二大政党制たるアメリカの対イスラエル政策を決定づける要因は主に二つあるんだ。一つは、民主党側の事情だけど、ユダヤ人口は伝統的に民主党を支持してるんだけど、無条件に民主党候補者なら支持するかというと、そうじゃない。彼らは資金力が豊富だから、イスラエルにとって都合の良い政策を訴える候補者を自分らで立てられちゃうんだ。政治家からすれば、そんなことされたら、たまったもんじゃないから、ユダヤ票に迎合するか、彼らの資金力との対決を選ぶしかない。当たり前だけど、民主主義の選挙は金がかかる=金がなきゃ何もできないし、逆に言えば金さえあれば、選挙を有利に戦える。そして議員選挙だけではなく、大統領選においては資金力だけではなく、接戦州においてもユダヤ人口が集中してる州がいくつかあるから、やはりユダヤ票を無視して大統領選に勝つのも難しい。次ぎに、共和党側の事情だけど、これは伝統的なキリスト教保守層が絶対的なイスラエル支持層だから、の一言につきる。いわゆる福音派と呼ばれる層で、アメリカ人口の25%を占めてて大多数が共和党支持層だから、彼らの声=共和党の声と言っても過言じゃない。毎回、大統領選で日本では馴染みのない中絶問題が最優先の争点になるのは、まさに彼らの宗教的なイデオロギーゆえ。なぜ彼らがイスラエル支持かというと、やはり宗教上のイデオロギーに由来するんだけど、毎回、中絶が最優先の争点になるあたり、その宗教心がどんだけ影響力が強いのか分かると思う。福音派はその名のとおり、聖書に書いてあることが一字一句、過去に現実で起こったこと&これから未来で起こることが書いてある予言の書であると信じる人らなんだ。で、ユダヤ人国家の復活=イスラエルの建国というのも、実は聖書内で予言されてる物事でもある。この予言がとっても重要で、このイスラエルの建国をトリガーにして、最終的にイエスが再び復活すると予言されてる。そこで、改めて想像してみてほしい。中絶問題が最優先の争点になるような人たちにとって、救世主の復活、がどれほど絶対的な価値を持つのか。彼らにとって、これはもう何を犠牲にしてでも成し遂げたい願望なんだ。そして救世主が復活するためには、イスラエルという国が存在してなきゃいけない。だから、イスラエル絶対支持になっちゃうんだ。つまり、民主党はユダヤ人口の政治的影響力で、がんじがらめ。共和党は福音派のイデオロギーでがんじがらめ。というのが、アメリカの対イスラエル政策を固定化させてる要因なんだ。