野球との関わり(6年生・正規チーム編・その4)
いつものように軽いランニングから練習が始まった。
途中加入で初練習のX君が緊張していたら可哀想だと思い、僕は彼と並走する格好で色々と話しかけた。
僕「○○小学校だって?Eチームは△△小学校の奴が多いんだよね。俺もそう」
X君「へぇー、そうなんだ」
僕「そっちの学区だったら、Fチームがあるんだけど知ってる?」
X君「あ、そうなの?全然知らなかった。そっちのほうが近かったのかなぁ」
僕「Fチームのエース、逆にこっちの学区で俺と同じクラスなんだー」
X君「へぇー」
僕「そいつとも放課後は一緒に野球やってるんだよー。クラスでチーム作って」
X君「へぇー、楽しそうだね!」
・・とまぁ、そんな感じの、どーでもいい会話をしたんだと思う。
X君は特別に緊張した様子もなく、ニコニコ笑顔で応じてくれた。
ランニングが終わり、キャッチボールを始めようとしたとき、監督がX君とキャプテンのK君を呼んだ。
そして僕らがキャッチボール終えるまで、監督・K君・X君の3人はずっと何やら話し込んでいた。
僕らが守備練習に入る頃、ようやく3人の会話は終わり、K君とX君は少し離れたところで軽いキャッチボールを始めた。
そして間もなく2人は、すでに始まっていた内野ノックの輪に入ってきた。
サードの位置に入るK君が、ショートの位置にいた僕に言った。
「お前、ショートじゃなくて、やっぱりセカンドかもよw」
X君は僕と同じショートの位置に入り、僕と交互にノックを受ける形となった。
え?マジか!ウソでしょ?うまっ!うますぎ!!
衝撃だった。
僕はX君ほど内野守備の上手な小学生を、それまで見たことがなかった。
常勝Vチームの内野陣にも、X君ほどの子はいなかった。
というより比べ物にならなかった。
どんな難しい打球も涼しい顔で華麗にさばき、ファーストへは糸を引くような強くて正確な送球。
「君はいったい何者なんだ!」
思わずそう叫びたくなるくらい、彼の守備力には感動させられた。
この日の昼休憩、僕はX君を質問攻めにしたのを覚えてる。
そこで僕は初めてX君の球歴を知ることとなった。
(つづく)