その通りです。
キーポイントはマイナス金利の適用のある資金の有無と残高だと思います。
注意が必要なのは金利シナリオ(ショック)の幅は100bp(1%幅)でマイナス金利が適用になっている資金の金利の幅を大幅に超えている事です。
ですから、このΔNIIの値は金利政策が正常化した場合の事を示していると見る事ができます。
現在のマイナス金利は△0.1%(△10bp)なので、マイナス金利が解除されればマイナス金利分の利息支払は解除され収益は改善しますが、その幅を超える金利上昇となれば減益になる事を意味します。
その意味では、銀行株なら何でも買っている方々は私から見れば「情報不足」が災いし雰囲気か気分で買っているとしか思えません。
ある面、某ストラトジストの方が言っていた「マイナス金利が解除されたら銀行株は一旦売り」という説は、金利リスクに脆弱性を抱えマイナス金利の対象になっている地銀に対しては真実と言えるでしょう。
分かりやすく言えば空売りのチャンスになりえると思いますが、大きく下落すると言えばそうも断言できないと思います。
ちなみにΔNIIの計測の「上方パラレルシフト」は短期から長期の全レンジの金利が同じ幅で上昇するとの前提での計算です。
現実にはほとんどありませんが、これは深読みすると面白い事が言えます。銀行は短期で集めた資金を長期の貸出に充てる事で利ザヤを確保していますが、通常、金利上昇期の金利変化のパターンは長期(10年以上等)が先に上昇し、短期がそれに遅れて上昇するパターンが多くなっています。
先のYCCの上限変更もそのような形のものだった事は記憶に新しいものだと思います。
つまり、現実には金利上昇で収益が改善する銀行の改善はシミュレーション計算の度合いよりも更に大きくなると判断できる事になります。
金利上昇で収益性が悪化すると判断できる銀行まで買い上げている状況がこのまま続くとは思えませんが、マイナス金利の解除とYCCが終了する時期が見えて来るまで「期待」が続いても不思議はありません。