粉飾決算倒産が急増 「もう限界......」10年以上の長期にわたり隠し続けたケースも
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11/21(木) 11:50配信 J-CAST会社ウォッチ
粉飾決算倒産、都道府県別では東京都が5件で最多
粉飾決算を原因とする企業の倒産が増えている。投資の失敗などで資金繰りが悪化して粉飾決算に走り、倒産を招くケースが多発。東京商工リサーチの調査によると、こうした粉飾決算倒産は2019年1~10月の間で16件にのぼる。前年同期と比べて2倍で、18年1年間の9件をすでに上回っている。
2019年1~10月、前年2倍の16件
調査は、2019年1~10月の企業倒産から「粉飾決算」を一因とした倒産を、東京商工リサーチがまとめた。11月11日の発表。
粉飾決算は、企業が金融機関や取引先の信用維持のため決算書をよくみせるために行う。今年の粉飾決算倒産で特徴的なのは、発覚した粉飾決算の期間が15年間、10年間など、長期にわたること。金融機関に返済計画の変更(リスケ)要請する際のヒアリングや、長期の粉飾でも業績悪化を糊塗できなくなった企業が「告白」するケースも増えているという。
クラフト用品の企画・販売を手掛ける埼玉県のサンヒット(負債額2億4300万円)は、海外進出の投資失敗で抱えた赤字を隠蔽するため15年間にもわたり粉飾決算を続行。20行を超える取引金融機関ごとに決算書を作成していたが、そのうちの一つを別の金融機関に提出したことで粉飾決算が発覚したという。
氷山の一角に過ぎないとの見方も
産業別にみると、最多は卸売業の7件。前年同期では1件だった。建設業、製造業、サービス業他が各2件、農・林・漁・鉱業、小売業、運輸業が各1件。資本金別では「1000万円以上5000万円未満」が10件で最多。次いで「5000万円以上1億円未満」が4件、「1億円以上」と「100万円以上500万円未満」が各1件。
資本金1億円以上の事例は、埼玉県の人気やきとりチェーン「ひびき」(負債額77億900万円)。税金滞納を解消するため、架空売り上げで粉飾。納税資金を金融機関から調達していたが、震災などで売上減に陥り、これを隠蔽するため架空売り上げを計上していた。
都道府県別では、東京都が5件で最多。次いで、埼玉県3件、福岡県と大阪府、千葉県が各2件、鳥取県、富山県が各1件だった。
倒産の急増で、にわかに粉飾決算への注目が高まっているが、現状は氷山の一角に過ぎないとの見方もある。2003年5月に個人情報保護法が成立し、顧客情報保護の観点から金融機関同士の横のつながりが希薄になっており、これを悪用したとみられる粉飾決算も少なくないという。
金融機関に事業性評価が浸透し、度重なるヒアリングで粉飾決算が露呈するケースもあり、今後も「粉飾倒産」の発覚が増える可能性は高い。2017年以来2年ぶりに20件台に乗る可能性もある。