シャンてぇあ「懐かしいですねぇ...メガゴルダック殿。また会えて嬉しい限りです」
メガゴルダック「...ッ!」
シャンてぇあ「おやおや、どうしました? 呆けた顔をして。まさか、かつての管理人の顔を忘れてしまったというわけではないでしょうw」
スティーブ「管理人って...まさか、あの
腰の曲がった老人は、クヒヒヒと笑いながら、杖をついてゆっくりと歩み出た。
彼もまた、70年前の一件であんみつに追放された者の一人である。
シャンてぇあ「知っての通り、ワタクシは懸賞首だ。まあ、雑魚どもがいくらかかってこようが負ける訳ありませんがね、相手にすんのも骨が折れる──ゆえに半年程前から、ここを隠れ家にしてるというわけですよ」
シャンてぇあ「まあ、武器は回収しましたし、そろそろ出ようと思ってたところですがね。こちらの人形は偶然見つけたオモチャですよw」
アクティブ『────』
ギチギチと歪な音を立てながら、アクティブはシャンてぇあの方へ顔を向けた。腐敗した両目から、ドロドロと黒い液体が流れ出す。
シャンてぇあ「ククク、ワタクシの“潮汐力”に抗っているのか。調整を変える必要がありそうだw」
メガゴルダック「シャンてぇあ」
メガゴルダックは、70年ぶりにその名を呼んだ。正しく発音することができるのは、かつてのメンバーだけである。
メガゴルダック「ソレは、アクティブだけではないな?」
数十年間放置しておいた遺体が、綺麗に人型を保っていられるはずがない。誰か別人の骨や肉で補っているはずだ。そしてそれはおそらく、腐食効果の主でもあり──
シャンてぇあ「ええ、雑貨屋です」
メガゴルダック「──」
即答された名前を聞いて、メガゴルダックは思わず獲物に手をかけた。
スティーブ「雑貨屋って...あの腐食家!? どうやって殺したんだ...!?」
シャンてぇあ「勘違いしないでくださいw ワタクシは死骸を拾っただけだ。彼は自壊したのですよ」
スティーブ「自壊だと...!?」
シャンてぃあ「ええ、なんでもアイドルを拉致して無理心中したとか。賢いと思っていましたが、存外愚かな男でしたねぇw」
確かに、未成年の頃からペンライトばかり振っていた雑貨屋なら、あり得えない話ではない...とメガゴルダックは思った。
どれだけ異能を極めようとも、精神力は所詮人間。たとえ触れたものを何でも腐らせる最強の異能があったとしても、精神を病んでしまえば一般人にも劣るのだ。
スティーブ「それで...俺たちまでそのクリーチャーの一部にしようって気かよ!?」
砕けた右手を押さえながら、スティーブは立ち上がった。
その様子を見て、シャンてぇあはわざとらしく感嘆の声を漏らした。
シャンてぇあ「ほう...その重症でなかなか根性があるようだw まあ、安心しなさい。さっきの奇襲は挨拶のようなものですよw」
スティーブ「...て、てめぇ!人の拳を──」
メガゴルダック「それで」
猛るスティーブを制止して、メガゴルダックは二つ目の質問をした。
メガゴルダック「わざわざこんな所まで武器を取りに来て、お前は一体何に備えている?」
シャンてぇあ「...」
ここに来て、初めてシャンてぇあの表情が固まった。
数秒間、宙を仰いで思考すると──
シャンてぇあ「あの方が──あんみつ卿が帰って来るのですよ」