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「楽しい」って、何だろう?30回目「日本語教室を考える」

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 外国に方は日本語を身に着けて何を話すのでしょうか。守谷市に暮らしているイタリアの方の文章を事例として紹介します。
引用
「・・・。鳥のみち付近で繁殖して増えていることは間違いありません。春にウリボウは少なくとも17匹を確認しました。現在中型のイノシシになりました。秋に15匹。・・・(中略)・・・特徴によって見分け出来る個体もあり、再会する時に顔見知りな雰囲気で、家族の繋がりに感動・びっくりしています。消費を増やすために孤立生活を促しているかのような現在社会と対照的で、考えさせられます。」
 守谷市には、2024年に国土交通省から「手づくり郷土賞」の認定を受けた、ボランティアが作った市民の散策路「鳥のみち」があります。そこでは多くの小動物や小鳥が年間を通じて観察できます。ここ数年イノシシが生息するようになったことを述べています。自然観察に基づく動物の家族の様子と人間の生活の変化の対比による感想が書かれています。なかなか鋭い分析です。
 最後に、「トリ急ぎ感想まで・・・。」と「鳥のみち」にかけて「落ちを書いています。」軽妙な文章さばきです。事実に基づき、本質に迫ることを忘れず、楽しい会話にまとめる心にくい文章作法です。コミュニケーションは人間関係づくりなのだと感じます。
 日本語の言葉遣いに心を通わせています。
普段忘れている言葉遣いについての注意喚起があります。地域日本語教育の現場でも忘れずにいたいことですので、改めて紹介したいと思います。
よく知られた逸話ですが、加藤登紀子さんとの談話で紹介された言葉です。アナウンサーが加藤さんに質問しました。「いつまでの若くて、健康な秘訣は何でしょうか。」加藤さんは『「きょうよう」と「きょういく」ですね。』と答えました。この発言を聞いた、多くの視聴者は咄嗟に加藤登紀子さんの来歴と実績を思い浮かべて、「教養」と「教育」だと勝手にイメージしたことでしょう。わたくしも初めて紹介されたときにうっかり、そう思いました。違いますね、ご存じの方も多いと思いますが、『「今日、用」があることと「今日、行く」ところがある』ことなのですね。
私たちも勝手な思い込みや意味の決めつけを離れて外国の方の言葉に耳を傾け、同じボランティア同士の言葉にも聞く耳を持つ大切さを教わりました。
こうした、本質を指摘する会話は大事です。発見があります。
「楽しいって」こうしたことの積み重ねで得られるものではないでしょうか。

宮本敏弥(地域日本語教育コーディネーター:文化庁H29研修修了)

刀水手帳
作成: 2024/12/26 (木) 17:37:42
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