みんポケ!

【ss】ざわざわ遺跡 / 7

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あんみつ 2019/08/20 (火) 10:55:29 修正

 スティーブが走り出すのとほぼ同時に、アクティブを囲むようにして、地中から無数の棘が飛び出した。
 
スティーブ「ッ!」

 間一髪のところで、不意討ちを回避する。
 それは1m程ある漆黒の...杭、だろうか。目を凝らすと、腐った木であることが確認できる。

メガゴルダック「かつての農家(ファーマー・ファマー)...植物を操る異能だったが...」 

 それは緑豊かなフィールドを作り出すとか、巨大樹木で相手を拘束するだとか、もっと生命力に溢れた異能だったはず。
 ああ、それがどうして──

アクティブ『何故、俺ガ...コンナニ醜イ...』

 やめろ喋るな、お前の声は気持ち悪いから。

 メガゴルダックはスティーブに目を合わせて合図した。
 奴の攻撃は、地中から繰り出されるものだ。幸い、この辺りの空間は広く、壁や天井からの攻撃を心配することはない。足元にだけに気をつければ良いのであれば、片方が囮となる隙に、もう片方が上から奇襲すればよい。

 10年にも及ぶ師弟関係は、伊達ではない。スティーブは作戦の意図を瞬時に汲み取ると、すかさずアクティブの背後に回った。

メガゴルダック「えっ」

 スティーブはすでにクラウチングスタートの態勢に入っていた。どうやら、師匠を囮にするつもりらしい。
 メガゴルダックは嘆息しつつ、渋々アクティブに向き直る。

メガゴルダック「──アクティブ、聞こえるか! ああそうだよ、俺が餡蜜だ!」

アクティブ『ッ!!!』

 餡蜜というワードに、アクティブは強い反応を示した。磁石で引っ張られた金属のように、メガゴルダックに顔が向く。
 憎悪と憤怒が入り交じった負のオーラの激しさは一層増し、メガゴルダックに突き刺さる。

メガゴルダック「...ぬぅッ」

 なんて禍々しい怨念だろう。その風を浴びているだけで、体中に痛みが走り──

メガゴルダック「これは...!」

 そこでメガゴルダックは、ある異変に気づいた。

アクティブ『脹、壊、血塗、膿爛、青瘀、噉、散、骨相焼』

 一方スティーブは、邪悪な呪詛を唱えるアクティブを見て、好機と判断した。
 勢いよく跳躍すらと、真上からの垂直落下、持ち前の怪力でアクティブを粉砕せんとする──

スティーブ「らっしゃあああああッ!」

メガゴルダック「待て──」

 制止するには遅すぎた。スティーブは予定通り、アクティブの頭に拳骨を落とし──粉砕されていた。

スティーブ「いぎッ...ぬぅがァァァァァッ!?」

 スティーブは右手を抱えながら転がり落ちると、絶叫をあげながらのたうち回った。
 血塗れのその手は黒ずんでおり、まるで、腐っているかのような──

メガゴルダック「やはり...!」

 これではっきりした。奴の真の異能は、物体の腐食──あの痛風は、離れていながらも体を蝕まれていたということか。

スティーブ「な...ぜ...」

 そうだ、すると新たに疑問ができる。なぜ死角にいたスティーブの攻撃するジャストタイミングで、その力を強めたのか。

メガゴルダック「まあ、こういうのはおよそ相場が決まってるもんだ──」

 第三視点から戦闘の様子を眺めていたとしたらどうだろう。こちらとあちら、どちらの攻撃もくまなく把握することが可能なはず。

メガゴルダック「隠れてないで出てこいよ!」

 すると、暗闇から浮き出るようにして──

シャンてぇあ「ククク...カハッ、ハーハッハッハッハッハ!!」

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