レンジデンス・アーティストとの交流
エヴァ・ザイラー(Eva Seiler)
オーストリアのウィーン在住のアーティスとエヴァさんは、守谷市に在住しながら、学びの里の2階の「アーカススタジオ」で3か月間作品制作にとり組みました。
アーカスの記事を引用します。
「有機的な素材と工業製品によって作られるオブジェによって、人間と動物の関係を問う作品を制作している。作品は、実際に人間や動物に使用されながら、社会文化的に構築された両者の関係を再文脈化する。文献をあたり、現地での調査を踏まえて制作される作品は、理論や学説をなぞる資料的なものではなく、人間とそれを取り巻くアクターの有機的で動的な関係を表象するものとして提示される。」(引用終了)
今回は、生物としては、絹糸をはく虫「蚕」。人間の営みとしては「養蚕業」、これらがテーマでした。かつて茨城県地域は養蚕が盛んでした。常陸風土記にも記載が見られるほど、古くから養蚕がおこなわれてきました。戦後、石油化学繊維が普及して、いまでは結城紬にその名を残しているばかりという細々とした文化となっている状況です。かつては、茨城の地から蚕種や養蚕の技法が埼玉、群馬、栃木、福島まで伝わり、全国にその名を知られた産地でした。
エヴァさんは、取材に全国を視野に入れて調査を重ねていきました。群馬県の養蚕と機械製糸の先駆け冨国製糸場、養蚕の信仰とのかかわりで長野県諏訪大社、茨城の結城紬で結城市などを意欲的に歩きました。
また、居住市である守谷市の日本語講座にも参加しました。言語としての日本語と現代の守谷市民との接点ができました。
守谷市在住に外国人との交流もあり、日本や茨城県の歴史や信仰の世界と現在の住民との接点を含んだ芸術作品の制作が行われたように思います。
アーカススタジオの企画も平田オリザがその著書で述べているように、市民生活に溶け込んでそこから芸術を製作する人間と作品との生きた結びつきを重視した企画と言えます。毎年、9月から11月にかけての3か月間ですが、世界から応募されたアーティストが世界各国からも路やh氏にやってきます。その方々は地域の日本語講座に参加しています。「レジデンス」の持つ意味あいがここにあります。
一緒に学んだメンバーからは、お別れのメッセージが寄せられ、色紙に書いてお渡ししました。
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