熱い異能力バトル
支援
足を踏み出したその瞬間 殺意が上から降ってきた。
スティーブ「...ッ!」
咄嗟に、スティーブは後ろへ跳び退く。反応が僅か数秒でも遅れていれば、今頃八つ裂きにされていただろう。 暗闇の中、天井から落ちてきたのは、青白い肌をした異形の巨人。
なんだこいつは…人間なのか? いや、とてもそうは思えない。 これだけのクリーチャー感がありながら、なぜだか存在感を感じない。目の前にいるというのに、洞窟の闇に溶け込んでいる。 そしてそうでありながら、強風のように殺意だけが伝わってくる。
その怪物を前にして、老人は憎むような、憐れむような、冷たい視線を送った。
メガゴルダック「この吐き気を催すような臭い…ああ、アクティブか」
スティーブ「爺さん、こいつと面識が?」
メガゴルダック「ああ。70年前、勇者あんみつを裏切ろうとして返り討ちに遭った挙句、内通していた敵にも切り捨てられた哀れな男だ」
メガゴルダック「とっくに死んでるもんだと思ってたが…まさか、こんな姿に…」
奴との思い出はロクなものではなかったし、殺してやろうかとも思っていた。しかし、あのぺらぺらとうるさかった道化が、物言わぬ木偶と成り果てるとは...正直心が痛む。 死なせてやるのがせめてもの情けか。一瞬でケリをつけてやろうとしたそのとき
アクティブ『此処ハ...何処ダ...』
アクティブ『俺ハ...誰ダ...』
馬鹿な...喋った、だと? 彷徨う死霊は何度か見たことがあるが、理性が僅かでも残っているモノなど...
アクティブ『餡蜜ハ...何処ダ...』
アクティブの潰れた両目から、赤黒い光が漏れる。
アクティブ『貴様...餡蜜カァッッ!!』
メガゴルダック「っ、走れ!!」
支援ぬ
アクティブて全然みんポケに来てないのに定期的にこういうSSに登場するよね 支援 https://zawazawa.jp/xyz/topic/7156/8 https://zawazawa.jp/xyz/topic/7069/21 https://zawazawa.jp/xyz/topic/6526/15
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毎回出落ちじゃねえか
全部完結してないやん
スティーブが走り出すのとほぼ同時に、アクティブを囲むようにして、地中から無数の棘が飛び出した。 スティーブ「ッ!」
間一髪のところで、不意討ちを回避する。 それは1m程ある漆黒の...杭、だろうか。目を凝らすと、腐った木であることが確認できる。
メガゴルダック「かつての農家(ファーマー・ファマー)...植物を操る異能だったが...」
それは緑豊かなフィールドを作り出すとか、巨大樹木で相手を拘束するだとか、もっと生命力に溢れた異能だったはず。 ああ、それがどうして──
アクティブ『何故、俺ガ...コンナニ醜イ...』
やめろ喋るな、お前の声は気持ち悪いから。
メガゴルダックはスティーブに目を合わせて合図した。 奴の攻撃は、地中から繰り出されるものだ。幸い、この辺りの空間は広く、壁や天井からの攻撃を心配することはない。足元にだけに気をつければ良いのであれば、片方が囮となる隙に、もう片方が上から奇襲すればよい。
10年にも及ぶ師弟関係は、伊達ではない。スティーブは作戦の意図を瞬時に汲み取ると、すかさずアクティブの背後に回った。
メガゴルダック「えっ」
スティーブはすでにクラウチングスタートの態勢に入っていた。どうやら、師匠を囮にするつもりらしい。 メガゴルダックは嘆息しつつ、渋々アクティブに向き直る。
メガゴルダック「──アクティブ、聞こえるか! ああそうだよ、俺が餡蜜だ!」
アクティブ『ッ!!!』
餡蜜というワードに、アクティブは強い反応を示した。磁石で引っ張られた金属のように、メガゴルダックに顔が向く。 憎悪と憤怒が入り交じった負のオーラの激しさは一層増し、メガゴルダックに突き刺さる。
メガゴルダック「...ぬぅッ」
なんて禍々しい怨念だろう。その風を浴びているだけで、体中に痛みが走り──
メガゴルダック「これは...!」
そこでメガゴルダックは、ある異変に気づいた。
アクティブ『脹、壊、血塗、膿爛、青瘀、噉、散、骨相焼』
一方スティーブは、邪悪な呪詛を唱えるアクティブを見て、好機と判断した。 勢いよく跳躍すらと、真上からの垂直落下、持ち前の怪力でアクティブを粉砕せんとする──
スティーブ「らっしゃあああああッ!」
メガゴルダック「待て──」
制止するには遅すぎた。スティーブは予定通り、アクティブの頭に拳骨を落とし──粉砕されていた。
スティーブ「いぎッ...ぬぅがァァァァァッ!?」
スティーブは右手を抱えながら転がり落ちると、絶叫をあげながらのたうち回った。 血塗れのその手は黒ずんでおり、まるで、腐っているかのような──
メガゴルダック「やはり...!」
これではっきりした。奴の真の異能は、物体の腐食──あの痛風は、離れていながらも体を蝕まれていたということか。
スティーブ「な...ぜ...」
そうだ、すると新たに疑問ができる。なぜ死角にいたスティーブの攻撃するジャストタイミングで、その力を強めたのか。
メガゴルダック「まあ、こういうのはおよそ相場が決まってるもんだ──」
第三視点から戦闘の様子を眺めていたとしたらどうだろう。こちらとあちら、どちらの攻撃もくまなく把握することが可能なはず。
メガゴルダック「隠れてないで出てこいよ!」
すると、暗闇から浮き出るようにして──
シャンてぇあ「ククク...カハッ、ハーハッハッハッハッハ!!」
そういやアクティブ農家設定とかあったな
はい、スティーブは死んでも最後に寝た場所にリスポーンします
まさかの続編かよ
シャンてぇあ「懐かしいですねぇ...メガゴルダック殿。また会えて嬉しい限りです」
メガゴルダック「...ッ!」
シャンてぇあ「おやおや、どうしました? 呆けた顔をして。まさか、かつての管理人の顔を忘れてしまったというわけではないでしょうw」
スティーブ「管理人って...まさか、あの暗い神無月(グリズリー・ムーン)!?」
腰の曲がった老人は、クヒヒヒと笑いながら、杖をついてゆっくりと歩み出た。 彼もまた、70年前の一件であんみつに追放された者の一人である。
シャンてぇあ「知っての通り、ワタクシは懸賞首だ。まあ、雑魚どもがいくらかかってこようが負ける訳ありませんがね、相手にすんのも骨が折れる──ゆえに半年程前から、ここを隠れ家にしてるというわけですよ」
シャンてぇあ「まあ、武器は回収しましたし、そろそろ出ようと思ってたところですがね。こちらの人形は偶然見つけたオモチャですよw」
アクティブ『────』
ギチギチと歪な音を立てながら、アクティブはシャンてぇあの方へ顔を向けた。腐敗した両目から、ドロドロと黒い液体が流れ出す。
シャンてぇあ「ククク、ワタクシの“潮汐力”に抗っているのか。調整を変える必要がありそうだw」
メガゴルダック「シャンてぇあ」
メガゴルダックは、70年ぶりにその名を呼んだ。正しく発音することができるのは、かつてのメンバーだけである。
メガゴルダック「ソレは、アクティブだけではないな?」
数十年間放置しておいた遺体が、綺麗に人型を保っていられるはずがない。誰か別人の骨や肉で補っているはずだ。そしてそれはおそらく、腐食効果の主でもあり──
シャンてぇあ「ええ、雑貨屋です」
メガゴルダック「──」
即答された名前を聞いて、メガゴルダックは思わず獲物に手をかけた。
スティーブ「雑貨屋って...あの腐食家!? どうやって殺したんだ...!?」
シャンてぇあ「勘違いしないでくださいw ワタクシは死骸を拾っただけだ。彼は自壊したのですよ」
スティーブ「自壊だと...!?」
シャンてぃあ「ええ、なんでもアイドルを拉致して無理心中したとか。賢いと思っていましたが、存外愚かな男でしたねぇw」
確かに、未成年の頃からペンライトばかり振っていた雑貨屋なら、あり得えない話ではない...とメガゴルダックは思った。 どれだけ異能を極めようとも、精神力は所詮人間。たとえ触れたものを何でも腐らせる最強の異能があったとしても、精神を病んでしまえば一般人にも劣るのだ。
スティーブ「それで...俺たちまでそのクリーチャーの一部にしようって気かよ!?」
砕けた右手を押さえながら、スティーブは立ち上がった。 その様子を見て、シャンてぇあはわざとらしく感嘆の声を漏らした。
シャンてぇあ「ほう...その重症でなかなか根性があるようだw まあ、安心しなさい。さっきの奇襲は挨拶のようなものですよw」
スティーブ「...て、てめぇ!人の拳を──」
メガゴルダック「それで」
猛るスティーブを制止して、メガゴルダックは二つ目の質問をした。
メガゴルダック「わざわざこんな所まで武器を取りに来て、お前は一体何に備えている?」
シャンてぇあ「...」
ここに来て、初めてシャンてぇあの表情が固まった。 数秒間、宙を仰いで思考すると──
シャンてぇあ「あの方が──あんみつ卿が帰って来るのですよ」
アクティブ『──!!』
スティーブ「う、嘘をつくなッ!」
スティーブは頭ごなしに叫んだ。そのような事実、到底受け入れられない。認められない。 だって、あんみつの帰還が意味することとは──
メガゴルダック「──この世界の、管理者の座が奪われる...」
その通り、とシャンてぇあは頷いた。
シャンてぇあ「70年前の一件で、“権限”は未だに浮いたままだ」
太極とも呼ばれるその権限を巡って、今日まで凄絶な争いが繰り広げられている。 それは現在、この世界に適正者が存在しないからであり、誰かが適正者と相成った時点で、その者による“管理室入り”が果たされるのだ。 無論のこと、現在神世界にいるあんみつは適正者である。
スティーブ「ッ......」
この70年間、あんみつを冒涜してきた者は少なくない。彼もその一人なのだ。 管理者には、全人類の生殺与奪権がある。もし、件の誹謗中傷がバレたりしたら...スティーブは青ざめた。 そんな若者を見て、年長者は鼻で笑った。
シャンてぇあ「あの方の完全復活には、生贄となる命が必要です。もちろん、雑魚の命をいくら集めようが意味がない...後はお分かりですね? 必要なのは、異能力者の強靭な命ですよ」
メガゴルダック「...なるほど、あんみつの信奉者は世界中にいる。彼らから身を守るために武器を──」
そこでメガゴルダックははっと顔を上げた。目の合った瞬間、シャンてぇあはニチャア...と笑みを浮かべる。爬虫類を連想させる笑みである。
シャンてぇあ「──察しが宜しいw 連中に討たれるより先に、ワタクシたちの手で、必要な生贄の数を満たしてしまえばいい(・・・・・・・・・・・・・・・・・)!」
何でこんなボンボンボンボン台詞やらストーリーやら出てくるんかなぁ 支援
シャンてぇあ「では、単刀直入に言わせて頂きます。メガゴルダック殿...ワタクシたちと手を組みませんか?」
シャンてぇあ「生贄を埋めた褒美として、過去の罪を帳消しにしてもらう──生き残る方法はこれしかありません...!」
シャンてぇあの芝居の掛かった口調は、徐々に焦りの色を帯びてゆく。
シャンてぇあ「ああ...凍結されると考えただけでも──身の毛がよだつ...!」
シャンてぇあ「あんみつ卿に勝てる者など、存在しないのだから──!」
すでに頬から汗をダラダラと垂れながし、顔面は月のこどく蒼白になっていた。
シャンてぇあ「すでに木偶の坊、萩原、水ピラ、柿崎、シータとは協定を結んでありますッ!」
スラスラと連ねられた名前を聞いて、スティーブは目眩のするような思いを覚えた。 裏社会におけるS級の賞金首──その情報を知るだけでも莫大な金額を要するレベルの異能力者である。 もっとも、目の前にいる師匠もまた、その類の人間であるが...
シャンてぇあ「そこに、あなたが加われば万全だ! さあ──」
そうして差し出された右手を──メガゴルダックは、平手打ちで払い除けた。
シャンてぇあ「──!?」
メガゴルダック「気持ち悪いんだよ、お前たちは。特にその顔が」
シャンてぇあ「なっ──」
メガゴルダックは平然とした態度を崩さずに、吐き捨てるように言い放つ。 シャンてぇあはしばらく、面食らった表情をしていたが──
シャンてぇあ「フフフ、フフフフ...!」
顔を朱に染めて怒りに震えながら、口角だけ上げて笑い出した。
シャンてぇあ「あなたはもっと...賢い男だと思っていた...! フフフフ、まあ、まあいいでしょうよろしい...今日のところは、宣戦布告だけ受け取っておきます。ただし──」
シャンてぇあはアクティブの背中に飛び乗った。
シャンてぇあ「次会ったときが──貴様の最期だ!!」
すると瞬間、雷が落ちたかような爆発が発生して──
気づけば、天井に地上へと通じる大穴が穿たれて、シャンてぇあとアクティブは姿を消していた。
Episode1──End
残りの生贄 0/8
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足を踏み出したその瞬間殺意が上から降ってきた。
スティーブ「...ッ!」
咄嗟に、スティーブは後ろへ跳び退く。反応が僅か数秒でも遅れていれば、今頃八つ裂きにされていただろう。
暗闇の中、天井から落ちてきたのは、青白い肌をした異形の巨人。
なんだこいつは…人間なのか? いや、とてもそうは思えない。
これだけのクリーチャー感がありながら、なぜだか存在感を感じない。目の前にいるというのに、洞窟の闇に溶け込んでいる。
そしてそうでありながら、強風のように殺意だけが伝わってくる。
その怪物を前にして、老人は憎むような、憐れむような、冷たい視線を送った。
メガゴルダック「この吐き気を催すような臭い…ああ、アクティブか」
スティーブ「爺さん、こいつと面識が?」
メガゴルダック「ああ。70年前、勇者あんみつを裏切ろうとして返り討ちに遭った挙句、内通していた敵にも切り捨てられた哀れな男だ」
メガゴルダック「とっくに死んでるもんだと思ってたが…まさか、こんな姿に…」
奴との思い出はロクなものではなかったし、殺してやろうかとも思っていた。しかし、あのぺらぺらとうるさかった道化が、物言わぬ木偶と成り果てるとは...正直心が痛む。
死なせてやるのがせめてもの情けか。一瞬でケリをつけてやろうとしたそのとき
アクティブ『此処ハ...何処ダ...』
アクティブ『俺ハ...誰ダ...』
馬鹿な...喋った、だと? 彷徨う死霊は何度か見たことがあるが、理性が僅かでも残っているモノなど...
アクティブ『餡蜜ハ...何処ダ...』
アクティブの潰れた両目から、赤黒い光が漏れる。
アクティブ『貴様...餡蜜カァッッ!!』
メガゴルダック「っ、走れ!!」
支援ぬ
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毎回出落ちじゃねえか
全部完結してないやん
スティーブが走り出すのとほぼ同時に、アクティブを囲むようにして、地中から無数の棘が飛び出した。
スティーブ「ッ!」
間一髪のところで、不意討ちを回避する。
それは1m程ある漆黒の...杭、だろうか。目を凝らすと、腐った木であることが確認できる。
メガゴルダック「かつての農家 ...植物を操る異能だったが...」
それは緑豊かなフィールドを作り出すとか、巨大樹木で相手を拘束するだとか、もっと生命力に溢れた異能だったはず。
ああ、それがどうして──
アクティブ『何故、俺ガ...コンナニ醜イ...』
やめろ喋るな、お前の声は気持ち悪いから。
メガゴルダックはスティーブに目を合わせて合図した。
奴の攻撃は、地中から繰り出されるものだ。幸い、この辺りの空間は広く、壁や天井からの攻撃を心配することはない。足元にだけに気をつければ良いのであれば、片方が囮となる隙に、もう片方が上から奇襲すればよい。
10年にも及ぶ師弟関係は、伊達ではない。スティーブは作戦の意図を瞬時に汲み取ると、すかさずアクティブの背後に回った。
メガゴルダック「えっ」
スティーブはすでにクラウチングスタートの態勢に入っていた。どうやら、師匠を囮にするつもりらしい。
メガゴルダックは嘆息しつつ、渋々アクティブに向き直る。
メガゴルダック「──アクティブ、聞こえるか! ああそうだよ、俺が餡蜜だ!」
アクティブ『ッ!!!』
餡蜜というワードに、アクティブは強い反応を示した。磁石で引っ張られた金属のように、メガゴルダックに顔が向く。
憎悪と憤怒が入り交じった負のオーラの激しさは一層増し、メガゴルダックに突き刺さる。
メガゴルダック「...ぬぅッ」
なんて禍々しい怨念だろう。その風を浴びているだけで、体中に痛みが走り──
メガゴルダック「これは...!」
そこでメガゴルダックは、ある異変に気づいた。
アクティブ『脹、壊、血塗、膿爛、青瘀、噉、散、骨相焼』
一方スティーブは、邪悪な呪詛を唱えるアクティブを見て、好機と判断した。
勢いよく跳躍すらと、真上からの垂直落下、持ち前の怪力でアクティブを粉砕せんとする──
スティーブ「らっしゃあああああッ!」
メガゴルダック「待て──」
制止するには遅すぎた。スティーブは予定通り、アクティブの頭に拳骨を落とし──粉砕されていた。
スティーブ「いぎッ...ぬぅがァァァァァッ!?」
スティーブは右手を抱えながら転がり落ちると、絶叫をあげながらのたうち回った。
血塗れのその手は黒ずんでおり、まるで、腐っているかのような──
メガゴルダック「やはり...!」
これではっきりした。奴の真の異能は、物体の腐食──あの痛風は、離れていながらも体を蝕まれていたということか。
スティーブ「な...ぜ...」
そうだ、すると新たに疑問ができる。なぜ死角にいたスティーブの攻撃するジャストタイミングで、その力を強めたのか。
メガゴルダック「まあ、こういうのはおよそ相場が決まってるもんだ──」
第三視点から戦闘の様子を眺めていたとしたらどうだろう。こちらとあちら、どちらの攻撃もくまなく把握することが可能なはず。
メガゴルダック「隠れてないで出てこいよ!」
すると、暗闇から浮き出るようにして──
シャンてぇあ「ククク...カハッ、ハーハッハッハッハッハ!!」
そういやアクティブ農家設定とかあったな
はい、スティーブは死んでも最後に寝た場所にリスポーンします
まさかの続編かよ
シャンてぇあ「懐かしいですねぇ...メガゴルダック殿。また会えて嬉しい限りです」
メガゴルダック「...ッ!」
シャンてぇあ「おやおや、どうしました? 呆けた顔をして。まさか、かつての管理人の顔を忘れてしまったというわけではないでしょうw」
スティーブ「管理人って...まさか、あの暗い神無月 !?」
腰の曲がった老人は、クヒヒヒと笑いながら、杖をついてゆっくりと歩み出た。
彼もまた、70年前の一件であんみつに追放された者の一人である。
シャンてぇあ「知っての通り、ワタクシは懸賞首だ。まあ、雑魚どもがいくらかかってこようが負ける訳ありませんがね、相手にすんのも骨が折れる──ゆえに半年程前から、ここを隠れ家にしてるというわけですよ」
シャンてぇあ「まあ、武器は回収しましたし、そろそろ出ようと思ってたところですがね。こちらの人形は偶然見つけたオモチャですよw」
アクティブ『────』
ギチギチと歪な音を立てながら、アクティブはシャンてぇあの方へ顔を向けた。腐敗した両目から、ドロドロと黒い液体が流れ出す。
シャンてぇあ「ククク、ワタクシの“潮汐力”に抗っているのか。調整を変える必要がありそうだw」
メガゴルダック「シャンてぇあ」
メガゴルダックは、70年ぶりにその名を呼んだ。正しく発音することができるのは、かつてのメンバーだけである。
メガゴルダック「ソレは、アクティブだけではないな?」
数十年間放置しておいた遺体が、綺麗に人型を保っていられるはずがない。誰か別人の骨や肉で補っているはずだ。そしてそれはおそらく、腐食効果の主でもあり──
シャンてぇあ「ええ、雑貨屋です」
メガゴルダック「──」
即答された名前を聞いて、メガゴルダックは思わず獲物に手をかけた。
スティーブ「雑貨屋って...あの腐食家!? どうやって殺したんだ...!?」
シャンてぇあ「勘違いしないでくださいw ワタクシは死骸を拾っただけだ。彼は自壊したのですよ」
スティーブ「自壊だと...!?」
シャンてぃあ「ええ、なんでもアイドルを拉致して無理心中したとか。賢いと思っていましたが、存外愚かな男でしたねぇw」
確かに、未成年の頃からペンライトばかり振っていた雑貨屋なら、あり得えない話ではない...とメガゴルダックは思った。
どれだけ異能を極めようとも、精神力は所詮人間。たとえ触れたものを何でも腐らせる最強の異能があったとしても、精神を病んでしまえば一般人にも劣るのだ。
スティーブ「それで...俺たちまでそのクリーチャーの一部にしようって気かよ!?」
砕けた右手を押さえながら、スティーブは立ち上がった。
その様子を見て、シャンてぇあはわざとらしく感嘆の声を漏らした。
シャンてぇあ「ほう...その重症でなかなか根性があるようだw まあ、安心しなさい。さっきの奇襲は挨拶のようなものですよw」
スティーブ「...て、てめぇ!人の拳を──」
メガゴルダック「それで」
猛るスティーブを制止して、メガゴルダックは二つ目の質問をした。
メガゴルダック「わざわざこんな所まで武器を取りに来て、お前は一体何に備えている?」
シャンてぇあ「...」
ここに来て、初めてシャンてぇあの表情が固まった。
数秒間、宙を仰いで思考すると──
シャンてぇあ「あの方が──あんみつ卿が帰って来るのですよ」
アクティブ『──!!』
スティーブ「う、嘘をつくなッ!」
スティーブは頭ごなしに叫んだ。そのような事実、到底受け入れられない。認められない。
だって、あんみつの帰還が意味することとは──
メガゴルダック「──この世界の、管理者の座が奪われる...」
その通り、とシャンてぇあは頷いた。
シャンてぇあ「70年前の一件で、“権限”は未だに浮いたままだ」
太極とも呼ばれるその権限を巡って、今日まで凄絶な争いが繰り広げられている。
それは現在、この世界に適正者が存在しないからであり、誰かが適正者と相成った時点で、その者による“管理室入り”が果たされるのだ。
無論のこと、現在神世界にいるあんみつは適正者である。
スティーブ「ッ......」
この70年間、あんみつを冒涜してきた者は少なくない。彼もその一人なのだ。
管理者には、全人類の生殺与奪権がある。もし、件の誹謗中傷がバレたりしたら...スティーブは青ざめた。
そんな若者を見て、年長者は鼻で笑った。
シャンてぇあ「あの方の完全復活には、生贄となる命が必要です。もちろん、雑魚の命をいくら集めようが意味がない...後はお分かりですね? 必要なのは、異能力者の強靭な命ですよ」
メガゴルダック「...なるほど、あんみつの信奉者は世界中にいる。彼らから身を守るために武器を──」
そこでメガゴルダックははっと顔を上げた。目の合った瞬間、シャンてぇあはニチャア...と笑みを浮かべる。爬虫類を連想させる笑みである。
シャンてぇあ「──察しが宜しいw 連中に討たれるより先に、ワタクシたちの手で、必要な生贄の数を満たしてしまえばいい !」
何でこんなボンボンボンボン台詞やらストーリーやら出てくるんかなぁ 支援
シャンてぇあ「では、単刀直入に言わせて頂きます。メガゴルダック殿...ワタクシたちと手を組みませんか?」
シャンてぇあ「生贄を埋めた褒美として、過去の罪を帳消しにしてもらう──生き残る方法はこれしかありません...!」
シャンてぇあの芝居の掛かった口調は、徐々に焦りの色を帯びてゆく。
シャンてぇあ「ああ...凍結されると考えただけでも──身の毛がよだつ...!」
シャンてぇあ「あんみつ卿に勝てる者など、存在しないのだから──!」
すでに頬から汗をダラダラと垂れながし、顔面は月のこどく蒼白になっていた。
シャンてぇあ「すでに木偶の坊、萩原、水ピラ、柿崎、シータとは協定を結んでありますッ!」
スラスラと連ねられた名前を聞いて、スティーブは目眩のするような思いを覚えた。
裏社会におけるS級の賞金首──その情報を知るだけでも莫大な金額を要するレベルの異能力者である。
もっとも、目の前にいる師匠もまた、その類の人間であるが...
シャンてぇあ「そこに、あなたが加われば万全だ! さあ──」
そうして差し出された右手を──メガゴルダックは、平手打ちで払い除けた。
シャンてぇあ「──!?」
メガゴルダック「気持ち悪いんだよ、お前たちは。特にその顔が」
シャンてぇあ「なっ──」
メガゴルダックは平然とした態度を崩さずに、吐き捨てるように言い放つ。
シャンてぇあはしばらく、面食らった表情をしていたが──
シャンてぇあ「フフフ、フフフフ...!」
顔を朱に染めて怒りに震えながら、口角だけ上げて笑い出した。
シャンてぇあ「あなたはもっと...賢い男だと思っていた...! フフフフ、まあ、まあいいでしょうよろしい...今日のところは、宣戦布告だけ受け取っておきます。ただし──」
シャンてぇあはアクティブの背中に飛び乗った。
シャンてぇあ「次会ったときが──貴様の最期だ!!」
すると瞬間、雷が落ちたかような爆発が発生して──
スティーブ「...ッ!」
気づけば、天井に地上へと通じる大穴が穿たれて、シャンてぇあとアクティブは姿を消していた。
Episode1──End
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