原因は簡単に言うとChallengerと違って本当に車体がCromwellそのままだから。Avengerより砲塔正面・上面が薄いくらいだから、FV4005みたいな"なんちゃって密閉砲塔"だと思って乗ったほうがいい(あいつはタレットリング含めて砲塔全体が14mmだし)
もともとCromwell車体は6pdrよりも大きい砲を積む想定をされていない設計であり、ChallengerやAvengerは車体を延長+車体上部幅を拡大してまで大型タレットリングを導入している。Cometは17pdrよりも薬莢が小さい77mmHVを採用することで砲閉鎖器が小さい。
一方でCharioteerは既存Cromwellの車体に17pdrよりも更にでかい20pdrを突っ込むため、車体幅とほぼ同じタレットリングを無理やり取り付けているため、装甲を入れる余地がなかったものと思われる。
なおそんな無理矢理なことをしてまで入れたタレットリングはそれでもまだ小さすぎて、Cromwell系列で唯一車長と砲手を兼任する車両となってしまった。実運用の際には射撃で忙しくなる車長=砲手の代わりに周囲警戒する4人目を車外に配置する羽目になっていたため、もし実戦で12.7mmに撃たれた場合タレットリングよりも先にこの4人目警戒員がお亡くなりになっただろう。
何故こんな無理やりな設計になっているかというのは既に史実欄に書かれている通り。乗員のブラック労働やらタレットリングの防御力やら諸々の問題への解決策はさっさと製造を中止してCenturion Mk.IIIの製造に注力することだった。
そもそもCromwell系はエンジンこそMeteor(Spitfireでお世話になったMerlinの派生型)でパワーアップしたものの、履帯やサスペンションの設計はCrusaderと大差ないものであるため、仮に20pdrの重量増に加えてChallenger並の車体延長+Commet並の砲塔装甲を入れると足回りが持たなくなり、CometやChallengerの車速制限装置よりももっと厳しい車速制限がついただろうと思われる。
めっちゃ詳しくありがとう。最初この投稿をした時は砲塔を見てなかったんだけど、使い、そしてよくよく車両を見て「コイツ自走砲だわ!」と確信したよ…。仰るようにこれは完全にFV4005と同じでやむを得ず(とりあえずポン付け)って感じだよね。史実の理由(どうしてターレットリングまんまだったのか)は知らなかったので、詳しく知れて良かったよ。小ネタにそのまま記載しても大丈夫な位凄い良く出来ている解説だから、枝氏が苦じゃなければ小ネタに記載しても良いと思う