ペナトピ・Deracine版

雑記帳 / 192

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晩御飯 2023/07/10 (月) 17:37:32 修正

野球との関わり(6年生・正規チーム編・その6)

X君の加入があまりにインパクト強すぎて、その影に隠れてしまったもう一人の新加入6年生がいた。
いや、単に僕個人の記憶がX君に偏っているだけなのかもしれない。
僕は先に決まっていたポジションも打順もX君に譲った立場だったし、
その後も彼とは二遊間コンビ、1・2番コンビを組んだ間柄だったから、より深く印象に刻まれていたとしても当然だ。

ただ、上記の要素を差し引いても「もう一人の彼」の印象は薄かった。
戦力としては、X君に負けず劣らずの技量の持ち主だったにも関わらずだ。
いや、X君の影に隠れていたというよりも、彼自身が「どこか影のある存在」だったんだと思う。

その「もう一人の彼」が新たに加わったのは、たぶんX君が加入した1~2週間後。
彼はもともと、常勝Vチームの有望選手だった。
だから、彼が初めてEチームの練習に来たときに「あれ?こいつ、どこかで見たことあるなぁ」と思った記憶がある。
彼曰く、5年生の秋までVチームに所属してたが辞めてしまい、半年ほど野球から離れていた・・とのことだった。
元Vチームの有望株ということで、名前は「V君」としておこう。

V君は体が大きく、声変わりも進んでいて(チ○毛なんかもしっかり生えていてw)パッと見はすでに中学生だった。
ただ性格は大人しいというか、控えめというか、あまり自分のことをペラペラ話すようなところがなかった。
だから彼がVチームを辞めた理由や、半年を経てEチームに「移籍」したいきさつも、僕らはしばらく知らずにいた。

ところがV君が移籍加入してから3ヶ月くらい経った頃だっただろうか。
ある日の昼休憩のときに、彼はまるで重い口を開くかのようなテンションで僕に対して語り始めたことがあった。

V君「Vチームの練習がキツいのは知ってるだろ?」
僕「うん。かなりスパルタらしいね」
V君「監督に怒鳴られるのは当たり前だし、殴られることもあるんだぜ」
僕「そうらしいね。俺たちEチームじゃ考えられないけど・・」
V君「俺がVチームをやめたのはね、その厳しい指導や練習についていけなくなったからなんだ」
僕「そうかぁ・・。もし俺もVチームに入ってたら、ついていけなかったかもな~」
V君「だから俺はきっと、Vチームから『落ちこぼれ』だと思われてるんだよ」
僕「落ちこぼれ?Eチームからしたら救世主だけどね。V君とX君が入って来なかったら、かなり俺たち弱かったぞw」
V君「でもね、本当は違うんだ・・」
僕「・・・・」
V君「ま、今となってはどーでもいい話だけどね」
僕「うん。Vチームほどは強くないけど、Eチームだって悪くないだろ?」
V君「悪くないね。むしろ最高でしょ。イジメもないし・・。何よりユニホームがカッコイイw」
僕「ww。どう見ても、阪急ブレーブスのビジター用のパクリだけどねw」

そこでこの会話は終わり、別の話題に移った記憶がある。

「本当は違う」と彼が言ったときに、もう僕は察していた。
だから会話の途中で「やめた本当の理由は?」と聞くこともなかったし、
ましてや「Vチームではイジメられてたの?」などと聞いて、この話題を続けようともしなかった。
何故なら子供ながらにV君の自尊心を傷つけてはいけないと思ったし、
うっかり傷口を広げてはいけないと思ったからだ。

V君にそういう背景があったことが関係していたのかは分からないが、
Eチームの中ではあまり目立たず、印象に残りづらいキャラクターだった。
ただそれは、あくまでプレー以外の部分での話。
さすがに常勝Vチームの有望株だっただけあって、野球はめちゃめちゃ上手かった!

(次回、正規チーム編も最終回)

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