豊嶋さんの記事
FRBも株高を望んではいない、どころか「歓迎」の声まで出たという話
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB00008_Q2A830C2000000/
案の定 FRB内部から株安「歓迎」発言
29日の本欄で「株安と失業増、パウエル氏はどこまで容認?」について吟味したが、早速、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁からジャクソンホール会議後の米株急落などの市場の反応に関し「歓迎」との発言が飛び出し、ウォール街の話題になった。
「これで我々のインフレ退治に関する本気度が分かったであろう」
と、してやったりと言わんばかりだ。
ジャクソンホール前の市場では、「今年は利上げ、来年は利下げ」のシナリオが真夏の株高を誘発していた。その楽観シナリオが今や崩れた。「市場は誤解していた」と語るカシュカリ氏は、超ハト派であったが、その後、超タカ派に転じた。筆者は「パウエル米連邦準備理事会(FRB)」の「番頭役」と位置付けている。
市場の神経を逆なでするような発言に、市場内では不快感も醸成されている。
とはいえ、パウエルFRB内では「株価は基本的に金融政策の変動要因ではない」との位置付けだ。しかも、FRB高官による個人的株投資が批判され、辞任に追い込まれる事例が相次いで起こった。FRB高官もうっかり株価に言及すると、あらぬ疑いをかけられかねない。
バイデン米大統領も、株価とは距離を置く。トランプ前大統領が株価を政権の通信簿と位置付け、株価が急騰すると「してやったり」とばかりに記者会見で語ったこととの対比が鮮明だ。バイデン氏は雇用統計で新規雇用者数が増えると、必ず記者会見で誇らしげに語る。
しかし、労働市場の過熱がインフレ要因となると、事情は異なる。まして、失業率上昇がインフレ鎮静化を映すと解釈されると、失業増の評価にも、うっかり言及できない。
ジャクソンホールのパウエル講演に、バイデン氏も困惑しているかもしれない。