなたが下院から上院に移った今でも、私はあなたを深く尊敬し、親しい友人の1人に数えています。
あなたのその能力が、祖国の発展のために発揮されることは問違いありません。あなたは常々、人々の向上と福祉政策を献身的に誘引してきました。 大きな不和や悲劇が蔓延る激動の時代に、この国はかってないほどその能力を必要としています。この国を変革させ、保守党の伝統的な仕事を完成させることのできる進歩的な法案を可決するためには、あなたの技術と能力の全てを頼る必要があるのです。
このことに関して、私からこれ以上の助言は必要ないでしょう。しかし、あなたには私の絶え問ない支持がついていることを覚えておいてください。あなたの成功を神に祈り、私は私にできることをやっていきます。
敬具
Chester Lawrence, Interim Prime Minister of the United Kingdom.
(疲れた顔に小さく笑みを浮かべた後、首相は丁重にファイルする)