メタシャングリラの要塞の本殿は4コマンダーが守る4棟に囲まれた位置に聳え立っている。
外部から侵入するにはそれら4棟を攻略しなければならない。
しかし今、四手に分かれたハンター勢は政府軍のエラトネール3姉弟の協力もあってそれら4棟を攻め落としここ本殿で合流を果たしたのであった。
本殿は環状のフロアから成る高層ビルで全体的に豪華な雰囲気がある。
そんなフロアの構造上見上げれば最上階まで見渡せる地上階にてハンター勢はある者は互いの無事を喜び、ある者は状況を確認し始めていた。
「いやー、ここまでノーアウトで来れるなんて感無量ッス!このままメタシャングリラを完封してやるッスよ!!」
全員の無事を確認したトラストが意気込む。
「その前に皆さん酷いダメージですぅ…お願い!」パァァァ…
シナモンがこの場の一同を癒す。
「おっしゃあ、これで元気100倍だぜぇ!!」
「これだけ広くて豪華だと、それだけお宝も眠ってそうだね♪」
回復したマッシモと本殿の景観を目にしたマリノもテンションを上げる。
「ンモォォォォ…」
「不安な気持ちも分かるズラがこいつ等の実力は本物ズラ!」
不安気な声を発するファラリスオックスをカピラーバが諭す。
「オォ~ン!!アォン!アォン!アォン!」
「あら、私も同じ気持ちよ」
勢いよく吠えるブリザディオンに共感を示すクレーネル。
「ビュオオオ~!!!」「ゴロゴロゴロォ!!!」
「まぁ~たそんなどうでもいい理由で喧嘩してるのぉ~?
クラブHLぅ~、止めてくんなぁ~い?」「ハイレグ!!」
喧嘩をするフーディーン&ライディーンに対しエレキドナーは面倒くさそうにクラブHLに仲裁するように言い、クラブHLは了承する。
「ブクブクブクブクブクブク…ブク!ブックックックック!」
「シャハハハハハ!全くその通りだぜ!!」
ウォーターデビルの発する声に何故か賛同しつつ爆笑するナヴァラーク。
「え…?え…?もしかして5モンスターの言葉分かるの?僕全然分かんないんだけど…」
「俺も分からん…この世は分からない事が沢山あるが、これもその1つなんだろうな…」
5モンスターと普通に会話する8エージェントをアクセルとゼロは怪訝な顔で見遣る。
「やぁ~はりほぉ~ん隊、そしてだぁ~ん長との戦いはじぃ~つに熱いたぁ~たかいであぁ~りましたなぁ~」
「おうよ、本当に燃える戦いだったぜ!このまま俺っち達の本物の信念で奴等の歪んだ信念を砕いてやらぁ!」
興奮冷めやらぬマーシャルとフォムライザーが熱く語る。
「どこまでもお供いたしますわ、隊長…」
「何があっても君を守るよ、パステル…」
互いに見つめ合うパステルとライノサイル。
「ハァ…ハァ…いよいよこの戦いの最終局面だけど、何だか嫌な予感がするよね…ね?」
「男は度胸、何でもやってみるものですぜ」
何やら不吉な予感を覚えるセンチピーダをウェルドが勇気付ける。
「さあ、世界の病巣を摘出しますよ!」
「うむ、奴等はお前の言う所の『付ける薬の無い馬鹿』だからな!!」
「然り。愚かなる奴等には相応の報いを与えようぞ」
シンドローム、セント―ラ、シダージュも決意を表す。
「そんなお前達に紹介したい奴等がいるんだ」
ヴィアの言葉と共にサイバーエルフとなった4コマンダーが現れた。
「「「団長!!」」」
この場にいた元メタシャングリラのサイバーエルフ達は歓喜する。
「畜生、畜生!!この俺をあんな汚いシノギに利用しやがって…!!」
正気に戻ったフランメは怒りと悲しみを露わにする。
「私とて奴等に良いように利用された事は屈辱の極み…」
表情を僅かに曇らせ憎々し気に呟くメーア。
「先程醜い手段で勝とうとした事以前に奴等如きにに服従させられた事がこの私の一生の不覚にして汚点さ…」
ブリッツも相当悔しいようである。
「そんな我等をサイバーエルフの洗脳から解放した事と、それまでに部下が世話になった事に
重ねて礼を言うぞ、ヴィア殿…」
シャッテンはヴィアに礼を言う。
「4コマンダーのサイバーエルフの性能は各軍のサイバーエルフの性能を向上させる事らしい。
これで特殊武器、ラーニング技、エルフスキル、モンスターチップ、ガーディアンカードも格段にレベルアップする筈だ」
「本当だぜ、力が沸いてきやがる…!」
ヴィアの説明にナヴァラークを始め8エージェント、5ガーディアン、5モンスター達は納得する。
「この力にはまだ先があるみてぇだが、リスクが大きい為に無闇に使わねぇ方が良いそうだ。
尤も俺は使いてぇけどな」
フランメは追加の説明をする。
「ところで政府軍の凄腕レプリロイドとやらは3人いたんだな、皆オーラが半端じゃないよ」
「あら、誰もウチらが1人だなんて言った覚えは無いんだけどぉ~?
エラトお姉ちゃんの強さはウチやアンジュとは比べ物にならないんだからね!」
政府軍から派遣されたレプリロイドが3人だった事を初めて知ったダイナモにドロワクレールが得意気に応じる。
「(…強い…)」
フラジールはエラトネールを一瞥し彼女から強烈な圧と底知れぬ雰囲気を感じ取る。
そんな彼女にニッコリと微笑みつつエラトネールはこの場の一同に挨拶する。
「皆、妹と弟が世話になったわね、私の名前はエラトネール、こっちがドロワクレール…そしてこっちがアンジュピトールよ…」
「僕の事はアンジュでいいからね!それよりも僕、さっきの戦いで面白い事聞いちゃったんだ!
この本殿には4コマンダー以上の強敵がいるって…!」
「「「「「!!!!!!!!!!!!)」」」」」
アンジュピトールの爆弾発言にこの場の一同はざわつく。
「やはり戦いはこれからが本番だったようだな…!ゲージも溜まった…行くぞアイリス!」
「ええ、兄さん!」
パァァァ…
カーネルとアイリスは再度合体し渾然たるアイリスとなった。
「どういう事だ、詳しく聞かせてくれないかい?」
エックスが尋ねるとブリッツは説明を始める。
「フッ、では私が教えよう…奴等は我々が敗北した時に備えて恐ろしい最終兵器を開発していたのさ…それは…」
しかしその説明は突如として遮られる。
ブゥン…
突然上の階の壁の巨大モニターが起動し、そこにヘルシャフトが映し出された。
彼の背後はコックピットのようである。
「これはこれは…皆揃ってよくぞ我が軍を撃破しこの神聖な場所に土足でズカズカと入り込んできおったな…
機械の分際で人間様に盾突く愚かなレプリロイド共よ…」
ヘルシャフトは笑顔で、しかし言葉に怒気を含ませて言う。
「「「「「ヘルシャフト!!!!!!」」」」」
この場の一同が怒りの形相と共にモニターを注視する中、ヘルシャフトは続けて言う。
「ここまでの道のりは本当に険しかっただろう…?これはそんな貴様等に対する俺からの労いだ、受け取るがいい」
フワフワフワフワフワ…
サイバーエルフが様々な方向から現れ、エックス以外のメンバーに取り憑いていく。
しかし…
「何だ、洗脳が、効かない!!」「消えちゃうーっ!!!」
それらのサイバーエルフは取り憑いたレプリロイドの中で効果を発揮する事なく消滅していった。
「ほう、洗脳が効かぬか…事前に対策を講じていたか…それとも気合と根性かな?」
ヘルシャフトが問う。
「両方ッス!!!!」
トラストが豪語する。
「貴様は…確かトラストだったな…新たなS級ハンターで我々との戦いでも活躍したそうだが…
機械である貴様が人間の精神論を語るとは…片腹痛いわ」
「やかましいッス…レプリロイドは只の機械なんかじゃ無いッス!!
夢の為に突き進む気合や目標の為に努力する根性には人間もレプリロイドも無いッスーっ!!」
熱弁するトラストにフラジールが無言で頷く。
「フン、まぁ良い…時にエックス、そしてハンター共よ、
どうやら今貴様等はサイバーエルフとなってイレギュラーだった頃の心を取り戻した
我が軍のレプリロイド共と共闘しておるようだが、奴等が何をしたか知っておるのか?」
「何!?」
ヘルシャフトの問いにエックスは顔を顰める。
「では教えよう…奴等はかつてレプリロイドの権利を大義名分に掲げ、人間を、我々の同胞を虐殺したのだよ…!」
ヘルシャフトは忌々しそうに言う。
「それは本当かい…!?」
エックスは元メタシャングリラのサイバーエルフ達に尋ねる。
「我々は元はレプリロイドを不当に差別する人間を差別する集団だったのさ…
メタシャングリラは表立った事件を起こす前からレプリロイドに対し筆舌に尽くしがたい非道を働いていてね…
時に義憤に駆られ奴等が行った蛮行に対して意趣返しの殺しを行う事もあったのだよ…
言い訳になるか分からないけどそれを行ったのは一部の兵士だけどね…」
ブリッツは肯定する。
「………」
初期のような動揺こそ見られないもののエックスは言葉を失う。
「これが何を意味するか分かるかね…?そう、かつて貴様が処分してきたイレギュラー共と同様の動機だよ!
そんな奴等と今更仲良しごっこが出来るのか?
自分達が余程高尚で潔白な存在だと言うのなら奴等の手を借りず己の力だけで戦おうとは思わんのか?
それとも我々の戦いの道具として利用するとでも言うのか…!?
答えて見せよ、英雄気取りのイレギュラーよ…」
ニヤつきながら問うヘルシャフトだったが…
「貴様の目論見は分かっている…俺達と彼等の協力関係を崩そうという魂胆だな!?
俺はこれまでも倒した敵の能力でこれまでの戦いを生き抜いてきたし、形はどうあれ彼等は既に罰を受けた。
そしてここにいるメンバーの何人かも後ろ暗い過去があるが彼等も襲ってくる過去を乗り越え
今は俺と共に戦ってくれている…
そもそもそれらを差し引いても彼等の過去と貴様等の暴挙を止める事は別問題だ!!
既に起こった事については後から考えればいいが今この場に起きている事は今立ち向かうしかない!!!」
「そうッス!」
トラストもそれに続く。
「サイバーエルフによる洗脳も、俺からの説得も通じんか…
では俺が直接出撃するとしよう…力ではレプリロイドに及ばぬ人間がレプリロイドと戦うにはどうすればいいか…
その答えは貴様なら分かっている筈だろう?ロックマンエックスよ…
ガンツェンヴァッフェ、発進!!」
シューン…
ヘルシャフトの掛け声に合わせモニターがオフになった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
それと共にフロアが震動し、床の丸い模様と思われた部分の中心が2つに割れて地下に通じる穴が開き、
地下の床がせり上がっていき最終的に地上階と同じ高さに到達した。
そしてその床に乗っていた超巨大起動兵器、ガンツェンヴァッフェが巨大で禍々しい姿を現した。
ガンツェンヴァッフェは一見様々な恐竜を組み合わせたような外観をしており
両肩には左右で形の違う砲身が生え、背中には上から下にかけて板状の棘が何枚か生えており
尾は剣になっている。
また腕部および脚部も左右で形が異なり右膝には狼の顔のような、左膝には鳥の顔のような膝当てがある。
ボディカラーは潔白を示す白と高貴さを示す金色がメインである。
「ああ、分かっているさ…だから俺は敢えて過去に倣おう」
この場の一同がガンツェンヴァッフェの巨大さ、そして内から感じられる強烈なエネルギー反応に戦慄する中
エックスは前方を見据えヘルシャフトに言い放つ。
「この最終兵器ガンツェンヴァッフェには過去、現在、未来、そして異界のありとあらゆる強者の力を宿した兵器がボディ各部に搭載されている!
時代と時空を超えた世界に脅威をもたらした猛者達の力の集大成、その身に刻み付けるがいい!!
ランファントアイ、発射!!」
バシュッ!!
ガンツェンヴァッフェの胸部の目玉のような部分から巨大な光弾が放たれた。
目玉のような部分は過去の強者を模したバスター系武器「ランファントアイ」だったのだ。
「危ない!」
咄嗟にこれを回避するこの場の一同だったが着弾した箇所が大きくえぐり取られた。
「………!!」
その威力に戦慄するエックス達にヘルシャフトは得意気に言い放つ。
「今のはチャージショットではない…ノーマルショットだ」
これを聞いた皆は一層戦慄した。
「他の武器もお披露目していくが…それまでに生きていられるかな?」
ヘルシャフトは続けてガンツェンヴァッフェのボディに搭載された各武器から強烈すぎる攻撃を繰り出していく。
口の中のルミネ第2形態を模したインジェクター系武器「ヤコブエボリューション」からの様々な形状のレーザー。
右肩の異界の強者を模したランチャー系武器「エースクラック」からの刃のようなレーザー。
左肩の異界の強者を模したランチャー系武器「ジョーカージャミング」からのミサイルの超連射。
右腕の未来の強者を模したバスター系武器「ゴッデスレイジ」から放たれる放射状のレーザー。
左腕の未来の強者を模したバスター系武器「ジュノンジャッジ」からの超巨大な火球。
右膝の異界の強者を模したマシンガン系武器「ファングハザード」から連射される牙のような弾丸。
左膝の異界の強者を模したマシンガン系武器「フェザーストーム」から連射される羽のような弾丸。
首から尾にかけて背面から生えた未来の強者を模したセイバー系武器「ウロボロスペイン」はボディから切り離し遠隔操作が可能。
尾の先端の未来の強者を模したセイバー系武器「ダークジャスティス」からの剣技。
いずれの威力もこれまでの敵を遥かに超越し、尚且つ回避が極めて困難であり
更にはヘルシャフト自身がまるでこちらの行動が事前に分かるかのようにハンター勢の行動に対し最も的確な対処を下していく。
結果瞬く間にこの場の全員がパワーアップに加え一部の者はハイパーモードを発動しているにも関わらず大ダメージを負い本殿は瓦礫の山と化した。
「バリアやら回復やらでしぶとく粘りおるが、それもいつまで持つかな…?
このガンツェンヴァッフェの武器はボディ各部の兵装だけでなくこの巨体とパワーもそれに入るのだよ…ムン!!」
そう言ってヘルシャフトはガンツェンヴァッフェの腕を烈火殿の付近の地面に突っ込んだ。
その直後何とガンツェンヴァッフェの剛腕は烈火殿全体を抉り出し高々と真上に持ち上げたのだった。
「喰らえ!!」
ブンッ!!!
これに対しある者は瞬間移動で回避し、またある者は防御に徹し、またある者は己の技で迎え撃とうとする。
そんな中…
「こりゃ大技の出し惜しみをしている場合じゃないな…行け!!」
ブゥン…
ヴィアは空間に扉を出現させ、その中から過去のイレギュラーの内特に巨大でパワーのあるタイプのものを大量に出現させ直撃を防いだ。
「物量攻撃はこちらにもあるぞ…ドラグリョーシカ!!」
パカッ!
ガンツェンヴァッフェの股のハッチが開くとそこから次々と大型メカニロイドが出現する。
これらのメカニロイドも普通で考えたら大型でありその中からは次々と中型メカニロイドが出現する。
その中型メカニロイドも更に内部から小型のメカニロイドを出現させていく。
これらのメカニロイドはヴィアが呼び出したイレギュラー並びにハンター勢に牙を剥く。
「まるでネズミじゃん、でもメカニロイドって事はアタックゲージ稼ぎ放題だね!」
アクセルがメカニロイドを攻撃し始めるが…
「甘いぞ、自爆せよ!!」
ボガンボガンボガン!!!
「うわっ!!」
ヘルシャフトの号令に合わせ次々と自爆していくメカニロイド達。
メカニロイド達に内蔵された爆弾は強力でハンター勢はその爆発でもダメージを喰らう。
「俺にも物量攻撃はあるぜ…躯装破!!」
ブゥン!!
ゼロはその場の瓦礫でフォムライザー戦の時よりも巨大な剣を生成しガンツェンヴァッフェに斬りかかる。
「受けて立とう…ジェラシーアーツ!!」
ガキンガキンガキンガキンガキン!!!
ガンツェンヴァッフェが背を向けると尾を自在に操りつつ先端のダークジャスティスでゼロの大剣との斬り合いを開始。
その都度大地が震撼し剣同士の激突から発生する突風は周辺の瓦礫を切り刻んでいく。
それも暫くするとゼロの奮闘虚しくパワー負けしたゼロが遥か彼方に吹っ飛ばされていった。
「ゼロ!己…滅斬!!」
「他人の心配より…自分の心配をするんだな…ヤコブレス!!」
「ぬううう…!!」
アイリスが怒りとともにガンツェンヴァッフェに斬りかかるが口内のヤコブエボリューションから放たれるレーザーで返り討ちに遭う。
それ以降もハンター勢はガンツェンヴァッフェの猛攻に曝されるも必死に食い下がる。
彼等もパワーアップしている事に加えバリアや回復などで辛うじて攻撃を持ち堪えたり
経験を活かした巧みな戦術やコンビネーション、何より負ける訳にはいかないという信念に突き動かされていたからであった。
加えて如何に頑丈なガンツェンヴァッフェとて全てがその頑丈さの原因たる超合金で出来ている訳でもなく
各武器が装備されている箇所など装甲以外の部分は装甲よりも耐久性に劣りハンター勢はそこを狙って攻撃していく。
とはいえそれらの弱点の防御力もとんでもなく高くガンツェンヴァッフェの攻撃の勢いは全く衰えない為ハンター勢は次第に劣勢に追い込まれていった。
皆がどう考えても戦闘など不可能であろうボロ雑巾のような状態になった時…トラストは決意する。
「…気合と…根性だけじゃ…限界が…あるッスね…今こそ…この力を…使う時っス…!!
ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!」
バリバリバリバリバリバリ!!!!!!
トラストは遂に禁断の力を開放しその姿を変貌させた。
ヘルメットと腕部、脚部のパーツの色が赤から黒に変わりそれ以外の部分は白をメインとしたカラーリングとなり
瞳は炎のようになり肩から肘、肘から手首に伸びるチューブは内部に収納され右手にはレーザー砲を内蔵したグローブが装着されている。
そして全体からはその闘魂が滲み出ている。
その名は「レジェンドピッチャー」。
レジェンドピッチャーを発動したトラストは大きく振りかぶるとグローブのレーザー砲のエネルギーをチャージさせる。
「レーザーピッチ!!!!!」
ヒューン…ドゴォ!!!!
トラストはレーザーを伴った超剛速球をガンツェンヴァッフェの弱点に当てる。
確かな手応えがあった。
「グウウウウ…肩が…腰が…全身が軋むッス…!何発も投げられるものじゃないっスが…自分の全てを出し尽くすまで…やってやるッス…!!」
強烈な力を発揮する分その身に降りかかる負荷は大きかった。
そしてトラストが再度レーザーピッチを放とうとした時…
「それしきの力でこのガンツェンヴァッフェの牙城を崩せると思ったか?チャージショット!!!」
ガンツェンヴァッフェの胸部のランファントアイからチャージショットが放たれる。
それは目が眩むほどの光芒でトラストを飲み込もうとしていたが…
「…迷わない…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
トラストに続きフラジールも隠されたハイパーモード「ミゼラブルプリマ」を発動。
外見は露出の多いバレリーナのようであり所々にギザギザの装飾が見られる。
フラジールは飛び出すとトラストを抱えチャージショットの着弾の寸前にこれを回避する。
直後フラジールは振り返り凍り付くような視線をヘルシャフトに向ける。
「斬る…斬る…斬る斬る斬る斬るキルキルキルキルキルキルキル…」
そしてひたすら繰り返し呟きながらガンツェンヴァッフェに接近し、飛び移った。
タタタタタタタタタタタ…ズババババババババババババ!!!!!!!!!!!
ガンツェンヴァッフェのボディの上を駆け回りながら兵装の地点に到達すると攻撃を繰り出していくフラジール。
その攻撃は衣装のギザギザの部分を飛ばしたり連続蹴りを放ったりといったものでいずれも鋭利な刃物のようである。
「己!」
その際ヘルシャフトが反撃しようものならバレリーナのようなジャンプで回避していく。
「…吞み込まれない…」
フラジールはこの時自身に湧き上がる破壊衝動、殺戮衝動を懸命に制御し、それらを敵のみに向けようと足掻きつつ攻撃を繰り返していく。
そんな状態が暫し続くとガンツェンヴァッフェの兵装が1つ、また1つと破壊されていき体勢を立て直したトラストが再度レーザーピッチを決めまた1つの兵装を破壊した。
「坊やとお嬢ちゃんに続くぞ…スピアトリックチャージショット!」
ズバシュッ!!!
ダイナモがアローバスターでさらに1つの兵装を破壊。
この時ガンツェンヴァッフェには既に何重ものデバフがかけられており、また破壊された兵装からは攻撃が来ない為に死角となるというヘルシャフトからすると悪循環に陥っていった。
やがてゼロも戻ってきて通常時は口の中に隠されているヤコブエボリューションを除く全てのガンツェンヴァッフェの兵装が破壊された。
「思い上がるでないわ!!このパワーもガンツェンヴァッフェの武器と言ったであろう!!
如何に貴様等とてこの重量には耐えられまい…フン!!フン!!フン!!」
グシャッ!!グシャッ!!グシャ!!
ヘルシャフトの怒号が響くと同時にガンツェンヴァッフェは瓦礫というにはあまりに巨大な要塞の残骸を持ち上げてはハンター勢をその下敷きにしていく。
「回復もバリアもエネルギーを消耗するし身動きが取れねばどうしようもあるまい…
最終的に待っているのは圧死だ…
この俺がわざわざ貴様等如きの為に墓標を立ててやったのだ…感謝するがいい…
ハァーッハッハッハッハッハ!!!!!!!!!!」
高笑いをするヘルシャフトを余所に瓦礫の後ろの物陰では…
「ヤバいってヤバいって…!!こうなったらもう、あの手を使うしかないわよ!!」
「僕も賛成だよ、やっぱあんなの倒せっこないよ…!!」
必死にエラトネールに何かを訴えるドロワクレールとアンジュピトール。
エラトネール3姉弟はアンジュピトールが咄嗟に出現させた扉に入り先程の攻撃を回避していたのだった。
「そうネ…これは気持ちの問題だけじゃなくて…気をしっかり持たないと心が呑み込まれるリスクがあるけれど…覚悟はいいかしラ…?」
エラトネールは2人に確認する。
「このままじゃ負けるだけだし、もう背に腹は代えられないわ…やってやる!!」
「僕も正直ヤだけど、しょうがないよ…」
「ドロワ…アンジュ…覚悟は伝わったワ…それじゃあ…いきましょウ…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!
エラトネールが言い終えた直後、大地が震撼した。
「何!?」
ヘルシャフトがそれに警戒していると瓦礫の背後で光が発生し、光の中から3つの巨大な影が現れた。
光が収まり姿を現したそれらはシグマガンナー、ファイナルシグマW、ヘルシグマだった。
しかも事件当時は不完全だったファイナルシグマWとヘルシグマは完全な姿であり、
従来は壁と一体化しているはずのシグマガンナーは人型の下半身が付いている。
「(先程のようなヴィアの召喚した過去のイレギュラーか…?事件当時とは姿が異なるようだが…)」
ヘルシャフトがそう考えた時だった。
「あぁ…不快だワ…」
「こんな姿にならなきゃいけないなんて、ムカつくムカつくムカつく~っ!!」
「大きくなれる事は悪くないんだけどね~」
ヘルシグマはエラトネールが、ファイナルシグマWはアンジュピトールが、シグマガンナーはドロワクレールが変身した姿だった。
声はシグマのそれに変わっているが口調は従来のままである。
「ほう、どこの馬の骨とも分からぬ女と小娘と小僧のほうであったか…過去の亡霊を仕掛けてくるとはまるで我々のような事をするではないか」
不敵に言い放つヘルシャフトにエラトネールは応じる。
「これはウイルスとディープログの技術を応用したもノ…
只の実物の再現だけではなく私達本来の能力も使う事が出来るノ…さあ、遊んであげようかしラ…」
エラトネールの説明の通りシグマ第2形態に変身した3人はその状態で自分本来の技も使える。
威力と攻撃範囲が格段に上昇した他にエラトネールのルヴニールは飛ばす「精霊」がヘルシグマの呼び出す雑魚に、
アンジュピトールのソワレフレアは光弾がヘルシグマの発生させる紫のキューブに、
ドロワクレールのモンデザミは召喚する「友達」がシグマガンナーの3色のオブジェに変わっているという特徴もある。
そしてファイナルシグマWの巨体によるマチネトロワがガンツェンヴァッフェに炸裂しガンツェンヴァッフェが一瞬怯んだ隙に
エラトネールとドロワクレールは地面に突き刺さった瓦礫をどけていく。
瓦礫の下ではアクセル、トラスト、マッシモ、ダイナモが瀕死の重傷を負っておりマリノは咄嗟にシナモンを抱え地面の割れ目に避難したものの身動きが取れなくなっておりフラジールは直前にトラストに突き飛ばされた結果軽症で済んでいた。
また瓦礫が撤去されている間エックス、ゼロ、アイリス、ヴィアは大ダメージを負ったものの自力で脱出した。
「わわ、大変です!…お願い…!」
瓦礫から解放され自由の身になったシナモンがこの場の全員の体力を回復させる。
そして現在のエラトネール3姉弟を目にしたハンター勢は従来の姿の彼女達が見当たらない事と
自分達を助けてくれた事から眼前の3体のシグマ達の正体を察する。
「ヒィィィィィィケツ顎ハゲケツ顎ハゲケツ顎ハゲ!!!!!!」
言うまでもなく3体の「シグマ」に加え辺り一辺のシグマの顔をした無数の雑魚を目にしたセンチピーダは発狂しそうになる。
「完全になった過去のシグマ第2形態が同時に3体か…従来で考えれば絶望的だがこちらの味方となると何と頼もしい事か…
シグマに頼もしさを感じることなど奴が現役ハンターだった頃以来だろうな…」
エックスはどこか悲し気に呟く。
「一番小さい奴はレプリフォース大戦の時の奴か…」
「一番デカい奴はユーラシアの時の奴、ね…」
「それで骸骨みたいな奴はナイトメア事件の時の奴だな…」
過去の事件を思い出すアイリス、ダイナモ、ゼロはそれぞれ表情を曇らせる。
「オエ~、見た目と口調が合ってなさすぎだよぉ!!」
一方でアクセルは現在の3人の見た目とのギャップにドン引きする。
「ええい、今の貴様等は『超えるべき過去』だ!このガンツェンヴァッフェのパワーには適うまい!!!」
ドガッ!!バキッ!!ゲシッ!!
「く…」「きゃっ!?」「うわぁっ!!」
しかし流石のシグマ第2形態でもパワーではガンツェンヴァッフェに一歩及ばず殴り飛ばされ、蹴り飛ばされ、投げ飛ばされていく。
「確かに…1人ずつでは厳しいわネ…でも3人同時ならどうかしラ…?」
エラトネールがそう言うや否や3姉弟は体勢を立て直し連携プレーを開始。
その連携は見事なもので抜群のコンビネーションである。
現在の3人のパワーの合計はガンツェンヴァッフェに及ばぬものの手間取らせることぐらいは出来る。
やがて3姉弟は各々がガンツェンヴァッフェの箇所に関節技を決める。
完全に動きを封じられた訳ではないがガンツェンヴァッフェの動きはかなり鈍っている。
「離せ!離さんかあああああああああ!!!!!!このガラクタ人形共があああああ!!!!!!!!!!」
かつての議会の場での屈辱を思い出し激昂するヘルシャフト。
「この状況は…行ける!行けるぞ!!」
エックス、ゼロ、アクセル、トラスト、フラジールが一人、また1人とガンツェンヴァッフェに接近し始める。
その意図をエラトネール3姉弟はすぐ察した。
そして…
「「「「「「「ダブルアタック!!!!!!!!」」」」」」」
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドド!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
総勢14人による7発分のダブルアタックが一斉に発動。
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!
「これで終わりと思うなああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
結果ガンツェンヴァッフェは大破した。
爆音とヘルシャフトの怒号を同時に響かせながら…
「ゲームセットォーッ!!!!!」
トラストが勝利の雄叫びを上げるも…
「これで終わりと思うなと言っただろう…?」
上空からヘルシャフトの声がする。
見上げるとそこには頭部の上半分だけになり従来は口の中に隠されたヤコブエボリューションが露わになったガンツェンヴァッフェが浮かんでいた。
しかも装甲が剥がれ操縦席のヘルシャフトの姿も露わになっている。
その姿はさながら鳥や戦闘機のようである。
「やはり…そうなる気がしていたよ…」
何故かこの事態に納得するエックス。
「フフフフフ…ガンツェンヴァッフェのパワーだけにかまける程俺は無策ではないぞ…
お次は地獄の航空ショーをお披露目しよう…見物料は貴様等の命だ!
コプフヴァッフェ、発進!!!」
キー―――――――ン!!!!!!
ヘルシャフトの号令と共にガンツェンヴァッフェ、改めコプフヴァッフェは驚異的な速度で飛行を開始。
そして…
ガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!
「う…!」「キャアッ!!」「わあっ!!!」
その凄まじい速度で飛び回りながらエラトネール3姉弟に何度も何度も体当たりを浴びせて全身に重篤なダメージを与えていく。
「フハハハハハハハハ!!パワーで押さえつけられぬならば、スピードではどうかな!?
そのデカい図体では小回りは効くまい!!!」
高笑いをしつつコプフヴァッフェで3姉弟を滅多打ちにするヘルシャフト。
あっと言う間に3姉弟は変身が解除されダウンしてしまう。
これはサブタンク等の回復アイテム、シナモンのエンジェリックエイド等の回復技、ナース系サイバーエルフ等と言った通常の手段では体力を回復させることができない状態である。
こうなるとこの場で戦線復帰させる方法は2つしかない。
1つはリバイブゲージに変わったアタックゲージを満タンにする事。
もう1つは使い捨てアイテム「リブート」及び「バックアップ」の使用である。
前者はコプフヴァッフェの動きと攻撃の激しさ故に現実的ではない。
それ故必然的に後者が選ばれる。
「ならば…これだ!」
エックスはファルコンアーマーの機能を選択し上空に上昇。
「この力…今使わずして…いつ使う!?」
アイリスは再度旧戦闘形態の要素を兼ね備えた形態となる。
「確かに今しか無ぇな!俺も行くぜ!!」
ゼロはアブソリュートゼロを発動。
「フーんだ、これなら元の姿の方が相性いいもんね~だ!」
アンジュピトールは元の姿のままコプフヴァッフェを迎え撃つ。
「僕だって…!」
アクセルはホワイトアクセルを発動し時間無制限のホバリングで対応。
「キルキルキルキルキルキル…」
フラジールはまるで空中を足場にして踊るかのように上空に向かい躍動する。
ガキン!ガキン!ガキキキキキキキキキキ…!!!!
そしてそのまま激しい空中戦にもつれ込む。
ヘルシャフトは空中で自身に挑みかかるハンター勢を相手取りながらある時不敵に笑う。
「地を這う貴様等も忘れておらんぞ!チェイサークリーパー!!」
ドドドドッ!
コプフヴァッフェの鳥の目に当たる部分、即ちガンツェンヴァッフェの鼻の穴に当たる部分と
ガンツェンヴァッフェの目に当たる部分の計4か所から光弾が出現し、地上から援護攻撃を行うハンター勢に向けて放たれる。
これらの光弾は標的に向かって直進し、2回まで方向転換を行い地面に着弾すると分裂して地を這う。
「トルネードスィング!!」
ギュルルルルルルルルルルルルルルル…
トラストはバットを構え体を高速で回転させ自身を中心に竜巻を発生させこれらの光弾を弾き返す。
ブォンッ…
「ム…」
この時真上にいたコプフヴァッフェは風に飛ばされ一瞬制御が効かなくなるが、すぐ持ち直してワープして消えた。
しかしトラストはこの一瞬を見逃さなかった。
次の瞬間コプフヴァッフェが別の場所に出現し再度チェイサークリーパーの光弾を出現させるが…
「レーザーピッチ!!」
ドゴォ!!!
「ぐうう…!!」
コプフヴァッフェは大きくのけぞりガンツェンヴァッフェ戦の時以上に出応えがあった。
そしてコプフヴァッフェは光弾を放つ事なく消えた。
「へー、あんな距離で…それもほんの一瞬の判断で当てちゃうなんてねぇ…」
カピラーバ戦の時にその場に居合わせたアクセルが感心する。
「この姿になると守備範囲が広くなるみたいッスね。副作用としては別の守備範囲も広くなってしまう事…
今なら赤ちゃんからお婆ちゃんまで行ける気がするッス!!!」
キリっとした顔で豪語するトラスト。
「貴様の性癖など…どうでもいいわぁーっ!!!!スピニングストライク!!!」
ギュイ―ン!!!!!!
するとトラストの近くに現れたコプフヴァッフェがエネルギーを纏い高速回転しながら突っ込んできた。
「弾き返してやるッス!トルネードスィング!!!!!!!!」
以前よりも重量が大幅に減った為強い衝撃や風圧で御せると踏んだトラストはこれをトルネードスィングで迎え撃つ。
しかし…
バチチチチチチチチ…ガッ!!!!
一瞬衝突したかと思うとトラストは激しく吹っ飛ばされ全身にダメージを負う。
「ぐああああああああああ!!!!!!」
ズザザザザザザザザザザザザザ…
地面に擦り付けられ滑り込んでいくトラストだったがやがて体制を立て直し立ち上がる。
この間近くにいた仲間が反撃しようとするもののまたもコプフヴァッフェは姿を消す。
その後もコプフヴァッフェは上空、地上にいるハンター勢に猛攻を仕掛ける。
ガンツェンヴァッフェ戦の時点から回復アイテムやナース系エルフを使用してきたハンター達であったがこの攻撃の激しさの為にそれもやがて尽きてくる。
しかも只でさえコプフヴァッフェの技の数々は威力が高い事に加えワープした標的の付近でルミネの即死技を発動する事も織り交ぜて来るため
リブートとバックアップも尽きてきて、リバイブゲージを溜めるのも依然困難である。
こうした事態から一度に戦える者の人数は次第に減っていきジリ貧状態に陥っていく。
しかしハンター達の抵抗も凄まじい。
コプフヴァッフェに絶えずデバフをかけ続け、またフラジールがメーア戦の結末を活かし周囲の瓦礫に自らの放った刃を刺しておいた結果地上にいる者も跳弾を駆使して命中率を上げていく。
そんな激しい戦いの中トラストはある法則に気付きつつあった。
「サーキュラーターン…」
上空にてチェイサークリーパーを発動させるコプフヴァッフェに対しフラジールが高速回転し竜巻を発生させながら迎え撃とうとするとコプフヴァッフェは風の影響で一瞬コントロールを失い攻撃を中断する。
しかし体当たり系の技の時はそれは通じず外からの攻撃で勢いを殺す事はできない。
一方でレーザーや光弾、即死技を放つ時は移動が出来ない。
これらの法則を踏まえトラストは活路を見出そうとしていた。
その後も激しい技の応酬が続く。
回復アイテムや復活アイテム、ナース系サイバーエルフはこの戦闘で底を突き次第に戦況は厳しくなっていく。
「諦めない…!」
「勝負は…9回裏まで分からないッス!!」
状況的に明らかに追い詰められているにも関わらず懸命に食らいつくハンター達。
「(しかし何という執念…何というしぶとさよ…叩いても叩いても何度でも立ち上がりおって…!
戦況は依然こちらが優勢…貴様等の敗北は火を見るより明らかではないか…!
にも拘わらずどいつもこいつも絶望せず立ち向かいおる…!!
特にエックスと…トラストとかいう小僧が顕著だな…
これは皆がエックスに『感染』しておると言うのか…!?言わば…『エックスウイルス』!!!)」
ヘルシャフトはどんなに痛めつけても絶望せず立ち向かってくるハンター達に苛立ちを覚え始める。
そんな中コプフヴァッフェへの攻撃の勢いを強める者が1人。
アイリスである。
「貴様のような輩に…世界を明け渡してなるものかああああ!!!!!!!!」
時間切れに対する焦りか、周囲の奮闘に鼓舞されたのか、それとも囮作戦か…
その勢いはブリッツ戦でブリッツを追い詰めた時より一層激しさを増しコプフヴァッフェでも手を焼く程である。
「はああああああああ!!!!!!!!!」
シュバアアアアアアアアアアアアアアアア…
アイリスはバスターから極太レーザーを放つ。
「ええい鬱陶しい!そんなに相手にして欲しいならば受けて立とう!!ヤコブレス!!!」
ビシャアアアアアアアアアアアアアアアアアア…
ヘルシャフトは怒りヤコブエボリューションからのレーザーでこれを迎え撃つ。
そしてレーザー同士の衝突となったが次第にヘルシャフト側のレーザーが押していく。
やがてアイリスのレーザーに押し勝ったヤコブエボリューションのレーザーがアイリスを飲み込まんとした時だった。
パッ!
アイリスの合体が解け元の2人の姿に戻ったのだがこの時両者の位置はレーザーの両脇に移動しておそりその状態で落下。
その為コプフヴァッフェが誰もいない方向にレーザーを放っている事態が発生し、尚且つヘルシャフトが状況を飲み込むまでの間が発生する。
その瞬間アイリスの意図を悟ったかのようにトラストとフラジールが配置に付いた。
「「ツインツイスター!!!!!!!!!!」」
ヒュゴォォォォォォォォォォォ…
2人はトラストのフランメ戦での経験を活かし1人でもコプフヴァッフェのコントロールを奪った竜巻を発する技を発動。
結果それぞれが1人で発した竜巻よりも一層強大な竜巻が発生しコプフヴァッフェを捕らえる。
ヒュルルルルルルルル…
「ぐ…コントロールが…コントロールが効かん…!!」
ゼロが落下するアイリスを空中で素早くキャッチしカーネルが三点着地をする中
上空でぐるぐる回りながら落ちていくコプフヴァッフェをトラストは真っ直ぐ見据える。
そして…
「レーザーピッチ!!!!!!!」
極限まで振りかぶり渾身の力でレーザーピッチを放った。
「チャージショット!」
「ベルセルクチャージ!」
「ルヴニール…」
「モンデザミ!」
「ソワレフレア!」
他のメンバーもそれに続き落ちていくコプフヴァッフェ目がけて遠距離攻撃を繰り出していく。
「まさか…コプフヴァッフェでも勝てぬというのか…これが…レプリロイド共の…いや、『エックスウイルス』の力…か…
己…己…己えええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…
チュドーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
コプフヴァッフェは上空で大破した。
続く
やっと更新できました。第19話後書きです。
まず本殿には雑魚と中ボスがいませんがこれはロックマンでもしばしば見られるパターンであり
設定としては本殿は神聖な場所でレプリロイドとメカニロイドは原則的に入れない、という事です(4コマンダー及びガンツェンヴァッフェの試運転に使われた8エージェント、5モンスター、5ガーディアンのデッドコピーは例外)。
ガンツェンヴァッフェですがまず各武器の元ネタは
ヤコブエボリューション:ルミネ第2形態
ランファントアイ:ラ・ムーン
エースクラック:アシッドエース
ジョーカージャミング:グレイブジョーカー
ゴッデスレイジ:セラ第2形態
ジュノンジャッジ:ジュノ第2形態
ウロボロスペイン:マスターアルバート第2形態
ダークジャスティス:エルピス第2形態&ダークエルフ
ファングハザード:グレイガ
フェザーストーム:ファルザー
です。
5ガーディアン並びに4コマンダーはロックマンキャラを模した武器を所持しており作画コストがとんでもなく高かったですが
ガンツェンヴァッフェの作画コストはそれらを遥かに超越し描くのに大苦戦しました。
コプフヴァッフェですが言うまでもなく元ネタはワイリーカプセルですが
頭部だけになって飛行メカとなるのはワイリーマシン9号、メガワールド号に近いです。
トラストのハイパーモードですが実はネットでよくネタにされるイチローさんのレーザービームが元ネタで
カラーリングもマリナーズに因んでおります。
またトラストの方から肘、肘から手首に伸びるチューブは巨人の星の大リーグ養成ギプスが元ネタでこれらが収納されたことで力の開放を示しております。
フラジールのハイパーモードの露出度の高さはX diveに由来するものです。
終盤にてコプフヴァッフェは撃破されましたがこれで決着か否かのヒントはまず1つは「野球の試合が必ず9回で終わるか」です。
もう1つはヘルシャフトの貴重品は白旗などではありません。
そして最終回まであと2話です。
【本殿地上階】
苦しい場面も多々ありつつ、集結を果たしたハンター側一同。
読んでる側としてはブリザディオンの鳴き声に多少情緒を乱されるものの(笑)、トラストの言うような感無量といった雰囲気が伝わって来ます。
【効果を発揮出来ずに消え去るヘルシャフト側サイバーエルフ】
ヘルシャフトに対しては「残念だったな」とでも言ってやりたくなりますが、サイバーエルフ達に対してはちょっと悲しい気持ちになります。
ロクゼロ本編がやはり思い出されますね。
【ヘルシャフトの『説得』】
色々と言いたいことはありますが、
「自分達が余程高尚で潔白な存在だと言うのなら奴等の手を借りず己の力だけで戦おうとは思わんのか?」
というのは結構なブーメランだと言わざるをえません。
【ガンツェンヴァッフェ】
とうとうエックス達の前に姿を現した、ヘルシャフトの秘密兵器。
ヘルシャフトの衣装同様の白基調に金のアクセントというカラーリングから一見すると清潔感がありますが、ヤギやウシの頭蓋骨のような顔つきはヤギ頭の悪魔を思わせ、白い機体色と相まって死神か幽霊のようでもあり、禍々しさを感じさせます。
【VSガンツェンヴァッフェ】
「全身これ武器」という言い方がありますがこのガンツェンヴァッフェもそんな感じですね。
各武器の描写が抑え目で、かつ次から次へ列挙するように書かれているので、最初からクライマックスとばかりに嵐のような猛攻が繰り広げられる様子が想像できます。
「えっ⁉」と驚いたのは烈火殿そのものを投げつける荒技と、股のハッチからメカニロイドを次々と発進させるシーン。
ガンツェンヴァッフェの大きさに関して、ここを読むまではてっきりオメガ第2形態くらいだろうと思っていたのですが、どうやらそんなレベルではないようですね。
メカニロイドを中に搭載しているのか転送でもしているのかはわかりませんが、いずれにせよ”ハッチ”というのが股の金色の部分を指すとすれば相当な巨体であると想像できます。
このような戦艦じみたボスに対しては武装を破壊し力を削ぐのがお約束。しかしそれさえも難航するあたり、ヘルシャフト肝いりの最強兵器は伊達ではありませんね。
この強大さを前に、トラストとフラジールもとうとう奥の手を使う訳ですが…
それだけではガンツェンヴァッフェを沈めるには至らなかったものの、兵装を瞬く間に剥ぎ取って格闘戦一本に追い込んで見せたのは大健闘と言えます。ここまでとっておいた甲斐があったというものですね。
そして、センチピーダのトラウマを刺激しつつ、ガンツェンヴァッフェを押さえ込むエラトネール達。
ゲームではシグマの巨大形態にはいつもいつも苦しめられた思い出しかありませんが、だからこそ、その力がこの局面で味方することに心強さを感じられます。
【VSコプフヴァッフェ】
コプフヴァッフェは一見すると単なる脱出装置のようで、ともすると「ヤッターマン」のドロンボー一味が自転車で逃げ帰っていく時のようなマヌケな姿にも見えます。
しかし3体のシグマをあっさり変身解除せしめ、空中戦でエックス達と渡り合ってみせるあたりまだ侮れない力を秘めていると言えますね。
(しかもガンツェンヴァッフェでエックスたちを散々苦しめた後のコレという…)
感想有難うございます!
>本殿地上階
ブリザディオンの鳴き声は元ネタが元ネタだけにどんなシーンでもそこに意識が行ってしまいそうですね。
これはウェルドにも同様の事が言えますが。
このシーンはこれまでの集大成という事もあり全キャラ分の台詞を入れました。
>効果を発揮できず消えるヘルシャフト側のサイバーエルフ
使うと死ぬサイバーエルフの運命は只でさえ悲しいですがこれが犬死にとなるとその悲しさもより一層ですね。
>ヘルシャフトの『説得』
ヘルシャフトの「説得」はサイバーエルフの使用と同じく対ハンター勢に対する予防線ですがそれを突破されても動じなかったのはガンツェンヴァッフェの強さに自身があるからです。
これに対するエックスの返答には四苦八苦しましがこれは岩本先生版のゼロの台詞にある過去と未来より今を優先する方向で行きました。
仰る通りヘルシャフトの言ってることは思いっきりブーメランですが常に自分が正義、相手は悪の考えを地で行く彼は平気で自分の事を棚上げします。
>ガンツェンヴァッフェ
様々なロックマンキャラを模した武器を装備しながらそれらも含めて白をメインにし、所々金色のカラーリングは
操縦者ヘルシャフトの服装と同様「俺は正しくて高貴なんだ」と色で言っている訳です。
只人相の悪いヘルシャフト同様その風貌には邪悪さが出てしまいました。
>VSガンツェンヴァッフェ
実はガンツェンヴァッフェの名前の由来はガンツェンがドイツ語で「全」、ヴァッフェが同じくドイツ語で「凶器」です(ちなみのコプフは「頭」)。
ガンツェンヴァッフェのサイズですがオメガ第2形態は腰まで画面に入ってますがガンツェンヴァッフェは頭だけで人間の数倍あり、画面に入れると首までしか入らないと思われます。
ハッチは股の部分で出てくるメカニロイドは画面の半分から3分の1程という中ボスやOPボス等によく見られるそれなりの大きさですのでガンツェンヴァッフェのサイズはそれらのボスを遥かに超越しています。
一方であまり大きくし過ぎると地下シェルターや本殿に格納できず、メタ的な理由ではコプフヴァッフェの操縦席のヘルシャフトを描き込めなくなるという問題が生じますので烈火殿よりは小さく重量も軽いです。
よく怪力キャラが自分より遥かに大きく重い物体を持ち上げたり投げたりする描写がありますがそんな感じです。
とうとう隠し玉を放ったトラストとフラジールですがこの力を開放しなければガンツェンヴァッフェには勝てず、
また力を開放してもこの2人だけではガンツェンヴァッフェに勝てませんでした。
エラトネール3姉弟がシグマに変身するのはX diveネタで本編では悲しく重いストーリーでしたがここでは趣向を変えています。
シグマガンナーとヘルシグマの能力上より多くのシグマの顔がこの場に現れる訳でセンチピーダのトラウマが掘り返されるのはまぁ必然ですね。
敵になった時の手強さと味方になった時の頼もしさは本当に比例する物であり、またエックスがかつてシグマを上司として敬愛していた描写も入れました。
>VSコプフヴァッフェ
元ネタのワイリーカプセルに元は脱出装置だったという設定がありますのでこの喩えは的を射てますね。
その強さも元ネタ譲りでハンター勢は決着を付けるべくアイテムを出し惜しみせず使い切ってしまう訳ですが…
執筆お疲れ様です。
オリラスボス「ガンツェンヴァッフェ」との戦いが来て、
トラストとフラジールの隠されたハイパーモードが登場しましたね。
2人の対比的な特徴がよく出ておりましたが、それでも勝てないほど相手が強すぎましたね。
エラトネール3姉弟が変身して、巨大なシグマ第2形態だらけなのは
見る側のインパクトが強そうですね。
そして、『エックスウイルス』という用語が出てきましたが、真相が気になるところです。
感想有難うございます!
ガンツェンヴァッフェの強さの前に遂にトラストとフラジールは禁断のハイパーモードを発動しましたが
それだけではガンツェンヴァッフェには勝てませんでした。
一方で両名のハイパーモード発動が戦いの流れを一気に変えたのも事実であり発動していなければガンツェンヴァッフェは倒せませんでした。
エラトネール3姉弟が変身したシグマ第2形態が一気に3体現れた光景はセンチピーダのみならず並大抵の者なら発狂物でしょう。
「エックスウイルス」ですがこれはシグマウイルス、ゼロウイルス、ナイトメアウイルスのように目で見たりデータで捉えられる存在ではなく
エックスの諦めの悪さが周囲に伝染している様子がまるでウイルスのようである、とヘルシャフトが比喩したものです。
この喩えにはヘルシャフトのエックスに対する敵対心が現れています。