:
菩薩の敎化方法
:
経:
:
:
R訳:あたかも乾いた土に一滴の「しずく」が落ちると、そこには砂ぼこりが立たなくなるように、まず些細な教えから入って行き、数多い欲の中でわずか塵ほどのものを鎮めていきます。そして、悟りへ門を開き、解脱へと誘って行きます。それはまるで涼しい風をそよがせて熱を取り除いて冷めさせるように、人々を苦悩の熱から救って行くのでした。次に深遠な「十二因縁」の教えを説いて無明の状態から解き放ちます。それはまるで照りつける灼熱の太陽に苦しむ人が、雨を得て蘇生の喜び得るようであり、そのうえで無上の教えである「大乗の教え」を説いて、人が本来具える「善の根」に潤いを与えます。さらに善行を呼び起こす「善の種」を蒔いて、ついにはあらゆる人びとに仏の悟りの「芽生え」を起させるのであります。菩薩たちの智慧は、太陽や月のようにすべてを明らかに照らし出し、しかも人々を導く手立ては、手段も時節も的確です。大乗の救いを進めて、その成果をどんどん上げて行き、すべての人を仏の悟りへと真っ直ぐに導きます。菩薩はいつも智慧を具えていますので、限りない大悲の心を注ぐことができ、それによって苦しみ悩む無数の衆生を救っていくのです。
:
:
自利
:
経:是れ諸の衆生の
:
:
R訳:菩薩は、まさに人々にとって「善き友」であり、幸せを育てる「良い田畑」であり、招かないでもわざわざやって来てくれる「有難い先生」であります。私たちにとっては「心の安らぎ」を与えてくれる存在、人生の「大きな支え」となる存在、私を「守ってくれる」存在、「依り所」となる存在です。菩薩は私たちを正しく導く師であり、目、耳、言葉の不自由な人にとっての目、耳、口となる方です。心が乱れ、荒み切っている時は、心を安定させ、正気を取り戻させてくれます。まるで優秀な船長ようで、人生途上で襲いかかる様々な「変化・異変」の荒波を乗り越えさせてくれ、安穏な境地へと誘ってくれます。病に応じて的確に薬を与える名医だとも言え、どんな猛獣をも従わせる優れた調教師のようです。菩薩は、仏の悟りに至るためのあらゆる修行・菩薩行を自由自在に行なえ、一切衆生救済を願う仏の力を信じていますので、「大安心」の心境で法を説くことができます。これらの菩薩は近い将来、仏の悟りに達する方々であり、以上のような大徳を具えています。
:
:
菩薩の敎化方法
:
: