毎週の課題本と感想の投稿用掲示板です。
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5/20の課題本
「十二国記 魔性の子」小野不由美
「地球の長い午後」ブライアン・オールディズ
5/27の課題本
「十二国記 魔性の子」小野不由美
「地球の長い午後」ブライアン・オールディズ
6/3の課題本
間違えました。
6/3の課題本
『郵便配達人 花木瞳子が盗み見る』二宮敦人
『一千一秒物語』稲垣足穂
『郵便配達人 花木瞳子が盗み見る』二宮敦人は新入生本です。
新入生本
6/3『郵便配達人 花木瞳子が盗み見る』二宮敦人
6/10『プシュケの涙』柴村仁
6/17『ルーガルー』京極夏彦
6/24『プリズンホテル 1 夏』浅田次郎
7/1『巨星』ピーター・ワッツ
日程の変更など何かあれば連絡ください。
5月27日 例会
『十二国記 魔性の子』小野不由美
83点
・ファンタジーだと思っていたので、ホラーで驚いた。
・たくさん人が死んでいく東洋ホラーだが恐怖感はなかった。
・一番引き込まれたのは広瀬と高里の関係であった。
・後藤と広瀬の関係もまた良かった。
・殺し方が雑なところにラノベっぽさを感じた。
・次の巻も読みたくなる。
『地球の長い午後』 ブライアン・W・オールディス
69点
・作者の発想に驚嘆させられる。想像していて疲れるが、楽しい。
・SFの古典だけあって世界観がすごい。
・他の動物との共生をもっと見てみたかった。
・植物がきれいである。
・前半と後半で展開に差があるのがネックかもしれない。
6月3日 例会
『郵便配達人 花木瞳子が盗み見る』二宮敦人
76点
・職業見学をしている気分で郵便配達の仕組みを使ったトリックは見事だった。
・叙述トリックは気づけないし、人間関係を使い方がうまかった。
・人の繋がりとつなぐ郵便の関係が良かった。
・キャラクターが良かった。特に持丸。
・主人公が好奇心旺盛かつ明るく、主人公然としていて良かった。
・盗み見るのは倫理的にアウト。
・お酒の場面が多すぎるかもしれない。
『一千一秒物語』稲垣足穂
83点
・考えるな!感じろ!な作品。好き嫌いが分かれるかもしれない。
・天体好きなことがわかる独特な文章。
・読んでいて何と言えばいいかわからない不思議な気分になる。
・月や星がよく喧嘩していて可愛らしく、メルヘンチック。コメディ感もある。
・子供の頃に読んだらもっと好きになるかもしれない。
・子供に読み聞かせしたくなる。
・作者の純粋な子供らしさが出ている。
6/10
『プシュケの涙』柴村仁
『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
6/17
『ルー=ガルー 忌避すべき狼』京極夏彦
『転生!太宰治2 芥川賞が欲しいのです』佐藤友哉
6月10日 例会
『プシュケの涙』柴村仁
78点
・物語に無駄がなく、とてもきれいで良い、ズルい構成をしている。この構成による喪失感が良い。
・もっと早く出会えていたら面白かったかもしれない。
・シリーズ3巻全て読むことで主人公がわかる。
・『プシュケの涙』で完成されているのでこれで終わっても良かったかもしれない。
・主人公が何考えているのかわからない。前半と後半のギャップが大きい。
・後半で主人公のキャラ像も掴めてくる。
・後半のラブコメ単体の日常ものでも読みたい。しかしそれだけだと平凡かも。
・キャラクターの行動の裏側が読めない主人公。
・アニメで見てみたい。
『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
77点
・どう解釈すべきか延々と考えさせられる作品。
・映像化した作品を見てみたい。
・表現や言い回しが独特できれいだと節々で感じる。
・とても抽象的で、わからないところも多い。
・空間的移動ではなく、精神的移動を示唆している。
・根底のテーマに「自己犠牲」がある。
・自分の人生を投影している気がする。
・仏教的要素とキリスト教要素どちらもある。
・宮沢賢治の作品の中ではわかりにくい方だと思う。他の作品より大人向け。
・子供だからこそ感じ取れる要素もあるかもしれない。
・幻想的な鉄道の場面というのはこの作品が多大な影響を与えている気がする。
6/17
『ルー=ガルー 忌避すべき狼』京極夏彦
『転生!太宰治2 芥川賞が欲しいのです』佐藤友哉
6/24
『プリズンホテル 1 夏』浅田次郎
7/1
『巨星』ピーター・ワッツ
6月17日 例会
『ルー=ガルー 忌避すべき狼』京極夏彦
83点
・京極夏彦らしさとらしくなさが両立している。
・SF的にらしくない、全体的に個性が出ている。
・読みにくくはないが、世界観の理解に時間がかかるので、読むのに骨が折れる
・終わり方が違和感ある人とない人で分かれた。
・現代との価値観の違いを強く感じた。人と他人との繋がりや、動物など。
・スマホというものがある今ではとてもリアリティある作品。
・2001年に書いたとは思えない。
・法律、倫理を中心に今日でも考えさせられるテーマが全体に渡って書いてある。
『転生!太宰治2 芥川賞が欲しいのです』佐藤友哉
87点
・どうやって書いたのか、と思うほど太宰らしさが出ている。
・太宰のエッセイがちょろっと出ていたり、太宰のコアな部分まで再現されている。
・3巻出なかったら怒るかもしれないほど続きが気になる終わり方をしている。
・太宰を使って創作愛をぶつける部分も良い。
・女関係ごちゃごちゃしていると太宰っぽい。
・当時の話、例えば戦争などでなるほどとなる部分があった。
・後書きも面白い。
・小説業界がクローズアップされていて、業界を語る小説のひねり版感が出ていて良かった。
・太宰とののかの関係のすれ違いが表出した話でもあった。
・どっちに転んでも面白い結末。
6/24
『プリズンホテル 1 夏』浅田次郎
『鍵のない夢を見る』辻村深月
7/1
『巨星』ピーター・ワッツ
『魔眼の匣の殺人』今村昌弘
6月24日 例会
『プリズンホテル 夏 1』
75点
・コミカルな場面と重い場面がすぐ隣り合わせにあってハッとなる。
・個性的な人物が出てきて読んでて飽きない厚みのある物語にある。
・ピカレスク小説であるため登場人物に好き嫌いがあるかもしれない。
・ヤクザの経営するホテルというのは新鮮だった。また人情ものであることからぴったりである。
『鍵のない夢を見る』辻村深月
76点
・他人との価値観のすれ違いを強く感じる。
・他人の気持ち悪さ、コミュニケーションのズレがテーマになっている。
・男性と付き合う、子供を産むなどがヒエラルキーの上位に必要という古い価値観が全体的にあり、違和感があった。
・フィクションとして遠いかもしれない。
・純粋に面白いとは言えないが、新しいことに気づかせてくれる。
・特に4つ目の短編がとても印象的であった。
・どの女性もズレている。
・タイトルが秀逸。どの主人公も鍵のない(悪)夢の中に閉じ込められている。
7/1
『巨星』ピーター・ワッツ
『魔眼の匣の殺人』今村昌弘
7/8
『誰にもわかるハイデガー』筒井康隆
『マルタの鷹』ダシール・ハメット
7/22
『李鷗』髙村薫
『パドルの子』虻川枕
7月1日 例会
『巨星』ピーター・ワッツ
86点
・分かり合えない異生物との接触、すれ違いがテーマなのが多い。
・そうした異生物との接触は『ソラリス』を思い出す。
・「遊星からの物体Xの回想」は発想、ストーリーが大胆かつ冒険的。
・常に思考し続けて前に進むことが真のテーマだと思う。
・巨星と島のアイデアが面白い。地球外生命体、コンピューター、人間の関係性がうまく描かれている。
・チップを仲間と思っている人と敵対している人の対比が面白い。
・「肉の言葉」の雰囲気も良かった。
・海外なのでわかりにくいところもあった。
・「乱雲」は読みやすくオチも良かった。
・ピーターワッツらしい読みにくさもあった。
・ハードSF特有の理解の難しさも良い味わいを出している。
・短編でやりたいことを簡潔にしており良かった。
「天使」と「付随的被害」の対比も良かった。
『魔眼の箱の殺人』今村昌弘
79点
・特殊な場合における謎解きはとても良かった。
・派手な設定な割に堅実なミステリであった。
・探偵とワトソンの関係は賛否両論だった。
・2人のラブコメ的な展開には否定的意見が多かった。
・前作のインパクトがすごい中でミステリ感ある素晴らしい作品になっていた。
・今回はロジックがメインであった。
・殺害の理由に違和感があった。
・いつのまにか動機を前提として動いていてモヤモヤした。
・超能力がインチキかと思いきや実際の能力で驚いた。
・様々な出来事があれど予言の方に向かっていくのに感心した。
・最後のどんでん返しにも驚かされた。
7/8
『誰にもわかるハイデガー』筒井康隆
『マルタの鷹』ダシール・ハメット
7/22
『李歐』高村薫
『パドルの子』虻川枕
7/29
『波形の子』長岡弘樹
※『誰にもわかるハイデガー』筒井康隆と『波形の声』長岡弘樹は新入生本です。
合宿(10/12〜10/14)の課題本
『空の境界』上中下+「未来福音」奈須きのこ
『充たされざる者』カズオ・イシグロ
『イルミナエ・ファイル』エイミー・カウフマン
7月8日 例会
『誰にもわかるハイデガー』筒井康隆
77点
・ハイデガーが空談と呼ぶものを著者が、認識しながら解説している点は特に意識していなかったので、驚かされた。
・解説でキリスト教の特異性を説明され興味が湧いた。
・空談のところはこのサークルの活動内容的にグサッとくる。
・馴れ合うことも必要。ただ意識するきっかけになる。
・ハイデガーの用語を覚えるのが大変。
・ハイデガーの『存在と時間』をとてもわかりやすく噛み砕いて解説しているので読みやすかった。
・最後の解説は無理があったかもしれない。
・「文学部唯野教授」というところは続編と思って読んだら違ったのでタイトル詐欺なところもある。
・評論、論説が苦手だと読みにくい。
・こういう考え方もあるのかという新たな発見があった。
・難しい専門的な言葉でしか語れず、そうすることに意味がある時もあるので興味を持ったら原著に挑戦するのがいい。
『マルタの鷹』ダシール・ハメット
83点
・主人公が事件に流されて読者にも内容がわからず、ストレスが溜まったところでどんどん謎が解けていく爽快感がある。
・ハードボイルド、時代的に男性中心的。
・殴るなどの暴力的な行動で解決しようとするのはあまり良いとは言えない。
・ハードボイルドという新たな世界の入り口としてぴったりな面白い名作。
・登場人物がとても表情豊か。
・最後の生贄選びはしつこかった。
・渋いハードボイルドな探偵が街を駆け回るのが好き。
・心に芯があって揺るがない主人公で、最後の展開がそれを反映していて良い。
・クールで非情な人物であると同時に女性関係にだらしなく、マーロウとの違いを感じる。
・展開も読者を飽きさせず面白い。
・誰が相手でも一歩も引かず自分のペースで話すのに痺れる。
7/22
『李歐』高村薫
『パドルの子』虻川枕
7/29
『波形の子』長岡弘樹
『MM9』山本弘
8/5
『死刑にいたる病』櫛木理宇
『殺戮にいたる病』我孫子武丸
8/12
『早朝始発の殺風景』青崎有吾
※『波形の声』長岡弘樹は新入生本です。
7月22日 例会
『李歐』髙村薫
93点
・李歐がスパダリですごい。好きになるキャラクター。
・李歐の登場自体は少ないが、登場するたびに一彰くんがメロメロになっていくので印象に残る。
・中国語の発音に関する記述がなかなか的確。中国語が分かるとより楽しめる。
・一彰と守山と李歐の3人でご飯食べたのを回想するシーンはいろいろこみ上げてくる名シーン。
・李歐と一彰の恋愛、友情の枠を超えた強い絆に心を動かされる。
・咲子さんにもう少し救いを…
『パドルの子』虻川枕
88点
・構成が面白かった。
・キャラクターがみんな真っ直ぐで、読後感も爽やかな一冊。
・ボーイミーツガールでこういう展開になるのはあまり見たことがなかったので新鮮であった。
・この本だけの珍しいタイプの叙述トリック?もあるので発見である。
・ホラーよりホラーしていた。ストーリーはさきが気になる構成だった。
・パドルを使ってのラストの展開はとても良かった。
・主人公の王道な成長も良かったけど、少し物足りない感。
7/29
『MM9』山本弘
8/5
『波形の声』長岡弘樹
『殺戮に至る病』我孫子武丸
8/12
『早朝始発の殺風景』青崎有吾
『死刑に至る病』櫛木理宇
8/19
『石の来歴』奥泉光
『殺人犯対殺人鬼』早坂吝
※8/5の『波形の声』は新入生本です。
7月29日 例会
『MM9』山本弘
83点
・MMはちょうど地震学のテストを思い起こす。
・怪獣対策がこの作品だと気象庁になっているが、生物関係は環境省じゃないの?という疑問が浮かんでしまう。
・今までシン・ゴジラ系の人間が独力で倒すものが最後の話でウルトラマンものに大幅に変わるけど、短編で読みやすく面白い。
・有川浩の『空の中』みたいな 未知なるものに対する恐怖と向き合いながらコミュニケーションは良い。
・平成ガメラやシンゴジラに似ている。
・日本国内で話が主に完結してしまうので、海外とのやりとりの詳細なものが欲しい。
・国の機関が主人公の時点でシンゴジラみたいになる。
・作者がトンデモ科学学会に参加しており、エセ科学を批判しているので設定にこだわってものを書いている。
・それぞれの怪獣のモデルは何なのか想像しながら読める楽しさがある。
・怪獣を分析して倒すというのが好き。
・ウルトラマンのように協力して倒すのも、人間が独力で倒すのもどちらのスタイルも好き。
・ただ人間が自分は関係ないと思う、例えばウルトラマンが窮地に陥ったら絶対に助けないみたいな状況は嫌いである。そこで現場の人や関係者と上層部の間で意見が分かれる展開は好きである。そこで上層部の心も揺り動かされる展開の方が個人的には好き。
・神話宇宙というのは良い発想だと思った。怪獣自体物理法則に反しているのでそういう世界だと納得する必要があるが、この神話宇宙のおかげでスルッと納得できる。この理論で話も動いていくので面白い。
・2巻では宇宙怪獣が出てくるそうなので、とても気になる。
8/5
『波形の声』長岡弘樹
『殺戮に至る病』我孫子武丸
8/12
『早朝始発の殺風景』青崎有吾
『死刑に至る病』櫛木理宇
8/19
『石の来歴』奥泉光
『殺人犯対殺人鬼』早坂吝
※8/5の『波形の声』は新入生本です。
8/12の例会の場所は札幌駅前のサイゼリヤになります。集合場所は札幌駅のミスド前です。
8月5日 例会
『波形の声』長岡弘樹
77点
・殺人事件を取り扱ったものもあるが、全編を通して「日常の謎」の趣が強い。
・各作品に目立った繋がりは無いものの、一貫して「人の心」がトリックの根幹に絡んでいる。
・「ハガニアの霧」は犯人の目星は容易につくが、その動機に対する伏線の張り方に無駄がなく、簡素ながら鮮やかである。
・「準備室」において、一見無毒な娘たちの関係にこそ毒が仕込まれていた、という事実には怖気がした。
・why中心で人の心がどう物語に関わり、進んでいくのかが気になる作品。
・物語それぞれが心情に訴えかけてくる。
・きちんと伏線が張られかつ回収されてゆきミステリとして面白い。
・人間関係の毒が描かれているとともに良い人も多く登場しており、そこが対比になっていて良い。
・最初の短編は主人公の善行が人を助けることになっていてとても良い。
『殺戮にいたる病』我孫子武丸
82点
・出版当時に読んでいたら間違いなく絶賛していたが、核家族の孕む病理とか、猟奇殺人に対する心理学アプローチとかは今では消えかけている気がするので少し古く感じ、時代の変化を感じる。しかしそれ込みでも十二分に面白い。
・解説にあるようにトリックそのものが社会問題に直結しているのも良い。
・「ミステリ」とも「ホラー」とも言えず、「社会派」でもあり「新本格」でもあるぼんやりとした立ち位置の小説でかなり研究しがいがあるような気がする。
・殺人シーンが3回目まで起こるごとにグロかったので、グロ耐性がないと辛い小説。面白かったけど再読は辛いかも。
・イケメンおじさんと若い女性というテンプレながらも良い関係。
・視点が3つあることで違った視点から物語を楽しめるし、殺人鬼の視点で胃もたれせずに済む。さらに視点のズレがトリックの鍵となっているのでギミックとしても重要である。
・最後の種明かしには驚かされる。違和感はあったが十分通じるレベルだったので、最後で欠けたピースがはまるような感覚がとても良い。
8月12日 例会
『死刑にいたる病』櫛木理宇
86点
・サイコパスや殺人鬼などに興味を持っていた頃に読んだので、調べたことが作中に出てきて楽しく読み進められた。
・作者は普通の精神状態でここまで多くの情報を集めてきたことに感心させられる。
・筧井くんの自意識との戦いにはとても共感した。
・主人公が聞き込みによって真実を明らかにしていく点はなかなかリアリティがあって本格ミステリ然として面白かった。
・榛村の影響力がすごく、描写がなかっただけでもしかしてあの人も…と思わせる終わらせ方はスリリングで良かった。
・終わらせ方や筧井くんの家族はホラーだった。
・日本の伝統的な、雰囲気からじわじわくるホラーだった。
・筧井くんの変化で突発的なところがあったので、もっとじわじわやってほしかった。
・染まるのが早かった気がするのでもっとしっかりと描写しても良かったかもしれない。
・シリアルキラーの心情や殺人に迫る場面が多いので結構重い。
・それぞれのシリアルキラーの場面に重さがある。
・最初のモノローグが誰のものなのか、考えると面白い。
・灯里さんは殺人鬼と絡めない方が良かったかもしれない。
・灯里さんは主人公の変化を追ったり、ストッパーとして働いたりと重要なキャラなのだが、最後のは榛村に全くメリットがないのでなぜ?という思いの方が強く出てしまう。
・主人公が事件を通して変化していくのは好きであるが、今回のはそう仕向けられているので違うと感じた。
・最後に乗り越えるのは今までの主人公がどうなってしまうのかというハラハラ感もあり、爽快であった。
・虐待や壊れかけの家族の問題など社会問題に切り込んでいて良かった。
『早朝始発の殺風景』青崎有吾
89点
・青春密室劇短編集で、語り口も柔らかで読みやすく、青春のみずみずしさのようなものがぎゅっと詰まった感じなのが良い。
・演劇の三一致の法則に則って書かれたワンシチュエーションもの、1幕もので描かれていて構成がとてもしっかりしている。
・その構成の中で失われがちな新鮮さが全く失われていないところに技量を感じさせられる。
・どのキャラクターも魅力的で、その機敏な心の動き、行動といったものがまた推理のロジカルさ、冴えに効いてきているところも上手い。
・どの話にもエモい関係があり、閉じられた場所で生まれる関係性、新たに芽生える感情が生き生きと描かれている。
・青春独特の距離感の書き方が上手い。
・伏線を見事に回収するお手本のような見事な短編集。
・色々なことがやりたいという作者の意思が伝わってくる。
・どの話も綺麗でとても良い。
・表題作は2人ともに謎があり、男の子の方の解決法が読んでいて面白かった。
・どの話も新鮮味を感じ面白いので、青春ものが好きな人に一読の価値ありと胸を張っておすすめできる作品。
・メロンソーダの話の友達関係がとても友達然としていて良かった。これからも関係は続いていく、その中の一事件という感じでとても良い。
8/19
『石の来歴』奥泉光
『殺人犯対殺人鬼』早坂吝
8/26
『往復書簡 初恋と不倫』坂元裕二
8/19 例会
『石の来歴』奥泉光
平均 82点(最高点85点、最低点80点)
・読みやすいけど分かりそうでわからない感じが絶妙
・石の話が長くて読みづらい気がしていたが、読みやすいことに気づくとするすると読めた
・もう一つ入っている話の方が分かりやすく、話としても好き
・両方の作品とも自然の描写が美しい
・宗教観と否かの雰囲気の感じが上手いこと合わさっていて良い(後半の話)
『殺人犯対殺人鬼』早坂吝
平均 79点(最高点90点、最低点70点)
・タイトルがキャッチーでいい
・シリアスなのに笑えるいつもの早坂吝
・なるほどこういうのがあるのか......(早坂初体験)
・ギャグとして読むと面白い
・文章が良くも悪くも読んですぐ理解できるのですごい
・初期と比べて最近はギャグ方向に振り切った?