本日は成層圏発見の日であります。
1902年のこの日に、フランスの気象学者の
レオン・ティスラン・ド・ボール氏によって
成層圏が発見された事に因んで制定されました。
レオン・ティスラン・ド・ボール氏はフランスの気象学者でいらっしゃいます。
1855年11月5日、パリにて父親が農務大臣でいらっしゃる
資産家の家にお生まれになり、1878年に新しく設置された
フランス中央気象台に参加され、一般気象サービスの責任者に就任されました。
そこでは地球物理学の全球規模での理解を得るために、
フランスの植民地や船などで気象観測を行われました。
やがて大気循環や総観規模気象に興味を持たれて数々の解析を行われ、
1886年には、年平均気圧からの月偏差などを調べる事によって、
海陸分布や地形などによる長期間持続する特徴的な気圧分布を示す
「気象の活動中心」という概念を生み出されました。1892年から1896年の間、
フランス政府の機関である国立気象管理センターの所長を務められました。
国際気象機関が、地球規模の高層風を調べるために1896年から2年間の
国際雲観測年を開始するとド・ボール氏は私財を投じられて、
パリ郊外の丘陵トラペスに3haの広大な敷地を持つ観測所を設立されました。
1898年、そこで無人観測気球(探測気球)を使った高層気象観測の開始当初は
気球ではなく自記記録装置の回収が容易な凧を用いられましたが、
フランス中が結果を知りたがった有名な「ドレフュス事件」の裁判の日に、
凧のピアノ線が電信線を切る事故が発生したためか、
途中から探測気球による観測に変わりました。
気球を用いた高層気象観測には様々な工夫を凝らされ、当時、ドイツの気象学者
リヒャルト・アスマン氏らが気球の材質に重いゴールドビーター皮や
加工絹を使用されたのに対して、ド・ボール氏はワックスなどを塗った
軽くて安価な紙を用いられ、敷地内に風向に応じて回転できる
大きな充填庫を作られた結果、多少の風があっても放球が可能でありました。
それと安価な紙製の気球によって観測頻度は格段に向上しました。
ド・ボール氏は、地上約11kmまでは高度が上がるにつれて一様に気温が
低下するのに対して、その高度を超えると温度が一定となる事に気が付かれ、
この現象が計測の誤りでない事を確認するために、太陽による輻射の影響を
避けるための夜間の実験も含めて、200回以上も実験を繰り返されました。
1902年6月8日に大気の層は性質の異なる2つの層に分かれているという
結果を発表され、2つの層を「対流圏」と「成層圏」と名付けられました。
ド・ボール氏はその後もオランダに高層気象観測所を設置され、
1905年から1906年にかけて大西洋上で貿易風の観測を行われ、
1907年から1909年にかけて北極圏キルナでの観測を精力的に主導されました。
1908年には成層圏の発見の功績が評価され、
イギリス王立気象学会からサイモン・メダルを授与されました。
フランスを高層気象観測の先端国に育てられたド・ボール氏でありましたが、
1913年1月2日に57年の生涯を閉じられました。
その後、ド・ボール氏の観測所は国に寄付されて研究が継続されました。
・成層圏とは、地球の大気の鉛直構造において
対流圏と中間圏の間に位置する層であります。
対流圏や中間圏では高度と共に温度が低くなるのに対して、
成層圏では高度と共に温度が上昇するのが特徴となっております。
成層圏下部、対流圏界面付近では気温が約-56℃前後であるのに対して、
中間圏との境の成層圏界面付近では-15℃から0℃になる事があります。
ただし、上空へ行くほど高温といっても成層圏の温度上昇率は一定ではなく、
まず、対流圏界面の高さを10kmとすると、その高度から
20kmくらい上空までは温度が対流圏界面とほぼ等温状態に保たれ、
そこから約15kmくらい上空までは温度が僅かに上昇する層があり、
そこから更に成層圏界面にかけて温度が急激に上昇します。
成層圏で高度と共に温度が上昇するのは、成層圏の中に存在する
オゾン層が太陽からの紫外線を吸収するからであります。
オゾン濃度が一番高いのは高度約20~25km付近でありますが、
実際に成層圏内で温度が一番高いのは高度約50km付近であります。
この理由は、オゾン濃度に関わらず上部のオゾン層ほど
濃度の高い紫外線を吸収する事ができ、また上層ほど空気密度が低い事から
温度の上昇率がより大きくなるためであります。この理由から、成層圏では
実際のオゾン濃度が一番高い付近よりも上に温度が最大となる場所があります。
ジャパリパークのある世界、特に大気においては
私達がいる世界と大きくは変わらないと思われます。
したがって、どのエリア、どのちほーにおいても
天候の変化は等しく起こりうると考えられます。
アニメ一期でのパークはサンドスターが気候に影響を及ぼしておりますが、
気象の変化そのものは例外なく発生しているであろうと考えられます。
私達は広い大気のもとで暮らしており、それによる影響とうまく付き合い、
時には翻弄されながらも日々の営みを繰り返して時代を紡いでおりますが
その大気も私達の営みの影響を受けているのは確かであります。
大気を守る事は地球環境を守る事そのものであり、
それが生き物の歴史や文化を次代に繋ぐ事となるのであります。
本日もお祈りいたします、みんみー。