ぼちぼち、銀行株は底打ちしても良い筈ですが・・・
それにしても、今度の取り付け騒ぎの中核が金利上昇による「長期の米国債」の暴落という事実をマスコミが大きく取り上げないのは、気になります。
(デフォルト懸念で暴落した訳ではなく、金利変動で暴落した訳ですがそれを言いたくないのは国債を売り続けなくてはならないからと思います)
国債の暴落を大きく書くと世界中の銀行が「The End」状態になり、政府債務の問題で経済ハルマゲドンになりかねませんから、誰も書かない事と勝手に妄想しています。
実は銀行に対するバーゼル規制で各国の国債(厳密にはOECD諸国)はリスクゼロとして評価する事になっています。
10年、20年、30年の国債すべてです。しかし会計では原則として時価で評価する事になっています。
信用度が同じ国債でも金利変動により時価が変動しますから、時価会計を適用する為に国債を購入した際には、時価評価する債券として「その他有価証券」とするか「満期保有の債券」として取得価格で評価するかを決定し、バランスシートに計上する事になっています。
「その他有価証券」は期末に時価評価され、時価と取得原価との差額を資本の部の「その他有価証券等評価差額金」に計上する事になっています。(同じ銘柄の国債でも最終的にB/S上での価格が異なる結果になります)
その反面「満期保有の債券」は時価評価されないので、預金者等の取引先からはその実態が見えません。その為にディスクロージャー情報で定期的に開示されるようになっています。
ちなみに国債が償還される10年、20年、30年後に国債が返済されなかったり、カットされたように見える会計・経理処理、あるいは含み損を未処理のまま放置しているように見える会計処理による「誤解」により金融機関や企業の決算が悪く見えたり「取付け騒ぎ」が起きては意味が無いので、世界各国の行政当局が国債の含み損をネタにした今回の騒動を早期に沈静化させるとみています。
短期で沈静化しないと世界中で政府債務、過剰債務の問題に火が付く事になりかねないからです。金融機関や個人の誰も長期国債を買わなくなったら、世界経済はハルマゲドンですから・・・
今回の事件はそもそもの発端がFRBが金融緩和を「やり過ぎ」た事、そしてそれを常軌を逸する程に長期間放置した事、金利の引上を金融機関の金利変動の吸収・転嫁力を超えて短期にやり過ぎた事が原因です。
ちなみにSVBは預金として受入れた資金のおよそ70%を債券で運用していたそうです。利回りはおよそ1.0%強とされています。運用対象が10年国債としたら10年ものの米国債の利回りは先週末時点でおよそ4.0%でしたから3.0%の上昇です。大雑把に見積っても30%を優に超える値下がりをしていた筈です。
国債の価格が短期で暴落した為に自己資本の相当額を軽く食いつぶす程の巨額の「含み損」が半年や1年で出現しティスクロージャー誌等で開示されたら、何も知らない投資家連中がビビリだすのは当然の事です。