──────ある日のイベリア
陽の光に照らされながらカメラ目線で笑顔を振りまいてくれる、ピコピコカナードがチャームなグリペンちゃん!(>_<) だがしかしワイはこの純真な笑顔と体躯が汚され曇るトコロも見てみたいんだなぁ
オレはいつものように、愛機のグリペンを
ちらちらとMFDに覗く"S1"の
いつの間にだったのだろう…
警告も煙も無く、既に背後に迫る95Ya6。
音すらも私の耳には届かない。
次の瞬間。
突き刺す閃光…
響く轟音。
燃える愛機。
追い討ちをかける
悲劇を際立たせる黒煙。
脱落、そして分離していく
優しくてだいすきなお母さんの、おいしい手作りご飯ですくすく育ってきた地方出身純粋無垢グリペンちゃんの小柄で華奢なその肢体が欠けてしまう美しい瞬間。それでも逃げ続けなければならない。生きるために。落ちる自分のカラダだったモノを振り切って。
しかし我がグリペンは堪え、
だが煙が晴れるにつれて露わになる、変わり果てたその痛々しい姿──────
気づいた時には、オレの中で何かが崩れていた。
前輪は脱落、カナードを失いアンバランスになった身体。
チャフとフレアを慌てて乱れ撃ち、敗走するグリペン。そこにはもはや、普段の可憐で優雅な面影は無い。
その背中に残る、痛々しい傷跡……。ただ 今は、基地に向けてひたすらに忙しない後ろ姿。
地面を舐める様に這いつくばるグリペン。必死に地形へと身を隠す軌跡。
汚れ、欠け、逃げ惑う小さな体。まだ消えぬ、"S1"。
溢れんばかりの涙を蓄えたその瞳で駆け巡るグリペンの頭にあるのは、そう。
母に会いたい。
その一心だった。
いつでも家で待っていてくれた。時に愛ゆえに厳しく、しかし最後には全てを受け止め、包み込んでくれた。成長と共に喜怒哀楽その全てを分かち合い、寄り添い、見守り、傍らで育ててくれた母。家出をした事もあった。腹を空かせ日が暮れ、どうしようもなく帰ると、あたたかいシチューを作り暖炉を準備して待ってくれていた。何故それをいま思い出す…。成人を迎え、安定した軍部への入隊を一番に喜んでくれた母。しかし同時に憂慮と心痛を抱えていた事も、自身のせいで与えていた事もグリペンは理解っていた。いつしか母の笑顔には寂しさが浮かぶ様になっていた。
だからこその前線への志願であった。独り立ちし、立派になった姿で帰り母を抱擁する。それが親孝行だと信じての、39番目のJASへの志願。若き幼いグリペンが、人生最大の過ちに気づくのはそう遅くはなかった。
現実は甘くない。
いつの間にか増槽が切れていた。投棄して内蔵タンクに切替。あれからどれだけ飛んだだろうか。かろうじて無事ではあった主翼にRB74Mを6つ抱えたまま、グリペンは羽ばたく。気づけば涙は引いていた。赤らめた顔で静かに巡行していると、見えてきた。まだ距離はあるがはっきりとわかる。滑走路だ。対空砲もある。仲間がいる。もう大丈夫。帰ってきたのだ。生き延びたのだ。
もう、辞めよう。自分には無理だったのだ。ただそれだけだ。若気の至り?慢心?無知?何でもいい。いいんだ。人は生きてこそだ。地元に帰り母の農場を手伝おう。きっとその方が喜ぶ。幼馴染のラファールにも会いたい。元気にしてるだろうか、私が入隊すると知った時の泣きじゃくり様は忘れない。あれは一生ものだな,はは…。タイフーン、あいつは都心に進学し恋人を連れて戻ってきたと聞いたな……トーネードは3人目が生まれるんだっけ…………。
そうだ、帰ったらラファールに言おう──────
朦朧としながら胴体着陸をするグリペン。火花と金切り音が鳴り響く。完全に止まる頃には既に意識を失っていた。
もうすぐ日が沈む。
やっぱグリペン好きな人は皆変人なんだなって(エ□ゲを見ながら)
グリペン好きは3つに分けられる。エロゲが好きな奴、マンガが好きな奴、ラノベが好きな奴。
なんとかは文豪
定期的に文豪(変態)が沸くからやめられねぇんだよな