正直Finlandとロシアとの関係については、Finlandの立場に同情的にならざるを得ない(常に併呑欲を隠そうとしない大国と隣り合わせの地理的条件)し、今回のNATOへの加入も、単に西側諸国の陰謀とは思えないのだけれども。
そもそもこの国は、言語も人種も「ヨーロッパ系」ではなく、ハンガリーと同じく、アジア系統に属すると理解している。
長らく北欧を支配してきたスウェーデンの一部だったが、ロシアとスウェーデンとの戦争の結果、ロシア領となり、ロシア革命に乗じて独立を果たしている。
その後、独立を認めないロシアと紛争が絶えず、第二次世界大戦勃発後のtalvisota=冬戦争では、「ソ連」に侵攻され、国際社会がソ連を非難し、日本に続いて、ソ連が国際連盟から離脱(ソ連の場合は、追放だ)する原因ともなっていた筈。
日露戦争の間も、反ロシア帝国運動の地下運動の拠点であったし、WWIIでは、反ソ連の立場から、枢軸側に接近しているから、「敗戦国」なのだが、同時にソ連との間では、抗戦を続け、1944年には単独でソ連相手に講和条約を結んだ結果、バルト3国のようにソ連に取り込まれず、自由主義経済と民主政治体制を維持できたと理解している。
WWII後も、ソ連の干渉で、戦後復興案であるマーシャルプランの恩恵にあずかれず、NATOにも加盟を「許されていない」が、同時にワルソー機構にも例外的に参加していなかった。ソ連からみて、完全に攻め潰せなかったフィンランドは、獅子身中の虫。他の共和国やバルト3国のように「臣下」扱いはできなかった。それでも冷戦下、フィンランドの政治的地位は必ずしも安泰でもなく、常にソ連の領海侵犯や、干渉にさらされていたというのが、「西側」から見た構図。
今になって、ソ連の後身のロシアが、なりふり構わず動き始めた以上、フィンランドとしては座して待つわけにはいかないだろう。
彼らのNATOへの参加は、パワーバランスが崩れつつある現在という状況下で、歴史の必然だと私には思えるのだが。
それと、かつてのソ連時代、あの国が、周辺国にとっては「剣呑」で、安心の出来ない国だった(まあ、USも直接国境を接している国が殆どないからそれほど”危険”を体感させないのだろうけれども)ことは、今のロシアの状況に少なからず影響を与えているとも思う。ロシアに対して「友人」として仲介をしようとする国がどれだけあるのだろうか?これはPoetic Justiceと言わざるを得ないのでは?
カレリアについては、フィンランドの作曲家シベリウスが、劇音楽=ドラマを残しているね。
本人が「失敗作」と破棄して、小さく組曲にまとめられたものだけが残ったが、そこで、結構演奏されるナンバーもある。覚えのある人も多いんじゃないだろうか?
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フィンランド人の愛国心のかけらぐらいは感じられないだろうか?