本日は1947年にアメリカ・ニュージャージー州にあるベル研究所にて、
初めてトランジスタが公開された日であります。
・ベル研究所はアメリカにある通信研究所であり、
その名前は発明家のグラハム・ベル氏に由来しております。
元々はAT&T社(およびその前身のベル電話会社)が
北米の電話サービス業界を支配していた企業構造体
「ベルシステム」の研究開発部門として設立された研究所であり、
現在はフィンランドの通信機器メーカーである
ノキアの子会社となっております。別名「ベル電話研究所」、
「ベル研(Bell Labs)」の略称でも呼ばれております。
当時のAT&T社長のウォルター・グリフォード氏が独立事業として設立され、
その起源はベル氏が1880年にボルタ賞によって得られた賞金で設立された
「ボルタ研究所」に遡ります。ニュージャージー州マレーヒルを本拠地とし、
その研究施設は世界中に点在しております。
研究としては主に電気通信の基礎技術に関するものでありましたが、
数学/物理学/人間行動科学/材料科学/コンピュータープログラミング理論などの
基礎研究に優れている事が大きな特徴でありましたが、
2002年にヘンドリック・シェーン氏による科学における不正行為事件が発覚し、
2006年4月に親会社のルーセント・テクノロジーズがアルカテルとの合併に合意、
同年12月1日にアルカテル・ルーセントとして業務を開始しました。
2008年にアルカテル・ルーセントによって「基礎研究から撤退する」と発表され、
2015年4月、ノキアがアルカテル・ルーセントを166億ドルで買収する事で合意、
2016年1月14日にアルカテル・ルーセントとベル研究所は
正式にノキアの傘下となっております。
・トランジスタとは、電子回路において信号の増幅や
スイッチングを行う事ができる半導体素子であります。
1947年、ベル研究所の理論物理学者のジョン・バーディーン氏と
実験物理学者のウォルター・ブラッテン氏が半導体の表面における
電子的性質の研究の過程において、高純度のゲルマニウム単結晶に、
極めて近づけて立てた2本の針の片方に電流を流すと、
もう片方に大きな電流が流れるという現象を発見されました
これが最初のトランジスタである点接触型トランジスタの発見でありました。
固体物理学部門のリーダーのウィリアム・ショックレー氏は、
この現象を増幅に利用できる可能性に気づかれ、研究を続けられました。
この研究は固体による増幅素子の発明として
1948年6月30日に3人の連名で発表され、3人はこの功績により
1956年のノーベル物理学賞を受賞されております。
なお、「transfer」(伝達)と「resistor」(抵抗)を組み合わせた造語
「transistor」は工学者のジョン・R・ピアース氏が考案されたものであります。
日本でも官民で研究や試作が行われ、最初の量産は1954年頃に東京通信工業
(現在のソニーグループ)が開始し、翌年に同社から日本初のトランジスタラジオ
「TR-55」が商品化されました。その後相次いで大手電機メーカーも量産を開始し、
1958年頃には主要な電機メーカーからトランジスタラジオが商品化されました。
1960年代に入ると、生産歩留まりが上がってコストが下がった事や、
真空管でしか扱う事のできなかったテレビやFM放送(VHF)のような
高い周波数においても使用できるようになったため、
各社から小型トランジスタラジオやトランジスタテレビが発表されました。
材料が当初のゲルマニウムから現在の主流となっているシリコンに代わり、
更に高い電力やUHFでの使用が可能になる1970年頃までには、
家庭用テレビやラジオから増幅素子としての真空管は姿を消していきました。
その後、複数のトランジスタや周辺素子を1つのパッケージに集積させた
IC(集積回路)が発明され、集積度を高めたLSI(大規模集積回路)へと発展し、
技術的洗練度を高めながら現在も様々な製品に使用されております。
ジャパリパークには管理や運営のための様々な機材があり、
中でも電子機器には必ずと言っても良いほど集積回路が用いられております。
パークの様々な分野で省力化や自動化が図られている中で、
これらの電子部品は最も重要な役割を担っている事は間違いありません。
電子部品は私達の生活に欠かせない存在であり、
その研究は世界中にて日進月歩の勢いで進んでおります。
研究に携わっておられる方々に対して頭が下がる思いであります。
本日もお祈りいたします、みんみー。