本日は1968年に都営トロリーバスが全面廃止された日であります。
・都営トロリーバスは東京都交通局が運営していたトロリーバスであります。
ガソリン不足および価格高騰といった燃料事情の戦後復興期に、
上野公園から今井までの区間と、亀戸~池袋~新宿~渋谷~品川の区間の、
ほぼ明治通りに沿った路線を運行しておりました。
架線は全線複線となっており、直流600Vを電源としておりました。
トロリーバスは路線に沿った架線を敷設するだけで、
路面電車のようにレールを必要とせずコストを削減できるため、
新時代の交通機関として期待された交通機関でありました。
ただ、実際の運用面においてはデメリットも多く、
踏切を通過する際にはトロリーポール(集電装置)を架線から外して、
内蔵する補助ディーゼルエンジンで駆動する必要がありました。
床下のモーターが浸水すると機能を失うため風雨や積雪などには弱く、
アースとの兼ね合いからタイヤチェーンを巻く事ができないため、
積雪時にはタイヤチェーンを巻いた通常のエンジン駆動の
作業用自動車がバスの前に先行して走行する事もありました。
また、架線とトロリーポールの保守のため、
そして安全の観点からバック運転は極力行いませんでした。
1922年に当時の東京市がトロリーバスの営業運転を
青山六丁目~明治神宮正門間の路線で計画しておりましたが、
関東大震災の発生により計画は中止を余儀なくされました。
第二次大戦後になると前述の燃料事情からバス事業の拡張は困難となり、
電気を動力とし建設費も低廉なトロリーバスが再び計画されました。
この時点で大和自動車交通/西武鉄道/京成電鉄の3社が
バス事業を出願しておりましたが、運輸審議会にて公聴会を開くなど
審議を重ねた後に、1950年10月になって東京都以外の出願が却下され、
都営のトロリーバス事業として計画が進む事となりました。
1952年2月28日に路線への架線敷設等の工事が着工され、
同年5月20日に今井橋~上野公園間が開業しました。
この時の料金は全線15円でありました。
1955年6月1日に池袋駅~千駄ヶ谷四丁目間が開業し、
同年12月27日に千駄ヶ谷四丁目~渋谷駅間が開業。
1956年2月1日に料金が全線20円に改定され、
同年9月21日に渋谷駅~品川駅間が開業。
1957年1月12日に池袋駅前~亀戸四丁目間が開業し、
1958年8月18日に池袋駅前~浅草駅前間が開業した事によって、
計画していたトロリーバス路線が遂に全通を果たしました。
しかし、その後は大型バスの出現により顧客を奪われる形となり、
1967年10月1日に料金を全線30円に改定しましたが採算が合わず、
最終的には交通局が財政再建団体に指定された事に伴う再建計画により、
都電と共に地下鉄やバスへの置き換えが決まった事によって、
開業から16年後の1968年9月30日にトロリーバス事業は廃止となりました。
ジャパリパーク内の移動に最も多く用いられる車両が
ジャパリバスである事は皆様ご存知の通りであり、
アニメ一期においてはカートリッジ式のバッテリーからの電力によって
モーターを駆動させる電気自動車であろうと思われます。
小型のバッテリーでありながら長大な航続力を持つ事はよく知られるところで、
思えば、これがトロリーバスが目指した目標の一つであるとも思えます。
トロリーバスは環境に配慮した乗り物の一つとも言えますが、
これは現在注目されている電気自動車と無関係ではありません。
快適な移動と安定したエネルギー源の両立は時代を問わない課題であります。
テクノロジーの更なる発展に期待しております。
本日もお祈りいたします、みんみー。