毎日新聞の今沢記者はしつこくスルガの問題を扱ってくれていますなぁ。
1棟売り投資用アパートの問題はどの時点で臨界点に達して爆発することやら
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a0dc1f0f2c1e8b189f15cbe49963654a0a76364
東京都内に住む会社員Cさん(39)は、30代前半で不動産投資に興味を持った。スルガ銀行から融資を受けて約1億円の物件を購入した。そこから始まる8年間の銀行との関係を振り返る。【毎日新聞経済プレミア・今沢真】
◇1億円の物件を購入
今から8年前のこと。Cさんは不動産業者が主催する投資セミナーに参加してみた。そこで知り合った業者から墨田区の新築アパート1棟、約1億円の物件の購入を勧められた。スルガ銀行横浜東口支店が融資を担当するという。
時は2012年春。民主党政権下で、日経平均株価は1万円前後だった。安倍晋三政権が発足するのはその年の12月。「アベノミクス」という言葉が広がったのは翌年のことだ。
墨田区のアパートは月66万円の家賃収入があり、融資の返済分を引いて毎月11万円が手元に残る。それで税金や経費を賄えると説明された。「都心の物件で需要は強いはず。借金は大きいが、やっていけるだろう」とCさんは感じた。「投資をしてみたかった。銀行の審査ではねられると思ったが、申し込んでみたら通ってしまい、逆に驚いた」と振り返る。
◇シェアハウス解決後も「借金9000万円」
Cさんはその後、不動産投資にはまる。2年後に、同じ横浜東口支店の融資を受け、同じ業者に紹介されたシェアハウス「かぼちゃの馬車」2棟を立て続けに購入した。2棟合わせて2億5000万円。墨田区の物件と合わせて3物件で借金は3億5000万円になった。
だが、「かぼちゃの馬車」運営会社の破綻ですべてが暗転した。シェアハウス2棟の家賃収入が途絶。購入者で作った「被害者同盟」に加わった。墨田区のアパートを含め、スルガ銀行への返済を停止し、弁護団を通じて銀行と交渉した。今年3月、シェアハウスの借金でようやく「帳消し」を勝ち取った。
墨田区のアパートは今も保有し、9000万円近い借金が残っている。スルガ銀行から返済遅延損害金を加算して返済を求められた。Cさんが物件の査定をすると「5500万円」で購入価格の半値近かった。相当な高値づかみをさせられていた。
「せっかくシェアハウスが解決したのに、とても返済できない借金が残った。自己破産寸前なのは変わらない」。Cさんの表情は曇ったままだ。
◇改ざんされた「通帳コピー」8年ぶりに
弁護団を通じてアパート購入時の資料開示をスルガ銀行に求めた。すると、自分と妻の預金通帳のコピーが送られてきた。見ると、105万円だったはずの残高が2205万円に改ざんされていた。妻の通帳のコピーも、34万円しかなかった残高が734万円になっていた。
8年前、業者に言われるまま、通帳を一時預けたことを思い出した。コピーが取られ、誰かが預金残高を改ざんし、8年を経て銀行から戻されたのだ。シェアハウス2棟の購入時にも同じことが行われていた。
「アパートの借金をなんとかしないと普通の生活に戻れない」と、Cさんは9月、弁護団を通じて、東京地裁に民事調停を申し立てた。地裁の記者クラブで開かれた弁護団の記者会見にも同席し、匿名で現状を訴えた。いまは不安な気持ちを抱えながら、調停の行方を見守っている。