本日は1981年に深海探査艇「しんかい2000」が
熊野灘にて日本最深記録となる潜航深度2008mを記録した日であります。
・しんかい2000は、海洋科学技術センター(現・海洋研究開発機構[JAMSTEC])が
所有/運用していた日本初の有人深海探査艇「しんかい」の後継機で、
1978年に開発が始まり、1981年に竣工/進水しております。
・乗員3名が乗り込む球形の耐圧殻には3つの窓があり、
乗員はそこから海中を覗き見て操縦および観察調査を行い、
船体前部に装備されるマニピュレーターで試料の採集を行います。
・入水時、ショットバラスト装置の中には数mmの小さな鉄球が
700kg分充填されており、上昇時に底部の電磁栓を開き船外に放出し、
補助スクリューやバラストタンク、浮力材との組み合わせで上昇します。
潜航中の下降上昇のメカニズムは、下降時には耐圧殻と垂直安定フィンの間の
胴体上部にある主バラストタンクと耐圧殻後部の補助タンクに、
海水ポンプを作動させる事によって海水を充填して下降します。
上昇時には海水を空気と入れ替える事により浮力を得ます。
海中における移動は、主に艇尾にある主スクリューを用いて行います。
また、艇の両舷に一個ずつ補助スクリューがあり、微細な姿勢制御と
下降や上昇の補助のために使用します。
・耐圧殻内のコントロールコンソール、主だった通信機器への電力供給は
船体胴体底部にある主蓄電池(銀亜鉛蓄電池2台)を胴体後部の浮力材
(中空ガラス球内包式シンタクチックフォーム)の前にある
インバータでの直流→交流変換により通信機器への電力を供給しております。
母艦との通信/画像/ビデオ伝送のやりとりとしては船首にあるトランスポンダ、
水中通話機ならびに海面に上がった時の母艦からのレーダー補足用に
垂直安定フィン上部にレーダーリフレクタを備えております。
調査や計測用機器としては船首部分にCTD/DO
(電気伝導度/温度/水深および溶存酸素を観測する装置)が装備されており、
塩分濃度/水温/水深/水中酸素濃度がコンソール表示板にデジタル表示され、
また、前方障害物捕捉用にソナーを装備しております。
・主な調査や運用内容は次の通りであります。
海底鉱物資源の調査・石油/天然ガス/マンガンノジュール/燐灰土/鉱床等の調査
深海生物資源の調査・底ダラ類などの未利用深海生物資源の調査
海洋構造物の状況調査・海底ケーブルの敷設状況などの調査
海洋物理学の調査研究・海運/気象及び水産などに関係の深い
海中の水温/塩分/、流向流速などの調査研究
地球物理学の調査研究・地震予知などに関連する海底地形/
海底構造/重力/磁力などの調査研究
・2002年11月11日の1411回目の潜航を最後に運航停止され、
2004年3月に用途廃止となり、「しんかい2000」は退役となりました。
その後、JAMSTECの潜水船整備棟内で展示され、2006年8月頃には
「船の科学館」の敷地内にてテントを張った上で展示されておりました。
2011年に外部展示先の公募が行われ、2012年7月14日より神奈川県の
新江ノ島水族館において常設展示が行われております。
2017年6月25日に日本機械学会が認定する「機械遺産」に指定されております。
・現在、「しんかい2000」で培われた機器技術やシステム開発や
運用実績を基に開発された後継の有人深海探査艇「しんかい6500」や、
無人潜水機「かいこう」が深海の調査を担っております。
けものフレンズに登場されるフレンズの中には、
海を主なフィールドとされる方々がたくさんおられます。
海中での暮らしぶりは詳しくは判りかねますが、
ある程度の深さの潜水を含めた海中での不自由のない移動等々、
陸上のフレンズの方々には真似のできない能力が特長でありましょう。
数千mを超える深海はまだまだ解明されていない部分が多く、
科学の進んだ現代にあってさえ「未知の領域」と呼べる世界であります。
この先、深海の世界がどのように解明されるのか楽しみであります。
本日もお祈りいたします、みんみー。