疾く阿耨多羅三藐三菩提を成ずる
大荘厳菩薩は、釈尊に、「世尊、菩薩摩訶薩疾く阿耨多羅三藐三菩提を成ずることを得んと欲せば、応当に何等の法門を修行すべき、何等の法門か能く菩薩摩訶薩をして疾く阿耨多羅三藐三菩提を成ぜしむるや」と問いました。無上の正しい覚りを得る方法を問うたのですが、その時に、「疾く」という条件が入っています。「疾く」とは、速やかに・急いで、という意味ですから、速やかに無上の覚りを得るにはどのような修行をすべきかを質問しています。
これまでは、歴劫修行が説かれていました。菩薩が覚りを得るには、三阿僧祇劫の修行が必要だというのです。阿僧祇とは、「数えきれない」という意味ですので、非常に長い期間をかけないと成仏できないというのでしょう。それに対して無量義経では、「疾く阿耨多羅三藐三菩提を成ずる」のですから、歴劫修行の逆です。即身成仏です。法華経にも、「我先仏の所に於て此の経を受持し読誦し、人の為に説きしが故に疾く阿耨多羅三藐三菩提を得たり」という経文がありますから、歴劫修行は否定されています。
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