ちょっと落ち着いたので、もう少し。
物足りないという意見を自分なりにちょっと考えてみます。大きく4点。長くなったので折りたたみ。
1、11話が怒涛の謎解き回だったので、もっと設定が明かされたりさらなるどんでん返しを期待した
・・・こういう気持ちもわかるんです。あそこまで仕込んだなら、最終回はもっとすごいに違いないって。
りりやワカバのその後、姉妹誕生の経緯、ケムリクサの作用のさらなる言及、文化をサルベージした種族や船、地球の状況、裏姉妹について、わかば誕生のいきさつetc.
時間があったならもっと描写して欲しかったことはいくつもあります。それは確かに惜しい。もったいない。
多分たつき監督の頭の中にはいずれもしっかりあるんだろうと思うと、全12話と最初から決まっていた中でバランスがいい描写配分ではなかったかもしれません。
ちょっとずるいのですが、この作品の企画経緯の事情も関係してくることだなと思います。ケムリクサは最初から12話作品として企画されたものではない、同人作品をテレビ用にしたものだと。
それを考えれば、限られた尺で描かれたものからだけでも納得できるだけの取捨選択はされていたし、これ以上詰め込むよりもドラマの核を直球で見せることに専念したことは、良判断だったと思うのです。
わしらはああもあったろうこうもあったろうと悶々としながら、このあとも考察したり2次創作をしていくという楽しみ方を続けていく道があって、ネットなどでそれを共有できる今の時代には結果的にこれは合った作りなのかとも思います。(狙ってる?)
まあ…期待させておいて~という声は…やっぱ無理ないところかも。がんばれ考察班。
2、りりの思い、ワカバとの関係をもっと見たかった、りりが報われる結末が見たかった
これも11話ショックを受けたファンには、もうちょっとなんかあってもいいんじゃないかっていう…
ひじょーーーにわかる・・・特にりりがワカバの死を見るシーンなんかは衝撃が大きい割にあっさりですぐ記録の書き換えをして回想終わりって…あまりにかわいそうで思い出すだけで辛い…
これも時間的な苦しさがあったんだろうなあ、最終回前までにここまでやれてたらまた違ったんだろうなあと思うんです。EDラストに2人が会うシルエットが(りりが大きくなっていることをチャンネル情報で知った!!)多少救ってくれているとはいえもうちょっとなんとか…。
ただこれも、1と同じく最終回に入れる事項の取捨を考えると、クリエイターとしては意図的に比重を減らしたんじゃないかなって思うのです。
りりの物語として完結させない、りんのわかばくんへの思いをりりの思いに従ったものとしての印象を薄め、今を生きるりん独自の思いとしてはっきり描きたかったんだろうなあって。
過去の因縁を成就させる結末もドラマチックで泣けますが、この物語はそういう閉じた輪を美しく飾る方向ではなく、そこから抽出されたその先の、好きなものを大事にして生きることのまぶしさ・素晴らしさを描く方向を向いた作品だったと感じているわけです。
りりの最後の「好きに生きて」が、単にワカバがもう死んだからの諦めとしてではなく、「好きを大事にして生きて」という風に今は聞こえてなりません。
3回目視聴、りりの最後の言葉は確かに絶望にもとづいて発せられ書かれていると思うのだけれど、それが今を生きる者たちによって「『好き』に生きる」に意味が転じているようで、実は結果的にりりの願いの芯のところでリンクしているっていう超絶ストーリーテリング。この辺まだうまく言語化できないので評価班の発表を待つ!
作品のメッセージ、もしかしてこれ(「好き」に生きて)かもって思うんですが、どうか?
いろいろそぎ落としてもそこははずせない、りんに絞ったエンドはそれを汲み取るに十分な潔さと本気を感じました。「重荷を解かれたりん」と前に書きましたが、それはりりの思いを責任としてではなく輝く道しるべとして受け取った姿でもあったんじゃないかと。それがすでに過去の悲劇を経てもなお今におけるりりの救いでもあるし、だからEDのシルエットも(けしてせめてものという作り手のお情けではなく)成長したりりがワカバの腕に飛び込んでいけたのだと。
あ・・・また泣けてきた・・・。
続く
3、ラストあっさりしすぎ?りんとわかばの距離はこれからどうなる?外の世界を前にみんなはこれからどうするの?
うーん、これについてもいろいろ書こうかと思ってたんですが、これも1,2で自分の中では言い訳がついちゃった感が…
これも、りんがまっすぐにわかばを好きだと伝える物語の到達点の前には些細なことのように思えてきてしまったんだよよよ…
もちろんりつやりな(とシロ!)とともに、みんなの行く先は気になる、12,1話大歓迎だし妄想もはかどるし、出来事を描くストーリーとしてはここで終わり?という喉の渇きもあるんだけど、一番大事なことは描き切った!乱暴に言えば、この後を描くのは主題を薄める蛇足だ!・・・とはさすがにまだ言い切れない、やっぱぐぬぬ…という感は残るのですがw
それはおかわりをよこすのです的な、作品が良かったからこその欲求であり、けして期待外れだった・肩透かしを食ったっていう不満でないのは確か。
お客はあれもこれも食べたかったけど、閉店直前に店主はきっちり主菜は出したよ!って感じ?うーん、しっくりこない喩ですね。
4、山場としてのバトルシーンがいまいち
死にそうなわかば→大丈夫でしたを2回、赤い樹の攻撃が単調、もうだめか→裏姉妹の救援は定番すぎ、後方りつたちの死闘も見せろ・・・こんなとこでしょうか。
これは、そういうのがうまいスタッフならもっとメリハリをつけて盛り上げただろうな…とは思います。
それこそ戦闘シーンが「神アニメだこれ!」って崇められる作品はいっぱいありますからね。
そうは言っても必要十分な盛り上がりはあったし、迫力も絶望感も爽快感もあったかと。りんの気持ちの揺れ、わかばの変わらぬ挺身、裏姉妹の個性あふれる戦い方、後方部隊描写。
もっとって言い出したらきりがないのですがね。
うむむむ、個人的にりょうのアクションは絵的にもうチョイ…
けもふれもそうですが彩のモデリングってちょっと体の線が生々しいというかマンガ的にすらっとしてないのと、カメラがとても客観よりなんで、
アクションアニメのように主観と誇張を駆使した演出で大迫力っていうのを期待するには苦しい気ががが…
いや、事態の全体をその場で見るようなその感じがいいんだ!とも思うのですが、
最終決戦的には思い切ってのめりこませてくれるような熱さ優先でもいいんでは?という気持ちもあり…。
好みにもよりますかね。
例によって放送直後のダメダメ印象で書いてるので、今後全然違うこと言うかもしれませんが
将来「最終回はもう一歩」みたいな評価が出てくるような気もする周囲の反応だったので、リアタイ時、自分はそのへんについてどう思ったかの記録としておきます。
書くことで自分の中のぼんやりした気持ちの輪郭が見えてくるのでみなさんにもお勧めなのな!
駄文おつきいただいた方、ありがとうございました😅
長文お疲れ様。
11話がピークで、最後はちょっと失速したかな?という感は否めませんが、
まずは「完走おめでとう」とスタッフさんたちには言いたいですね。
「ハードな世界観のSFに恋愛要素を入れてみました」
という作品だ、というのは監督のミスリードだと思います。
実際は全く逆で、
「不器用だけど姉妹思いで真っ直ぐな女の子が『自分の好き』を見つける純愛ストーリー」
に理論武装ガチガチのSF設定をくっ付けてみました、と。
そう考えれば、ラストシーンとあのセリフ以外、何が要るんだ?
って話なんですよね。
そこはちゃんとブレずに描き切った! と思います。
あとは考察班さん、お願いします!
ほんとにそう思います。物語のすべてはあのラストカットに行きつくために。
だから
>「ハードな世界観のSFに恋愛要素を入れてみました」
を本当にそうとらえて、だからケムリクサはいまいちだった、って評価が出てきたら残念だなあ、ちゃんとやりきってるって理解されてほしいなあと思います。
ただ、そう思われがちじゃないかという理由はあまりにそっち要素が魅力的なのと、出し方が巧みすぎてそっちに期待させられてしまうっていうたつき監督の罪でもあるのが😅
かといって最初からストレートに本題を描いても、今の時代舌の肥えた?擦れてる?視聴者が、どれだけ食いついてくれるかっていう問題もあると思うので難しいところですね。(連続作品では…単発の映画作品ならいけるかも)
この2作でたつき監督が「伏線を盛り込むのがうまい、考察し甲斐がある」部分ばかりが評価される事態にならないよう願っています。たぶんファンの大部分はわかってると思うので大丈夫だと信じてるぅ。